教授挨拶

クリニカルサイエンスの伝統を継承し、新しい社会における消化器病学を追求します

令和2年(2020年)より東京医科歯科大学消化器内科教授に着任致しました岡本隆一です。本学大学院の消化器病態学講座は平成12年(2000年)に、消化器内科は平成13年(2001年)にそれぞれ発足し、本年で22年目を迎えました。この間、高いレベルで特色ある診療を実践し、これを「理想とする医療」に向けた研究に活かす「クリニカルサイエンス」の伝統が築かれました。また、このような「理想とする医療」を目指す仲間として多くの医局員に集まって頂き、大学に在籍するスタッフは60名、関連病院等に在籍する全医局員は370名超という、非常に大きな組織に成長しました。さらに大きな組織である利点を活かし、関連病院との信頼関係の下で多施設共同研究等に取り組むことができる体制が備わっていることも、当教室の特長の一つです。

さて着任から2年ほどが過ぎた現在、世界は新型コロナウィルスの感染拡大に伴う長期の混乱に加え、予想もしなかった世界情勢や劇的な気候変動により世界規模で歴史的な大変革期の只中にあります。人と人の関係だけでなく、国と国との関係、人と地球の関係がそれぞれ一変し、本当に大切なものは何かということを深く考え、大胆に選択し行動することが求められています。これまでとは全く異なる地球・社会環境と持続可能な社会を目指す世界的な流れ・考え方の中で、私達の教室がどのような役割を果たし発展を目指すのか、道筋を示して行く必要があります。

このような中、新たな教室づくりにあたり、私はクリニカルサイエンスの継承を宣言すると共に、教室内に健全な競争(切磋琢磨)が根付き、その上で教室員同士が敬意と称賛でつながる文化を育てて行きたい、という新たな教室のあり方を示しました。その中で教室員が夢中になれる診療・研究のテーマに出会い、真実を追求する科学的な思考を共有しながら、新たな課題や困難に果敢に挑戦していく志を育むこと、これを通して一人一人が臨床医・研究医として伸び伸びとキャリアを積み重ねて行ける環境づくりに務めることが私自身に課された重要な使命と考え、これまでの2年間、一歩ずつ取り組みを重ねてきました。

社会が大変革期を迎えた本年、私達の教室も改めて方向を定め、さらなる高みに向けて大きく飛び立つときを迎えたと感じています。先に示した教室のあり方を継承しながら、この大変革期の中で一層の成長を遂げるため「強く、しなやかで、朗らか」な教室として飛躍することを目指します。

環境や時代の変化に依らず不変の「強さ」を備える一方、予想を超える変化にも対応できる「しなやかさ」を併せ持ち、目指すべき場所を共有する教室員どうしが明るく前向きなやりとりの中で「朗らか」に結束していることを教室の理想に掲げ、東京医科歯科大学・消化器内科(消化器病態学)は世界に向けた新たな一歩を踏み出します。

皆様と一層の協力関係を築きながら、高い意欲と志を持った医師・研究者が世界から集う教室として成長するため、全力で職務に取り組む所存です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

令和4年(2022年)5月
消化器内科・教授 岡本隆一
岡本隆一

教授挨拶(動画)