唇顎口蓋裂
担当医師 | 森 弘樹、加藤小百合 |
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外来日 | 135火曜、24月曜日、水曜日 |
唇やあごの先天的な変形です。
唇裂 | 唇が割れている状態 |
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口蓋裂 | 口の中の上顎(うわあご)だけが割れ、口と鼻がつながっている状態 |
唇顎口蓋裂 | 唇から上顎を含め口蓋垂(のどちんこ)まで割れていて、唇裂と口蓋裂が合併している状態 |
当院では歯科との連携のもと、乳児期から成人になるまで責任をもって診療を行っています。
問題点となること
哺乳の問題:
唇や上顎が割れているため、母乳やミルクを吸い込む力が弱くなります。そのためミルクを飲むのに時間がかかり、たくさん飲めずに体重が十分に増えない場合もあります。しかし、哺乳指導と口蓋裂用の哺乳びんを使うことで自分の力で飲むことができるようになります。美容上の問題:
体表の変形であり、その形態を修正することが大切となってきます。手術法や材料の進歩により、以前よりも傷が目立たなく治せるようになってきました。ことばの問題:
口蓋裂や唇顎口蓋裂の場合には、口と鼻の壁がないという状態のため(鼻咽腔閉鎖機能不全)、適切な治療を行わないと、ことばとして発声した音がすべて鼻に抜けてしまい、発音の障害が起きてしまいます。滲出性中耳炎の合併:
口蓋裂がある場合、耳と鼻をつないでいる耳管という通路の働きが悪い場合が多く、中耳炎を起こしやすいのです。症状がある場合、耳鼻科的治療が必要になります。
治療について
初診時~
顎裂・口蓋裂がある一部のお子さんでは、歯科の協力のもと口蓋床という入れ歯のようなものを作製し、手術までの間にできるだけ良好な歯槽形態、さらには外鼻形態を誘導することがあります。
生後3~6ヶ月
口唇の形成手術を行います。唇を構成する口輪筋(口の周りを取り囲む筋肉)を輪状に形成し自然な口唇の形態と機能をつくります。
生後1歳-1歳6ヶ月
口蓋形成術を行います。手術はtwo-flap法もしくはFurlow法を用います。これにより口と鼻の境をつくり、言葉の習得に支障がないようにします。
2~4歳
言語治療室、矯正歯科にも通っていただき、言語と歯並びの経過をみていきます。
4~6歳
必要であれば口唇や鼻の形態の修正術を行います。
6~10歳
顎裂(歯茎がわれている)がある場合に腰の骨(腸骨海綿骨)を移植する手術(secondarybone graft)を行います。これにより歯並びを整えやすくし、鼻の形態にもよい影響を与えます。この前後から矯正治療を行います。
16歳以降
矯正治療を行っても上顎の成長が悪く下顎の方が突出した場合には骨切りの手術を行うことがあります。鼻の変形が残る場合には最終修正術を行います。