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研究成果・プレスリリースFINDING / PRESS

研究成果・プレスリリース

「代謝産物がRNAのメチル化を介して代謝酵素の量をフィードバック制御する」【黒柳秀人 准教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所の黒柳秀人准教授(現・琉球大学大学院医学研究科教授)と渡部栄地大学院生(現・株式会社日立製作所)らの研究グループは、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻の鈴木勉教授と石神宥真特任研究員、同大学院新領域創成科学研究科、筑波大学生存ダイナミクス研究センターとの共同研究で、メチル基供与体である S-アデノシルメチオニン(SAM)の合成酵素のメッセンジャーRNA(mRNA)が、メチル化修飾を受けて加工のパターン(選択的スプライシング)を切り替えることで、酵素の量がフィードバック制御される新しい遺伝子発現制御機構を明らかにしました。この研究は日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究および新学術領域研究「先進ゲノム支援」・「RNA タクソノミ」・「代謝統合オミクス」)の支援のもとで行われたもので、国際科学誌The EMBO Journalに、2021年6月21日正午(中央ヨーロッパ夏時間)にオンライン版で発表されます。

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「前頭側頭葉変性症胎児期のDNA損傷が数十年後の発症に影響する」【岡澤均 教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所脳統合機能研究センター神経病理学分野の岡澤均教授の研究グループは、東邦大学、名古屋市立大学、名古屋大学、東北医科薬科大学、東北大学、東京大学、東京都健康長寿医療センター、京都大学iPS細胞研究所などとの共同研究で、前頭側頭葉変性症において、胎児期の脳内の神経幹細胞で起きるDNA損傷が、出生後の早期神経細胞死を誘発し、病態進展の鍵を握ること、また、この細胞死を標的とする治療法の可能性を実験的に示しました。この研究は文部科学省科学研究費補助金(新学術領域・シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成)、日本学術振興会科学研究費補助金(基盤A)、平成26年度~平成30年度・文部科学省『革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト』(平成27年度から日本医療研究開発機構:AMEDへ移管)、令和元年度~令和2年度日本医療研究開発機構「産学連携医療イノベーション創出プログラム」セットアップスキーム(ACT-MS)などの支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、2018年にEMBO(欧州分子生物学機構)、Rockefeller University、Cold Spring Harbor Laboratoryが共同で創刊した新しい国際科学誌 Life Science Allianceに、2021年6月5日午前9時(米国東部夏時間)にオンライン版で発表されます。

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「免疫グロブリンAの欠損により回腸特異的に炎症が自然発症することを発見」【安達貴弘 准教授、永石宇司 准教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所未病制御学の安達貴弘准教授と同大学院医歯学総合研究科消化管先端治療学講座の永石宇司准教授の研究グループは、高等研究院の渡辺守特別栄誉教授、烏山一特別栄誉教授、東京医科歯科大学難治疾患研究所分子神経科学分野およびエピジェネティクス分野、同大学院医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野、東京大学、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)、イチビキ株式会社、ハーバード大学との共同研究で、免疫グロブリンA(IgA)の変異マウスを作製し、IgA欠損により回腸炎が自然発症することをつきとめました。この研究は文部科学省科学研究費補助金ならびに厚生労働科学研究特定疾患対策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班、難治疾患研究所共同研究拠点共同研究、土田直樹研究助成、ニッポンハム食の未来財団などの支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Gut(ガット)に、2021年5月7日にオンライン版で発表されました。

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「食道扁平上皮癌の治療標的としての代謝関連分子PDHXの同定」【稲澤譲治 教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所分子細胞遺伝分野の井上純准教授、岸川正大大学院生、稲澤譲治教授らの研究グループは、本学頭頸部外科学分野 朝蔭孝宏教授との共同研究で、食道扁平上皮癌における新たな治療標的として、代謝関連分子PDHX(pyruvate dehydrogenase [PDH] component X)を同定しました。さらに、PDHXは、CD44と共遺伝子増幅により活性化し、協調的に機能することで癌幹細胞の増殖に寄与すること、そして、PDH 阻害剤 CPI-613 の投与は、食道扁平上皮癌に対する有効な治療戦略となることを示しました。この研究成果は、文部科学省新学術領域研究(15H05908) 「がんシステムの新次元俯瞰と攻略」、文部科学省科学研究費補助金(18K06954、18H02688)、東京医科歯科大学難治疾患研究所難治疾患共同研究拠点の支援のもと遂行され、国際科学雑誌 Cancer Science 誌に、2021年5月24日にオンライン版で発表されました。

