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科長のご紹介

新生児・小児の外科疾患に対し、
患児それぞれに適した手術治療を行います。

科長 岡本 健太郎 -Kentaro Okamoto-
専門医 日本小児外科学会:専門医、指導医
日本外科学会:専門医、指導医
日本小児血液・がん学会:認定外科医
日本周産期・新生児医学会:認定外科医
がん治療認定医機構:がん治療認定医
専門分野 小児先天異常
低侵襲手術
新生児・小児外科一般
研究領域 臍を使った低侵襲手術、中心静脈カテーテル・血管走行の解析、VR技術の臨床応用
電話番号 03-5803-5674
専用ホームページ http://www.tmd.ac.jp/srg/synnryou/pedsrg/index.html

子供は大人のミニチュアではありません。サイズが小さいだけでなく、小児特有の特徴があります。手術が必要なお子様に対しては、体の創が心の傷にならないように整容性にも充分に配慮した手術を心がけ、小児外科の専門医が責任を持って治療を行います。鼠径ヘルニアなどの小手術については、お子様や保護者の方の負担の少ない日帰り入院手術で対応しています。先天性疾患や小児固形腫瘍など、集学的治療が必要な疾患に対しても、小児科・新生児科・麻酔科・産婦人科とシームレスに連携しながら、それぞれのお子様や保護者の方に合わせた治療を提供しています。 当院の主たる関連病院である土浦協同病院をはじめ、東京都立小児総合医療センター等の関東圏内の複数の小児病院との連携を持って、より良質な医療を展開しております。
また、「こども医療」を一緒に盛り上げていく小児外科志望の若い力をお待ちしております。

診療科の概要

小児外科が関わる病気は、便秘などの内科的疾患をはじめ、生まれたばかりの新生児における先天性疾患、急性虫垂炎などの急性疾患まで多岐に渡ります。同じ病名がついてもお子さんやご家族にとっての問題点はそれぞれ違います。お子さんやご家族の視点に立って治療を選択しつつ、専門医として責任を持って保存的・手術的治療を行います。手術の際には整容性に充分配慮した低侵襲治療を心がけています。小児科・新生児科と、外来のブース・入院の病棟を共にし、綿密でスムーズな連携を持ちながら包括的な治療を行います。

取り扱うおもな疾患

経臍的腹腔鏡下虫垂切除術

鼠径ヘルニア、陰嚢水腫、停留精巣、臍ヘルニア、・先天性食道閉鎖症  ・先天性横隔膜ヘルニア、先天性腸閉鎖症(十二指腸・小腸・結腸)、鎖肛(直腸肛門奇形)、ヒルシュスプルング病、胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症、腹壁破裂、臍帯ヘルニア、胎便性腹膜炎(胎児腹水)、小児固形腫瘍(神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫、奇形腫、卵巣腫瘍等)、肥厚性幽門狭窄症、腸回転異常症、先天性横隔膜ヘルニア、虫垂炎、メッケル憩室、正中頚嚢胞、側頚嚢胞、尿膜管遺残、耳前瘻孔、舌小帯短縮症

日帰り入院手術

東京医科歯科大学病院小児外科では以下の疾患では基本的に日帰り入院で対応しています。朝入院して、午後手術を受けて、夕方頃に退院することが出来ます。手術を受けるお子さんの慣れない病院での滞在時間を、なるべく短くすることでストレスを軽減し、また付き添いの保護者の方も病室に泊まる必要がないため、好評を頂いております。
*生後6ヶ月未満の乳児や、気管支喘息などの御持病を有するお子さんでは、日帰りではなく1泊2日での入院をお願いすることがあります。また、そうでなくても手術直後のお子さんを家で見ることが心配な場合など、保護者の方の希望に合わせて、1泊2日入院にすることも可能です。

  1. 鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術後2ヶ月での写真。
    傷は目立たず、ほとんど分かりません。

    鼠径ヘルニア
    左右どちらか、もしくは両方の足の付け根付近(鼡径部)が脱腸により膨隆する疾患で、放置すると腸がはまって抜けなくなる嵌頓(かんとん)を起こす可能性があります。
    東京医科歯科大学病院小児外科では、新生児から学童まで、基本的に腹腔鏡手術(LPEC)を行っています。症状の原因である内鼠径輪の広がりを直接観察して閉鎖することで確実に治療ができ、また小児では10%程度起こる術後の対側発症を予防できます。
    臍の奥を切開するので目立つ傷が残らず、整容性にも優れています。ほどんどのお子さんで日帰り手術が可能です。
  2. 陰嚢水腫
    左右どちらか、もしくは両方の陰嚢の中に水が溜まって腫れる疾患です。新生児期から乳児期までは経過観察で問題ありませんが、その後も症状が残る場合は手術が必要となります。鼠径ヘルニアと同様に腹腔鏡手術(LPEC)を行っており、傷が目立たず、日帰り入院での手術が可能です。
  3. 臍ヘルニア
    いわゆるデベソのことで、皮膚が少し膨隆する程度のものから、大きく脱腸するものまであります。自然に治ることも多いので、まずは圧迫療法や経過観察を行いますが、2歳を過ぎても残る場合には、手術が必要になることがあります。東京医科歯科大学病院小児外科では臍の奥を切開することで、傷がしわに隠れて目立たなくなるようにする等の工夫を行っています。日帰り入院手術が可能です。
  4. 停留精巣
    精巣が本来の位置より高い位置にある疾患です。精巣が精子をつくる機能が障害されて男性不妊の一因となったり、精巣捻転の原因にもなるため、精巣の位置を本来の位置に固定する手術が必要になることがあります。日帰り入院手術が可能です。
  5. その他
    正中頚嚢胞、側頚嚢胞、尿膜管遺残、耳前瘻孔、舌小帯短縮症など、比較的短時間で終わる手術であれば日帰り入院が可能となる場合があります。お気軽にご相談下さい。

