眼瞼 -眼瞼下垂症-
瞼が重い感じや目の疲れ、頭痛、肩こりはありませんか?
もしかしたら「眼瞼下垂」かもしれません。
担当医 | 植村法子、加藤小百合 |
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外来日 | 木曜日、水曜日 |
「眼瞼下垂」とは、正面を見たときに上まぶたが黒目にかぶさる状態のことをいいます。視野が妨げられるので、物が見えにくい感じやまぶたが重たい感じがします。また、視野を広くしようと無意識にまぶたや額に力をいれることになり、目が疲れる感じ、額に皺がよる、肩こり、頭痛などがおこると言われています。
「眼瞼下垂症」ではこのような症状が起こりますが、眠そうに見られる、老けて見られるなどの外見的な問題も起こります。眼瞼下垂症に先天性(生まれつき)の場合と、後天性(加齢やけが、筋肉などの病気による)の場合があり、それぞれ治療方針が異なります。
「上眼瞼皮膚弛緩症」とは、加齢により上まぶたの皮膚が余ってしまい、目にかぶさってくるために眼瞼下垂症のような症状や外見になる場合をいいます。
まぶたの形や症状は人それぞれです。患者さんもいろいろな希望があります。当院では、まぶたの状態や患者さんの希望に合わせ、症状を軽くし、外見を改善する為の最適な治療を考えます。手術直後から、まぶたが軽くなったと喜ばれる患者さんが多くいらっしゃいます。
小児は全身麻酔、小児以降は局所麻酔で手術をします。局所麻酔の場合、通常は入院を必要としない外来手術で行っていますが、手術方法や患者さんの状態によって入院が必要な場合があります。まぶたは皮膚が薄い部分なので、手術後1~2週間は、青くなったり腫れたりします。形が完全に落ち着くまでは数ヵ月かかりますので、大切な行事の直前の手術は避けた方がよいでしょう。
主な状態と手術方法を説明します。
腱膜性眼瞼下垂症
原因
眼瞼下垂症の大部分を占めます。まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の端とまぶたの端の間が離れてしまい、筋肉が収縮してもまぶたが開かない状態です。加齢、ハードコンタクトレンズ装着、まぶたのこすり過ぎなどが原因とされています。
手術方法
眼瞼挙筋腱膜修復術を行います。二重のラインを切開して、離れてしまった眼瞼挙筋の端とまぶたの端の間をうまく縫い合わせることで修復します。まぶたの皮膚や脂肪が余っている場合は、同時に切除することもあります。
先天性眼瞼下垂症
原因
生まれつき、眼瞼挙筋の力が弱かったり、筋がなかったりすることで、まぶたを開けにくい状態です。まぶたを半分以上開けられない場合は、成長段階で視機能に障害が生じる可能性が高くなりますので、小児期の治療が必要となります。手術後も、成長により変化する場合があるので、定期的に診察していきます。
手術方法
状態に応じて、眼瞼挙筋短縮術、筋膜吊り上げ術またはcheck ligament suspension法を行います。眼瞼挙筋短縮術では、二重のラインを切開して、眼瞼挙筋を縫い縮めることで、まぶたを開けやすくします。筋膜吊り上げ術では、二重のラインと眉毛の上を切開して、まぶたの端と前頭筋(眉毛をあげるおでこの筋肉)の間に、筋膜を移植します。眉毛をあげる力で、まぶたを一緒にあげて、まぶたの大きさを調整します。筋膜は大腿から採取することが多いです。check ligament suspension法は比較的新しい方法です。二重のラインを切開して、まぶたの奥にあるcheck ligament(まぶたを開ける時の支点となる膜)を引き出して固定します。まぶたの状態によって、適切な手術方法を選んで行います。
上眼瞼皮膚弛緩症
原因
主に加齢により皮膚が余っています。
手術方法
余剰皮膚切除術を行います。二重のラインで切除する方法と、眉毛の下のラインで切除する方法があります。それぞれ長所がありますので、患者さんと相談して方法を決めます。
当院では、手術前後の状態を記録し、計測や手術方法の研究を行っています。今後の医療の発展の為、ご協力をお願いします。
以下の図は、実際の患者さんの写真をもとに、わかりやすくイラストにしています。
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眼瞼下垂症の手術前:まぶたが垂れ下がり、黒目が隠れています。まぶたを開けようとして、前頭筋が収縮するため、おでこに皺が寄って、眉毛が上がっています。とても老けた印象です。頭痛や肩こりもあったそうです。
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眼瞼下垂症の手術後:まぶたが上がり、黒目がしっかり見えています。きれいな二重となって、おでこの皺も減り、若返った印象です。頭痛や肩こりも改善したそうです。
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上眼瞼皮膚弛緩症の手術前:もともと二重でしたが、まぶたが垂れ下がって、奥二重となってしまい、腫れぼったい印象です。まぶたが重たく、疲れる感じがしたそうです。
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上眼瞼皮膚弛緩症の手術後:眉毛の下を切開し、余った皮膚を切除しました。もとの自然な二重になり、すっきりと若返った印象です。まぶたの重みや疲れも軽くなったそうです。