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「ウイルス由来のヒト遺伝子の同定に成功」【石野史敏 名誉教授、松沢歩 特任助教】

東京医科歯科大学難治疾患研究所エピジェネティクス分野の石野史敏教授(現本学名誉教授)の研究グループの松沢歩プロジェクト助教(現ゲノム機能多様性分野、特任助教)、李知英准教授(現統合研究機構、准教授)は、東海大学医学部 金児-石野知子教授、中川草講師、難治疾患研究所ゲノム機能多様性分野 高地雄太教授のグループとの共同研究で、ヒトゲノムに含まれる内在性レトロウイルス由来配列 ERVPb1 がヒトからマーモセットまでを含む霊長類(真猿型下目)にだけ共通に存在し、実際に造血細胞系統でタンパク質として発現することを明らかにしました。この研究は文部科学省科学研究費補助金ならびに東京医科歯科大学トランスオミクス医学研究拠点ネットワーク形成事業の支援のもとで行われたもので、その研究成果は、国際科学誌 International Journal of Molecular Sciences に、2021年4月26日にオンライン版で発表されました。

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西村栄美教授が令和3年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞

2021年4月6日に令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が文部科学省で発表されました。本学では難治疾患研究所幹細胞医学分野西村栄美教授(東京大学・医科学研究所教授兼任)が、組織幹細胞の運命制御と皮膚毛包の再生老化機構の研究により「科学技術賞」を受賞しました。「科学技術賞」は科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に贈られるものです。

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「AI技術でヒト表皮幹細胞を判別し移植用幹細胞培養の品質評価に成功」【難波大輔 准教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞医学分野の難波大輔准教授の研究グループは、帝京大学大学院医療技術学研究科診療放射線学専攻の古徳純一教授と弘瀬拓矢大学院生との共同研究で、皮膚再生医療に使用される培養ヒト表皮幹細胞の新しい品質管理法を開発することに成功しました。この研究は文部科学省科学研究費補助金 (17K102319)、新学術領域研究「シンギュラリティ生物学」 (19H05418)、ならびに大川情報通信基金 (19-08)の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Stem Cells(ステムセルズ)に、2021年3月30日午前6時(米国東部夏時間)にオンライン版で発表されます。

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「動原体構成要素のNUF2遺伝子は小頭症及び低身長の新規原因遺伝子となる」【稲澤譲治 教授、ダニエラ・チアキ・ウエハラ 特任助教】

東京医科歯科大学難治疾患研究所分子細胞遺伝分野のDaniela Tiaki Uehara(ダニエラ・チアキ・ウエハラ)特任助教、稲澤譲治教授と熊本大学附属病院 新生児学寄付講座の三渕浩特任教授らの研究グループは、2005年から全国23の小児医療施設とコンソーシアムを形成し、診断未確定の多発奇形(multiple congenitalanomalies; MCA)を伴う発達遅滞(intellectual disability; ID)645症例を対象として、原因遺伝子の探索のために詳細なゲノム解析に取り組んできました。その結果、今回、1症例において小頭症及び低身長の新規原因遺伝子を同定しました。この研究成果は、文部科学省科学研究費補助金若手研究(B)(17K17693)および東京医科歯科大学・難治疾患研究所・難治疾患共同研究拠点の支援のもと遂行され、国際科学雑誌 Human Genetics(ヒューマン・ジェネティクス)に、2021年3月15日にオンライン版で発表されました。

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「単球の源細胞除去による新規がん治療法の開発」【樗木俊聡 教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所生体防御学の樗木俊聡(おおてき としあき)教授らの研究グループは、協和キリン株式会社、東京医科歯科大学 血液内科学分野、横須賀共済病院 血液内科との共同研究により、単球の源細胞を効果的に除去できる抗体-薬剤複合体(antibody-drug conjugate, ADC)を作製し、単球性白血病や固形癌の増殖を抑制する、副作用の少ない新規がん治療法を開発しました。この研究成果は、日本医療研究開発機構の支援のもとで行われたもので、Frontiers in Immunologyの2021年2月22日午前6時(中央ヨーロッパ時間)オンライン速報版で公開されます。

