RD希少疾患・難病 RD
[Rare Disease]

RD-3

RD-3では、循環器疾患の中でも主に不整脈及び血管炎を対象として研究を展開します。これらの疾患における遺伝的要因と後天的要因の複合的評価のために、ゲノム間関連解析などにより同定された疾患関連遺伝子の遺伝子改変動物と、それに対する後天的な要因作成の病態モデル作成を組み合わせ、電気生理学的、血行力学的、分子生物学的な評価を行います。特に電気生理学に関しては、マウスのような小動物でヒトと同様の不整脈評価を行うことは困難ですが、我々の研究グループでは心房・心室それぞれに最適化した光学マッピング法や、その信号解析法を確立しています。また、血管炎に関しては、高安動脈炎のデータベースと検体サンプルより、疾患関連の遺伝子多型を発見しております。それらの知見を臨床に応用し、疾患の新規バイオマーカーの開発や、新規治療薬またはdrug repositioningによる薬剤の適応拡大などに展開してトランスレーショナル研究を目指します。

RESEARCH MEMBERS

RD-3

笹野 哲郎

大学院医歯学総合研究科 循環制御内科学分野 教授

RD-3

清水 重臣

難治疾患研究所 病態細胞生物学分野 教授

PUBLICLY OFFERED RESEARCH PROJECTS

先天性腎性尿崩症と原発性免疫不全症候群に共通する病態の解明

安藤 史顕

大学院医歯学総合研究科 腎臓内科学分野 助教

当腎臓内科学教室では、バゾプレシン/cAMP/Protein Kinase A (PKA) シグナルが体内の水恒常性維持を担うAQP2水チャネルを活性化し、腎臓集合管において尿を濃縮する機構を解明してきました。最近、AQP2のvesicle recycling機構に必須のタンパクとしてLRBAを発見し、LrbaノックアウトマウスにおいてはAQP2が細胞膜へ輸送されず多尿になることを明らかにしました。LRBAは免疫不全症候群の原因遺伝子であり、T細胞においてCTLA4受容体のvesicle recyclingを制御します。尿濃縮と免疫不全に共通する病態を解明していきます。

RyR2 制御剤を活用した不整脈を伴う致死性心疾患 CPVT の発現メカニズム解明

石田 良典

生体材料工学研究所 薬化学分野 助教

2型リアノジン受容体(RyR2)は心筋細胞の筋小胞体膜上に発現しているCa2+遊離チャネルであり、細胞質のCa2+濃度をコントロールすることで筋収縮を司っています。心筋の活動に必須な機能ゆえに、遺伝子異常に起因するRyR2の異常は様々な致死性心疾患と関連することが知られていますが、その詳細な動的メカニズムの相関は大部分が不十分な理解にとどまっています。近年、各種RyRの機能を間接的に測定する系を立ち上げており、ケミカルライブラリのスクリーニングによって複数のRyR制御剤を同定しています。そこで、見出した化合物の有機化学的変換を軸とし、RyR2異常による心疾患発症の重要因子を明らかにするとともに、有望なRyR2制御剤の開発を目指します。