GeM創⽣医学 GeM
[Generative Medicine]

GeM-1

ヒトの誕生から老後にいたるまで、ライフサイクルを通して健康な人生をサポートするための医療の開発のため、ヒトやモデル動物の発生・再生・恒常性を研究し、医療応用研究を行います。先天性疾患から加齢疾患にいたる全身の組織・臓器の健康と疾患を理解し、その破綻の要因となるがん、炎症、感染症などの治療法の開発を行うことで、健康社会の実現に貢献します。

RESEARCH MEMBERS

GeM-1

仁科 博史

難治疾患研究所  発生再生生物学分野  教授

GeM-1

淺原 弘嗣

大学院医歯学総合研究科 システム発生・再生医学分野 教授

GeM-1

田中 真二

大学院医歯学総合研究科 分子腫瘍医学分野 教授

GeM-1

石野 智子

大学院医歯学総合研究科 寄生虫学・熱帯医学分野 教授

PUBLICLY OFFERED RESEARCH PROJECTS

メカニカルストレス感受性細胞に特異的なヒストンラクチル化誘導機構

SEONG Changhwan

大学院医歯学総合研究科 生体情報継承学分野 外国人特別研究員

日常的運動は全身の臓器に多面的で継続的な影響を及ぼしており、これにはエピジェネティクスが関与していると考えられる。近年、乳酸がヒストンのリジン残基に結合し、ヒストンラクチル化(Histone lactylation)を誘導することが報告された。運動時に骨格筋から乳酸が放出されることはよく知られており、血清乳酸レベルの上昇による全身の細胞のヒストンラクチル化が、運動に伴う持続的な遺伝子発現の制御である「運動エピジェネティクス」の基盤を形成していると予想される。我々はヒストンラクチル化パターンをヒト・マウス細胞において網羅的に解析し、骨、軟骨、心筋、骨格筋においてのみ、特異的なヒストンラクチル化が誘導されることを見出した。本研究では、これらの細胞に共通するメカニカルストレス感受性という特性と乳酸による特異的なヒストンラクチル化誘導との機能的連関の解明を目指す。

免疫系における腫瘍血管新生の制御機構の解明

小室 茉莉子

大学院医歯学総合研究科 免疫学分野 大学院生

腫瘍内において血管は、腫瘍細胞や宿主由来の免疫細胞、線維芽細胞等と相互作用することで腫瘍微小環境を形成しており、現在腫瘍微小環境を標的とした治療法の開発が積極的に行われている。われわれはこれまで皮下腫瘍マウスモデルを中心に解析を実施し、新たに免疫細胞の制御を介して腫瘍血管新生に関与する遺伝子を見出した。近年、ゲノムワイド関連解析により一塩基多型と疾患との関わりが明らかになってきている。本研究ではマウスモデルの解析に加えヒト臨床検体を用いた遺伝学的・免疫学的解析を実施し、腫瘍血管制御機構に個体差が生じるメカニズムの解明を目指す。

超多検体時系列サンプルを用いた初期分化に関わるシグナル経路の理解と新規関連因子の探索

山根 万里子

難治疾患研究所 ゲノム機能情報分野 助教

発生の初期には、シグナル伝達経路の動態や遺伝子発現がダイナミックに変化する。初期分化において、いつ・どのようなシグナルが・どのようなターゲットに作用しているかを理解することは、疾患の治療を目指す再生医療や創薬において重要である。我々は、研究室で開発した超多検体のトランスクリプトームを取得法であるbulk-Quartz-Seq2法を用いて、ヒトの細胞の初期分化の数千検体の時系列トランスクリプトームを取得し、シグナル伝達機構の相互的、時間的な繋がりを網羅的に同定する。これらの関連性を明らかにすることで、ヒトの初期発生に関わる未知の重要な因子や、特定の疾患の原因になるシグナルの変化の特定を目指す。

宇宙実験も利用したメカニカルストレス応答miRNA の同定と新たな臓器連関の提唱

有賀 茜

大学院医歯学総合研究科 整形外科学分野 大学院生

超高齢社会の本邦において、 加齢に伴う骨粗鬆症やサルコペニアなどの筋骨格系疾患への戦略は喫緊の課題です。 寝たきりのような生体へのメカニカルストレスの減少や長期宇宙滞在のような重力負荷の減少は、 著しい骨量・筋量の低下を誘導することが知られていますが、 その詳細なメカニズムは未だ解明されていません。 当研究グループは、 これまで「miRNAによる骨代謝制御機構」に関する研究を展開し、 宇宙航空研究開発機構 (JAXA)と共同で、 国際宇宙ステーション「きぼう」内の宇宙微小重力環境にて飼育されたマウスの非荷重状態におけるサンプル採取と地上へのサンプル帰還に成功しました。本研究では、 宇宙実験も利用してメカニカルストレスや重力に応答する血中分泌型miRNAを明らかにするとともに、 メカニカルストレスや重力の減少が筋骨格系組織の機能低下を誘導する新たなメカニズム、 更には筋骨格系組織を基軸とする新たな臓器連関モデルを提唱することを目指します。

ユビキチンシステムを介したp97/VCP補因子によるペルオキシソーム恒常性維持機構の解明

小松谷 史香

難治疾患研究所 機能分子病態学分野 助教

ペルオキシソームは、脂質代謝や過酸化物の解毒などを担う極めて重要な細胞内小器官であり、生合成と分解のバランスによってその数が維持されている。最近われわれは、p97/VCPの補因子を欠損すると、ペルオキシソームの数が有意に減少するという表現型を見出した。Zellweger症候群のようなペルオキシソーム病ではペルオキシソームの数の減少や機能不全が報告されていることから、本研究ではp97/VCPの補因子の作用機序を解明することでペルオキシソームの品質管理機構の核心に迫るとともに、ペルオキシソーム病の発症機構のさらなる理解を目指す。

傷害肝細胞排除による肝臓品質管理機構の解明

岡本 好海

難治疾患研究所 発生再生生物学分野 助教

損傷細胞や老化細胞など異常細胞は、様々な組織の品質を低下させ発がん等の疾患を誘発する。近年、異常細胞排除が組織の恒常性維持において重要な役割を果たすことが明らかとなり注目されている。転写共役因子YAPは、正常肝細胞では負に制御されているが機械ストレス等に応答し活性化すると肝細胞の増殖を促し適切な肝臓サイズを維持する働きをする。一方、肝細胞におけるYAPの異常な活性化は肝がん発症のリスクとなる。我々は、YAPを活性化した肝細胞が肝傷害依存的に排除される現象を見出してきた。しかしながら、その分子機構の多くは未解明である。本研究の目標は、肝傷害依存的なYAP活性化肝細胞排除を担う分子機構を解明することである。

PAST PUBLICLY OFFERED RESEARCH PROJECTS MEMBERS

仮想ヒト肝臓デバイスを用いたマラリア原虫のin vitro肝臓感染再現系の開発

新澤 直明

大学院医歯学総合研究科 寄生虫学・熱帯医学分野 講師

骨細胞由来オステオカインによる生体恒常性維持機構の解明

林 幹人

大学院医歯学総合研究科 分子情報伝達学分野 准教授

アストロサイトDirect conversionを用いた新規神経変性疾患治療法の開発

平岡 優一

難治疾患研究所 分子神経科学分野 助教

ラット半月板自然修復過程において細胞老化が果たす役割の解明

遠藤 健太郎

総合研究院 再生医療研究センター プロジェクト助教