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「幹細胞分裂タイプの違いが毛包の再生・老化を決定づけることを発見」【西村栄美 教授、松村寛行 助教】

東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞医学分野の松村寛行助教と西村栄美教授(東京大学・医科学研究所兼任)らの研究グループは、横浜市立大学分子細胞生物学分野、フランス国立科学研究センターなどとの共同研究で、加齢に伴う脱毛の原因が幹細胞分裂にあることをつきとめました。この研究は,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)『老化メカニズムの解明・制御プロジェクト』ならびに文部科学省科学研究費補助金(2622130,18H02637)の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Nature aging(ネイチャーエイジング)https://rdcu.be/ce818に、2021年2月11日午前11時(米国東部時間)にオンライン版で発表されました。

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「ピタバスタチンによる抗腫瘍効果の解明」【稲澤譲治 教授、村松智輝 助教】

東京医科歯科大学難治疾患研究所難病基盤応用研究プロジェクト室 村松智輝助教、分子細胞遺伝分野 稲澤譲治教授らの研究グループは、既承認薬再配置 (Drug repurposing: DR)の概念をもとに、766種類の薬剤を搭載した FDA承認薬ライブラリーを用いた解析から高脂血症治療薬のピタバスタチンに抗がん作用があることを見出しました。さらに、MET 阻害剤であるカプマチニブとの併用は、ピタバスタチン単剤よりも強い細胞増殖抑制効果があることを明らかにしました。この研究成果は、文部科学省新学術領域研究 (15H05908)「がんシステムの新次元俯瞰と攻略」、文部科学省科学研究費補助金 (18K15236)、東京医科歯科大学 難治疾患研究所 難治疾患共同研究拠点・難病基盤・応用研究プロジェクト「頭頚部・食道扁平上皮癌 医療研究拠点(SCC センター)形成」の支援のもと遂行され、米国癌学会 (American Association for Cancer Research:AACR)機関誌の一つである国際科学雑誌 Molecular Cancer Research (モレキュラーキャンサーリサーチ)に、2020年12月22日午前10時(米国東部時間)にオンライン版で発表されます。

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「動物の体の形づくりの新しいメカニズムを解明」【東島佳毅 特別研究員】

東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野の東島佳毅 学振PD特別研究員と筑波大学医学医療系東京大学アイソトープ総合センターの神吉康晴助教は、Kdm7aはHox遺伝子群の転写調節を介して、マウス初期発生の前後軸を制御することをつきとめました。本研究成果は今後、動物の体の形づくりという生命現象の基盤メカニズムの解明に繋がることが期待されるとともに、様々な疾患の理解に貢献する可能性があると考えられます。

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「原因不明の免疫性神経疾患ギラン・バレー症候群に関連する遺伝子変異の同定に成功」【鍔田武志 教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所免疫疾患分野の鍔田武志教授と分子構造情報分野の伊藤暢聡教授の研究グループは、近畿大学医学部神経内科楠進教授および星薬科大学、藤田医科大学、Academia Sinica(台湾)との共同研究で、原因不明の免疫性神経疾患のギラン・バレー症候群で、免疫細胞の機能を抑制するSiglec-10 分子の機能をそこなうまれな変異が集積することをつきとめました。この研究は文部科学省科学研究費補助金および難治疾患共同拠点の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Journal of Autoimmunityに発表されました。

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バイオバンク横断検索システム第2版の公開【疾患バイオリソースセンター 稲澤譲治 教授、吉田雅幸 教授】

日本で主要なバイオバンクを運用する7機関は共同で、全国のバイオバンクの保有する試料・情報を一括で検索するバイオバンク横断検索システムをバージョンアップし、バイオバンク横断検索システム第 2 版を公開しました。産業界やアカデミアの要望を受けて、試料品質管理情報・同意情報の項目を新たに追加しています。本開発により、バイオバンクの利用者は、民間企業による研究開発利用が可能かどうかや、バイオバンク・ネットワークが保有する総計約 42 万人から提供された約 85万検体の試料、約 20 万件の解析情報を、試料の品質を確認しながら横断的に検索することが可能となりました。なお、品質管理の項目および同意に関する項目はそれぞれ国際的な標準に準拠しました。本研究開発により、ゲノム医療の研究開発に必要な試料・情報へのアクセスが大きく加速することが期待されます。本開発は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による支援を受けて行われています。

