手足の先天異常/外傷
担当医師 | 宇佐美聡、加藤小百合 |
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外来日 | 水曜日、木曜日(月1回) |
手外科とは、形成外科と整形外科の両方の知識と技術が必要とされる専門領域です。当院は手外科認定専門施設になっております。形成外科では手関節より末梢の疾患を主に扱っており、症例によっては整形外科と協力して診療にあたっております。
我々は、自分が家族であったらどのような治療を望むかということを常に考えながら治療を行っております。先天異常には、治療によってほとんどわからなくなるものから、外見上の異常や機能障害が避けられないものまであります。不安を抱えているご家族に、具体的に到達可能な治療目標を説明することが重要です。また成長に伴い修正術が必要となることも多いため、ご家族とともに長期的に見守っていく必要があります。
手の先天異常
握り動作やつまみ動作といった機能面の改善が非常に重要です。しかし長期成績の報告から、患者さんの不満の多くは傷跡や変形であることがわかり、整容的な配慮が再認識されております。比較的頻度が高いものは以下の疾患です。
母指多指症
1歳頃に手術を行います。正常な母指が重複しているのではなく、1本の母指が2本に分離したものであると考えられております。片方の利用、もしくは2本の母指を組み合わせて可能な限り正常な1本の母指を再建します。
合指症
指間が正常よりわずかに上昇しているものから、指尖まで癒合しているものまであります。1歳頃に手術を行います。合指を分離することが基本ですが、術後の指間の再上昇や,傷跡によるひきつれを予防することが重要です。
裂手症
中指が欠損して深い切れ込みが生じ、手が2つにさけたような外観を呈します。1歳頃に手術を行います。裂を閉鎖し、自然な指間を形成します。第1指間が浅い場合には、指間形成や指列移行を行います。
横軸形成障害合短指症
症例により可能であれば指の延長を行います。年齢に応じて、足趾の骨移植や骨延長法を用います。
足の先天異常
足の手術では、歩行に支障がないという機能面を考慮する必要がありますが、手指ほどの細かい動きは必要ないため、より整容面を重視する必要があります。以下のような疾患があります。
多合趾症
Ⅴ趾が多趾となり、またⅣ趾とさまざまな程度で合趾を呈します。1歳頃に手術を行います。過剰趾の切除と合趾の分離を行います。
先天性絞扼輪症候群
四肢にひもで縛ったようなくびれ(絞扼)が生じます。高度な場合には早期に、そうでなければ1歳頃に手術を行います。絞扼部を解除し、周囲に切開を加えて陥凹を修正します。
第Ⅳ趾短縮症
乳幼児期には明らかでなく、成長期に入ってから気づかれることが多いです。思春期以降に手術を行います。腰骨の移植や、骨延長法を用います。
巨趾症
過成長である足趾の縮小や短縮を行います。
手足の外傷
常時救急車を受け入れており、マイクロサージャリー技術を用いた切断指再接着などを行っております。その他の新鮮外傷(骨折、脱臼、腱損傷、靭帯損傷など)や、外傷後の変形に対する手術も行っております。
手指の拘縮
外傷、やけど、デュプイトラン拘縮などによって生じた、皮膚のつっぱりや、指の動きの制限に対して、皮膚移植や皮弁などの形成外科的手技を用いて改善を図ります。
その他、手の痛み、しびれ、できものなどについても気軽にご相談下さい。