組織・臓器構築
「GeM-2:組織・臓器構築」では、機能する細胞・組織・臓器の創生技術の開発を目指します。特に、発生・再生生物学や幹細胞生物学の知見に基づき、多能性幹細胞や組織幹細胞から in vitro で生物学的プロセスを再現することにより構造化・機能化された組織・臓器を生み出します。さらに、健常人に加えて、患者由来の細胞を用いることで、疾患臓器の病態現モデルを構築し、近年飛躍的に技術が進展を見せている1細胞解析技術・遺伝子編集技術・高精細イメージング技術などを取り入れることで、新たなメカニズムに基づくバイオマーカーの単離や創薬スクリーニング、治療法の開発を目指します。
指定研究者一覧
公募班
iPS細胞を用いた自己組織化による複合型機能性ヒト腸管組織グラフトの開発
大学院医歯学総合研究科 消化器病態学分野 講師
炎症性腸疾患や先天性小児疾患に伴う広範な腸切除により短腸症候群を来すとQOLは大きく損なわれます。現行の小腸移植に代わる抜本的な解決手段として、高い生着能と腸特異的機能を備えた腸管グラフトを体外で構築するという新たな再生医療が期待されています。私達は、ヒトiPS細胞由来自己組織化腸管スフェロイドと、個別誘導された複数の細胞集団を自律的に融合させることで、複合型腸管オルガノイドを作成し、より複雑で成熟した組織構築を有する「機能性ヒト腸管グラフト」の樹立を目指しています。
デザイン・オルガノイドを用いた腸から全身疾患を統べる挑戦
高等研究院 炎症性腸疾患研究室 プロジェクト助教
本研究代表者グループはマウス・ヒト腸上皮オルガノイド培養技術、オルガノイド移植技術などオルガノイドに関する独自の研究を発展させてきました。本研究課題ではこれら知見を発展させ、腸から樹立したオルガノイドをデザインし、肝不全・糖尿病などの全身的代謝疾患の治療・予防に有効な新しいデザイン化オルガノイドを開発し、それを腸へ移植することで異所性の機能性臓器の個体内での創出を目指すものです。本研究からオルガノイドを用いた新規治療の開発につなげたいと考えています。
過去の公募班員
3Dオルガノイド共培養系を用いた、癌関連線維芽細胞がもたらす膵臓癌微小免疫環境への影響の検討
大学院医歯学総合研究科 分子腫瘍医学分野 助教
膵臓癌組織は数ある固形腫瘍の中でも特に癌間質を多く含み、その病態や治療効果に影響を及ぼしているとされています。これまで癌間質は腫瘍進展を促進すると考えられてきましたが、近年では癌間質の不均一性を示す報告も増えており、腫瘍抑制性の性質を示す分画が確認されているほか、腫瘍免疫との関連性も指摘されており、新たな治療戦略の手掛かりを得るうえで癌-間質相互作用の解析がますます重要となっています。本研究では腫瘍オルガノイド-癌間質共培養系により癌細胞を取り巻く微小環境を生体外で再現し、各細胞間の相互作用メカニズムの解明を目指します。