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「がん抑制型miRNA-634の経皮投与によるEGFR阻害剤の治療効果の増強」【井上純 准教授、稲澤譲治 教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所分子細胞遺伝分野の井上純准教授、稲澤譲治教授らの研究グループは、(株)メドレックスとの共同研究により、がん抑制型 miR-634 を内包した“miR-634 軟膏製剤”を開発し、皮膚扁平上皮がん担がんマウスモデルおよび皮膚化学発がんマウスモデルを用いて、本製剤による抗腫瘍効果および EGFR 阻害剤との併用効果を確認しました。この研究成果は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED) 「次世代がん医療創生研究事業」 (P-CREATE)、文部科学省新学術領域研究(15H05908) 「がんシステムの新次元俯瞰と攻略」および文部科学省科学研究費補助金(18K06954、18H02688)の支援のもと遂行され、国際科学雑誌 Molecular Therapy - Oncolytics (モレキュラーセラピー オンコリティックス) に、2020年11月23日にオンライン版で発表されました。

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「大腸がんに関与するWntシグナルを血圧調節分子WNKが制御する」【清水幹容 助教、澁谷浩司 教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所分子細胞生物学分野の澁谷浩司教授と清水幹容助教の研究グループは、同大学の生体材料工学研究所 薬化学分野 影近弘之教授および日本医科大学 先端医学研究所 田中信之教授との共同研究で、WNK がβ-catenin のタンパク量を調節することで Wnt シグナルを制御していることを見出し、マウスモデルを用いて WNK 阻害剤が大腸がん形成を抑えることを明らかにしました。この研究は文部科学省科学研究費補助金の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌 Communications Biologyに、2020年11月12日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されます。

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「変異型タンパク質の細胞質への蓄積が拡張型心筋症を重症化する」【井原健介 助教、黒柳秀人 准教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所の難病筋疾患研究プロジェクトに参画するフロンティア研究室(遺伝子発現制御学)の黒柳秀人准教授と生体情報薬理学分野の井原健介助教・古川哲史教授、および大学院医歯学総合研究科循環制御内科学分野の笹野哲郎教授らの研究グループは、同難治疾患研究所分子神経科学分野、同大学院医歯学総合研究科分子病態検査学分野、および大阪大学大学院生命機能研究科細胞核ダイナミクス研究室との共同研究で、細胞質に蓄積する変異型RBM20 タンパク質がマウスにおいて重症の拡張型心筋症の発症に寄与することを明らかにしました。この研究は文部科学省科学研究費補助金、東京医科歯科大学難治疾患共同研究拠点ならびに日本心臓財団の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Scientific Reports(サイエンティフィック・レポーツ)に、2020年10月27日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されます。

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「新規オートファジーの変調は神経変性疾患の原因となる」【清水重臣 教授、荒川聡子 講師、山口啓史 助教】

東京医科歯科大学難治疾患研究所病態細胞生物分野の荒川聡子講師、清水重臣教授らの研究グループは、産業技術総合研究所、東京大学、日本医科大学との共同研究で、細胞内のタンパク質を分解する新しい仕組みを実行する分子を発見しました。この分子は神経変性疾患に関与していると考えられ、将来的に新規治療法開発への応用が期待されます。この研究は文部科学省科学研究費補助金、日本医療研究開発機構などの支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Nature Communicationsに、2020年10月20日午前10時(英国夏時間)にオンライン版で発表されました。

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「機能的な大腸幹細胞を維持するための新たな仕組みを発見」【樗木俊聡 教授】

東京医科歯科大学難治疾患研究所生体防御学分野の樗木俊聡教授らの研究グループは、理化学研究所生命医科学センター粘膜システム研究チームの大野博司チームリーダーらとの共同研究により行った研究成果として、慢性的なインターフェロン刺激が大腸幹細胞の枯渇や機能低下の原因になることを発見しました。この研究成果は、国際科学誌Scientific Reports(サイエンティフィックレポート)の2020年9月8日午前10時(英国夏時間)にオンライン速報版で発表されます。

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