頭頸部再建
担当医師 | 田中顕太郎 |
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外来日 | 金曜日 |
首から上(頭頸部)の腫瘍を切除すると、大きな穴(組織欠損)ができます。
頭頸部は、常に人から見られる場所であり、食事、会話、呼吸に必要なものが集まっているため、腫瘍を切除したあと、腫瘍をとったあとの穴(欠損部)を埋め、機能を回復する必要があります。これを頭頸部再建といいます。
再建には、ご自身の体の一部(皮膚、皮下脂肪、筋肉、骨など)を使います。組織を移動しただけでは、血流がなくて腐ってしまうので、首の血管と組織(遊離皮弁)の血管を縫い合わせて、移植します。欠損の状態に合わせて、おなか(腹直筋皮弁)や太もも(前外側大腿皮弁)、あし(膝下:腓骨皮弁)などの組織を使います。
上顎再建
右の図の橙色の部分が上顎で、人の顔では頬全体の広い範囲です(病気の状態によっては眼球も含む)。
上顎が腫瘍の治療で切除されると、頬がくぼみ、口と鼻の中がつながり、目玉を支えている骨(眼窩底)がなくなるので両目でものを見ると二重にぶれる(複視)という状態になります。
上顎再建では、
- 頬がくぼまないように組織をつめる
- 手術した側の目玉の位置がずれないように目玉を支える床をつくる
- 口の中と鼻の中の穴をそれぞれふさぎ、口から食べたものが鼻にまわらないようにする
ことを目的に手術をしています。
腫瘍の状態により目も切除しなければならない場合には、義眼床(義眼という目の絵が描いてあるコンタクトレンズのようなものを入れる袋)をつくることもあります。
下咽頭・頸部食道再建
のどの奥(下咽頭、喉頭など)の腫瘍を切除すると、空気と食物の通り道がなくなります。
なくなった食物の通り道を、腸を移植することでつくるのが、下咽頭・頸部食道再建です。
頭側(口側)、首側(食道側)の切れ端の間に腸(小腸)を移植し、腸の上下をそれぞれ縫いつけ、腸の血管(動脈、静脈)を首の血管と縫い合わせます。
手術後、1~2週間で造影剤を飲む検査をし、腸のつなぎ目から漏れなければ、食事開始です。