取り組み

東京医科歯科大学は2つの基本理念で、新型コロナウイルス感染症に正面から取り組んでいます。

  • 東京医科歯科大学では「医学部附属病院における新型コロナウイルス感染重度・ 中等症陽性患者の受入体制の構築」を最優先事項に位置付け、全学的な支援を行っております。
  • ポスト新型コロナウイルス感染症の社会に備えた医療体制を整えます。

経緯

2020年

1月
政府専用機帰国者収容施設の支援に職員を派遣
2月
ヨーロッパ、アメリカの本学関係者・研究スタッフから情報収集
2月
ダイヤモンド・プリンセス号の患者搬送、船内診療支援に職員を派遣
2月17日
新型コロナウイルス対策会議を立ち上げ、「最悪の事態」に備えたシナリオ作成をスタート
2月17日
医療崩壊を未然に防ぐ綿密な計画を立案
2月21日
新型コロナ疑い患者に対して、 PCR検査を開始
3月
新型コロナウイルス感染症対策会議を開催。
「最悪のシナリオ」に備えたシナリオ を作成し、医療崩壊を未然に防ぐ綿密な計画を立案
3月30日
「事務局新型コロナウイルス対策室」を設置
3月30日
「最悪の事態」に備えたフェーズ1~フェーズ5のシナリオが完成
4月2日
1人目の陽性患者を受け入れる
4月2日
「検体採取テント」稼働
4月4日
ER-HCUに重症陽性患者を受け入れる
4月6日
職員のメンタルヘルス対策を開始
4月6日
コロナ病棟の最前線で働く医療従事者(看護師、医師、技師、理学療法士など)のPCR検査を開始
4月9日
医学部附属病院のコロナ陽性患者病棟、一般病棟、外来、検体採取テントなどに歯学部附属病院の看護師を派遣
4月9日
「コロナ対策通信」(メルマガ)を創刊。全職員に送信
4月9日
日報の配信開始
4月10日
歯学部、歯科技工部が開発したクリアファイルを使ったフェイスシールドの試作品が完成
4月10日
(現在までに235個、取り換えシート5000枚を制作・納品)
4月13日
救命救急センターの受け入れを一時中止
4月13日
「医病新型コロナウイルス対策室」を設置
4月13日
歯学部附属病院の外来・手術等の診療を縮小化
4月13日
歯学部附属病院の臨床検査技師を医学部附属病院の検査部へ協力派遣しPCR検査などを行う
4月14日
陽性疑い妊婦用の分娩室を設置
4月14日
コロナ以外の患者の、入院前スクリーニング(PCR検査)を開始
4月15日
ICUを「新型コロナウイルス患者受入病棟」として稼働
4月17日
歯科医師による医学部附属病院入り口でのスクリーニング業務の協力を開始
4月18日
歯学部の研究系教員が職員のPCR検査解析作業を開始
4月20日
救命救急センターでの陽性救急患者、疑い救急患者の受け入れ開始
4月20日
ICUで重症陽性患者用に8床設置(病院全体で重症16床)
4月21日
女性議員のコロナ病棟視察
4月24日
緊急性のない手術を全面中止

