当科について

生体組織再建外科学分野
再建形成外科について

教授挨拶

大学院医歯学総合研究科
生体組織再建外科学分野

田中 顕太郎 教授

このたび、2022年4月1日付で東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体組織再建外科学分野の教授を拝命いたしました。本分野は、頭頸部頭蓋底再建を中心とするマイクロサージャリー(顕微鏡下微細手術)を用いた各種再建手術を主に担当する新たな分野として、形成・再建外科学分野から独立しました。東京医科歯科大学病院における診療科としては、再建形成外科を新たに標榜いたします。

基本診療科のひとつである形成外科の発展は目覚ましく、担当する診療範囲は外傷・先天異常・腫瘍・創傷治癒・美容医療など多岐にわたります。扱う身体の部位は全身に及び、また治療に用いる手術手技も多種多様で、レーザー治療など外科手術以外の手技も多く用いられます。その守備範囲の広さや治療手技の豊富さは形成外科の大きな魅力ですが、高度専門機関としての大学で行う医療として捉えると、限られた人員で形成外科の全ての領域で高いレベルの診療を提供し続けることが困難になりつつあるとも言えます。

東京の中心に立地し医学部と歯学部から成る本学は、頭頸部領域の診療のスペシャリストたる責務を社会から期待されていると考えます。本分野は、マイクロサージャリーによる血管や神経の縫合技術を駆使する再建手術を日常的に行う高い技術を備えた形成外科専門医を配置し、頭頸部頭蓋底再建を中心とする再建手術を行います。典型的な切除症例に対する標準的な各種再建手術を行うことは当然ですが、他施設では治療不可能な困難な部位に生じた、あるいは非常に進行した頭頸部腫瘍切除症例などが全国より紹介されてくることが本学の特徴です。症例数が少なく安定した治療効果が得られる標準的治療が確立されていない困難症例、全国的に見ても当院でしか行われていない手術症例に対して、安全で質の高い再建手術を提供し続ける体制を維持することが重要です。さらに腫瘍切除と同時に行う一次再建だけではなく、術後に残存する変形や麻痺に対する二次再建手術にも積極的に取り組んでいきます。また高い再建手術手技を生かして、頭頸部領域のみならず身体各部位の治療困難症例の再建手術にも積極的に対応することによって、外科系診療科の下支えとしての役割を果たしていきます。

教育面では、頭蓋顎顔面頸部領域の再建外科のスペシャリスト、および頭頸部再建の技術を用いて各種再建手術ができる形成外科医(ゼネラリスト)、の育成を行います。前者は大学病院やセンター病院などがん診療を担う中核病院で専門的な医療を提供し、後者は一般市中病院においてより質の高い形成外科医療を提供することにより、医療や社会に貢献して参ります。研究面では、安定した治療効果が得られる標準的治療が確立されていない再建外科手術の分野に対して、術後の患者様のQOLを重視した形態と機能を両立させる新しい術式開発を中心とした研究を推進していきます。医学部歯学部の枠を超えた頭頸部領域を中心とする関連各分野・領域と連携し、自由で柔軟な発想と学問的融合をもとに本学発の新しい手術手技開発を世界的に発信し続ける研究体制を構築することが目標です。

今後とも学内外の皆様からの一層のご指導、ご鞭撻を賜りながら、診療、教育、研究に励む所存でございますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。