研究のご紹介

ヒト脳の予測機構とその変容の理解

理論や動物実験で示唆された予測情報処理がヒト脳でどのように行われているのか、また精神疾患では、どのような変容が認められるのかを検証します。標準的な3TfMRIに加え皮質脳波による脳活動の高時空間分解計測を用い、これを実現します。fMRIは脳内に生じるボトムアップとトップダウンの予測情報処理を分離して検討することが難しいです。そのため、予測機構を持たない深層学習モデルを用い、脳信号と深層学習モデルの内部信号とを対比し、予測信号を分離し、予測機構に伴う情報処理の神経基盤を同定します。統合失調症や発達障害患者に対し同様の方法を適用し、精神疾患の症状が予測機構の異常の神経基盤を明らかにします。患者の安静時あるいは予測課題中の脳情報データは理論や動物実験研究者と共有し、理論から提唱された予測情報処理の変容としての病態モデルの妥当性を検証します。症状の回復前後の脳情報データも検討し、予測情報処理の見地から治療効果・回復のメカニズムも明らかにします。東京医科歯科大学の脳神経外科の協力を得て、定位的頭蓋内脳波で得られる通常の脳波より高い空間解像度と時間分解能を活用し、予測課題での脳情報を計測します。このデータは他の動物種のデータともに理論研究者に共有され、予測理論の検証や拡張にも活用されます。

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