おもな診断・治療法

経臍的腹腔鏡下虫垂切除術
1か月後の創部

血管透過装置を使用しての
末梢型中心静脈カテーテル留置

診断法: 超音波検査、上部消化管・注腸造影検査、上部・下部消化管内視鏡検査、24 時間pH モニター、CT、MRI
治療法:( 外科的疾患)経臍的腹腔鏡下手術から従来の開腹手術まで、各々の疾患や患児に応じて適切な手術方法を選択します。どの手術法においても創を臍や皮膚の皺(しわ)の中に隠すなど整容性に充分配慮した治療を行います。
(内科的疾患)慢性便秘などの内科的消化管疾患においては、漢方を併用した治療を行います。

高度な先進医療

東京医科歯科大学小児外科では、手術を含め高度な治療を必要とする先天性疾患や小児疾患に対して、小児科の先生たちやNICUやICUのスタッフと連携して、集学的な治療を行うことが可能です。出生前診断のついた先天性疾患については、産婦人科の先生たちとも協力して、母児ともに適切な治療が受けられるような体制を整えています。

  1. 先天性食道閉鎖症
    生まれつき食道が盲端となっていて、母乳やミルクを飲めない疾患です。食道の一部が気管とつながっていることが多く、肺炎を防ぐために生まれてすぐに手術が必要です。傷がなるべく目立たなくなるように脇の下を切開するなどの工夫を行っています。
  2. 鎖肛
    生まれつき肛門がなく、排便ができない疾患です。中間位以上の鎖肛の場合、生まれてすぐに人工肛門をつくる手術が必要です。その後、生後半年くらいで肛門形成手術を行い、その数カ月後に人工肛門を閉じる手術を行います。排便機能の評価など、成人になるまで通院・診察が必要となります。
  3. 腹壁破裂/臍帯ヘルニア
    生まれつきお腹の壁の一部が欠損して臓器が体外に脱出したり、臍帯の中に脱出したりする疾患です。生まれてすぐに手術が必要です。脱出した臓器を保護するフィルムで覆ってむくみをとってから、後日お腹の中に戻してお腹を閉じる、二期的な手術を行うこともあります。
  4. 胆道閉鎖症/先天性胆道拡張症
    胆汁の流れ道である総胆管が閉塞したり、膵液が逆流することで拡張したりする疾患です。白色便や黄疸、胆管炎などの症状がきっかけで見つかることが多いです。ともに胆汁の通り道を再建する手術が必要です。
  5. ヒルシュスプルング病
    うんちを送り出すだめの大腸の蠕動(ぜんどう)がないために重度の便秘となる疾患です。浣腸しないと排便できないことが多く、新生児期より管理が必要となります。検査を行い診断が確定すれば、蠕動がない部分の大腸を切除する手術を行います。
  6. 小児固形腫瘍
    神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫、横紋筋肉腫などの小児悪性腫瘍に対しては、小児科の腫瘍グループとの先生たちと連携して、化学療法や放射線治療、手術を含めた集学的治療を行います。卵巣奇形腫、仙尾部奇形腫、卵巣嚢腫などの良性腫瘍に対する手術も対応します。
  7. その他
    十二指腸閉鎖、小腸閉鎖、結腸閉鎖、胎便性腹膜炎(胎児腹水)、腸回転異常症、肥厚性幽門狭窄症、先天性横隔膜ヘルニア、虫垂炎、メッケル憩室など、対応可能な疾患は多岐に及びます。お気軽にお問い合わせ下さい。

診療科における研究テーマ

  • 小児固形がんに対する新規治療候補薬についての基礎研究
  • 新規開発user interfaceを用いた小児腹腔鏡手術の臨床研究
  • 小児がん患者に対する末梢挿入式中心静脈カテーテル(PICC)の有用性、安全性
  • 立体視モニターを用いた小児手術への応用
  • VR(Virtual Reality)技術を用いた新規診断技術の開発

その他

小児科・新生児科と綿密でスムーズな連携を持ちつつ、外来や病棟では小学館のご厚意で装飾されたポケモンたちに囲まれながら明るい雰囲気の中で診療を行っています。
24時間営業のコンビニや、たくさんのDVDや遊具をそなえたプレイルームもあり、入院中のお子さんや付き添いのご家族のストレスが少しでも和らぐように工夫しています。

お子様と保護者の方に寄り添った、あたたかい診察と丁寧な説明、エビデンスに基づいた適確な治療を心がけています。麻酔科、集中治療部にも小児を専門とするスタッフがおり、当院全体で包括的で良質な医療を提供いたします。

パンフレット

パンフレットはこちらからPDFでもご覧いただくことができます。