⼝腔システム―脳連関の統合的解明による早期⼝腔医療の創発
咀嚼や嚥下などの口腔機能低下は2018年の「口腔機能発達不全症」の保険収載にみられるように、社会から大きな関心を集めている。また、加齢や障害に伴う認知症などの脳機能低下は、少子高齢化社会の医療の大きな課題である。近年、歯の喪失、咀嚼能力の低下、歯周病といった口腔システムの不全が脳機能低下のリスクファクターであることが分かりつつある。これらのエビデンスは、口腔システム―脳連関の観点から脳疾患を捉えることで脳疾患の革新的な予防法・治療法の開発につながることを示唆している。OS−3では、口腔システムの健全な発達や維持の基盤となる神経メカニズムと疾患や加齢による口腔システム不全が脳に与える影響を明らかにし、すべての世代において食べる・飲み込むなどの口腔機能を向上・維持させ、食べる楽しさや生きる意欲を高め、脳機能を向上・維持させることで、健康長寿社会の推進に大きく貢献することを目指す。
指定研究者一覧
公募班
口腔内細菌叢破綻から始まる行動異常~口腔-腸-脳連関の解明へ~
医歯学総合研究科 口腔生命医科学分野 助教
歯周病は生活習慣病の1つであり、これまで歯周病によって腸内細菌の変化とともに他臓器の機能低下が関連することが多数報告されています。また腸内細菌の変化と脳機能への影響についても近年明らかとなっています。しかしながら歯周病が脳機能へ与える影響についてはいまだ詳細に解明されておりません。本研究では歯周病モデルマウスを用いて、歯周病が脳機能に及ぼす影響を、分子・シナプス・細胞・神経回路・行動の多階層で解明していきます。
過去の公募班
仮想的な口腔への介入による認知症予防効果の推定:高齢者30万人の疫学研究
大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野 准教授
アルツハイマー病を始めとした中枢神経疾患における口腔―脳機能連関の解明
大学院医歯学総合研究科 脳神経病態学分野 准教授
咀嚼により顎骨や咀嚼筋で生じる分子による脳機能制御機能の解明
大学院医歯学総合研究科 分子情報伝達学分野 助教
口腔内の刺激が快・不快情動を引き起こす神経メカニズムの解明
大学院医歯学総合研究科 認知神経生物学分野 講師