当科について

教室の特色と沿革

特色

形成外科全般を取り扱っていますが、代表的な手術・疾患には、顔面骨骨折などの外傷、唇裂・口蓋裂・小耳症・眼瞼下垂・多指症などの先天性形態異常、悪性黒色腫などの皮膚・軟部組織悪性腫瘍、皮膚・軟部組織良性腫瘍、褥瘡・糖尿病性潰瘍などの皮膚潰瘍、頭頸部腫瘍切除後における組織欠損の再建、乳癌切除後の乳房再建、顔面神経麻痺に対する動的再建などがあります。また美容外科についても相談に応じます。

沿革

教室創設前

1979年から形成外科医師 小原一則先生が皮膚科の手術指導を行い、形成外科手術の伝授を始めた。1990年に就任した皮膚科 西岡 清教授の尽力もあり、1992年1月に皮膚科形成外科診療班が発足し、形成外科医師 梅田 整先生を班長として診療を開始した。1993年には日本形成外科学会の認定施設に認められ、皮膚腫瘍外科などで実績を重ねた。

初代教授 秦 維郎(在任1999年4月~2008年3月)

1999年4月に大学院医歯学総合研究科顎顔面頸部機能再建学系専攻頭頸部再建学講座形成外科学分野として開設し、名実ともに独立した。初代教授として前香川医大教授の秦 維郎先生が就任した。秦教授は香川医大での教室開設の経験を下に、教育、診療、研究を柱に、学生あるいは現職医師に、形成外科で取り扱う疾患の啓蒙に努めた。 同年9月に医学部附属病院において診療科となり、2001年11月には院内標榜科名が形成・美容外科となり、診療基盤が整い、症例数が年々増加した。秦教授の専門である唇顎口蓋裂、小耳症手術のほか、頭頸部外科、乳腺外科との協力体制が確立し、他の外科系との難治性潰瘍などの治療体制も整った。そして在任後半には年間症例数が新患1500 名、手術件数1000例ほどに増加し、常勤施設が大学のほか6施設となり、教室の基礎を築いた。研究面では他分野との共同研究を進め、7名が学位を取得した。また第18回日本頭蓋顎顔面外科学会(2000年)、第28回日本マイクロサージャリー学会(2001年)、第15回日本シミュレーション外科学会(2005年)、第9回日韓形成外科学会(2008年)を主催し、教室の名前を全国に広めた。

二代教授 岡崎 睦(在任2009年2月~2017年9月)

2009年2月に二代教授として岡崎睦先生が杏林大学准教授から着任した。臨床と研究をバランスよく両立できる教室を目指し、同年9月に医局がMDタワーへ移転したのを機に、教室固有のラボを立ち上げ、基礎研究を行う体制を整えた。2012年4月には、分野名を形成・再建外科学分野と改称し、英語表記の”Plastic and Reconstructive Surgery”と日本語の分野名を一致させた。臨床では、“考える診療”をスローガンに挙げ、患者さんの希望を聞きながら、一人一人に合わせたオーダーメイドの治療を提案すること、その結果を科学的に分析してより良い手術術式を開発することの重要性を説いた。中でも頭蓋底・頭頸部再建、顔面神経麻痺の再建においては世界トップレベルの診療を行うようになった。在任後半には、臨床・基礎研究の成果として、毎年10篇前後の英語論文が教室から発信されるようになった。岡崎教授は、本学医学部の分野としても大学病院の診療科としても十分な役割を果たすレベルに教室を引き上げた後、本学卒業生を中心とした体制にさらなる発展を託し、任期の途中ではあったが2017年10月に東京大学に転出した。

2018年10月に三代教授として前講師の森 弘樹が就任した。