写真は手術中止に伴い外科医が中心となって結成したバックヤードチームによる清掃風景

4月24日
陽性患者へのリハビリテーション介入を中等症患者対象にスタート
4月27日
ER-HCUを一時閉鎖
4月27日
ER-ICUに重症陽性患者用に10床設置(病院全体で重症18床)
4月27日
1日の入院中陽性患者数が36人に達する(最大値)
5月4日
重症患者の総受け入れ患者数が24人となる
5月5日
月報の配信開始
5月13日
COVID-19 肺炎疑い紹介外来スタート
5月18日
安否確認システムを用いた情報発信開始
5月18日
1日6名の手術が可能な体制に戻す
5月25日
1日12名の手術が可能な体制に戻す
5月25日
一般患者の手術を1日6例まで再開
5月25日
週報の配信開始
5月26日
医療スタッフ用の専用ページ開設
6月1日
初診事前予約を通常体制に戻す(一部診療科を除く)
6月1日
手術体制も通常の70%程度までに回復させる
6月15日
歯学部附属病院の外来診療を再開
6月17日
9階ER-HCUを「パンデミック病棟(陽性重症病棟)」に改装し、
6月17日
重症の新型コロナウイルス感染症陽性患者の診療と受け入れをスタートする
6月30日
一般ICUを再開(予定)
7月6日
3号館コロナ肺炎外来をスタート(予定)
7月27日
コロナ陽性患者さんの「軽快退院」100症例目を達成
8月7日~9月3日
ICU改修(壁増設)
9月1日
コロナ対応清掃業者導入
9月7日
コンテナCT稼働
9月17日
コロナ外来診療センター開始
9月17日
3号館コロナ肺炎外来を終了し、コロナ外来診療センターをスタート
9月23日
ICUに「仕切り」を設置し一般ICUとコロナ重症ICUに分ける
9月27日
コロナ陽性患者さんの累積入院数が200人目に到達
9月28日
予定手術を1日11列に拡大
10月2日
コロナ外来診療センターを議員・メディアが視察
11月2日
コロナ陽性患者さんの「軽快退院」200症例目を達成
11月24日
予定手術を1日12列に拡大
11月28日
小池百合子東京都知事が当院を視察

2021年

2月5日
コロナ陽性患者さんの「軽快退院」300症例目を達成
3月29日
N501Y、E484K 変異を有する新型コロナウイルスの新規変異株のスクリーニングPCR検査が当院に入院したコロナ陽性患者を対象にスタート
4月25日
東京都の要請を受けて重症病棟を8床から10床に増床
5月2日
東京都の要請を受けて重症病棟を10床から12床に増床
*現在のコロナ関連病床数52床の内訳:重症12床、中等症25床、疑い15床
5月2日
重症病棟の増床に伴い、「支援医師」3~4人を日勤帯に配置(脳神経外科、耳鼻科、泌尿器科、呼吸器外科、総合外科、消化器外科から派遣)。サポート内容は、重症患者の受入れ、院内搬送、転院搬送、腹臥位療法補助など
5月6日
当院に入院したコロナ陽性患者を対象にインド型変異株のスクリーニングPCR検査をスタート
5月7日
ゴールデンウィーク中に、新規疑い入院患者53人、新規陽性入院患者12人を受け入れる
5月15日
コロナ陽性患者さんの「軽快退院」400症例目を達成
5月15日
コロナウイルスワクチン医療従事者への先行接種を開始
6月14日
重症感染患者の減少に伴い、重症病棟を12床から8床体制に減床し、一般のICU病床と手術枠を増やす
*現在のコロナ関連病床数48床の内訳:重症8床、中等症25床、疑い15床
6月16日~7月1日(9日間)
歯科医師への新型コロナウイルスワクチン接種研修実施
(受講者合計 426名)
7月8日~7月10日
新型コロナウイルスワクチン職域接種
(本学にて実施 1回目 合計 3,264名)
8月4日~8月6日
新型コロナウイルスワクチン職域接種
(本学にて実施 2回目 合計 3,225名)
8月7日
COVID-19 陽性患者「軽快退院」500症例目を達成
8月9日~
稼働ベッド数を8月16日時点で現在の70%まで減少するように入退院を調整
8月16日
予定手術を1日6列の運用に縮小
8月16日
東京都の要請を受け、重症病床を10床へ増床
8月23日
東京都の要請を受け、重症病床を12床へ増床
9月27日
中等症病棟を49床から24床に縮小しました
10月1日
a href="../news/index.html#day20211001">医学部附属病院と歯学部附属病院が統合し「東京医科歯科大学病院」になりました。これに伴って、医病新型コロナウイルス対策室が「病院新型コロナウイルス対策室」と名称変更しました。
10月4日
重症病棟を12床から8床に縮小しました
10月4日
予定手術枠を6列から8列に拡大しました
10月12日
重症病床を8床から6床に縮小しました
11月15日
重症病床を3床に縮小しました(重症3床/中等症24床体制)
11月25日
コロナ陽性の入院患者さんが0人になりました
11月29日
予定手術を月・水は13.5列、それ以外の曜日は12.5列の運用に拡大しました
12月3日
コロナ医療従事者向けに第3回目のワクチン先行接種を開始しました
12月20日
医療従事者向けに第3回目のワクチン接種を開始しました
12月30日
およそ30日ぶりに中等症患者さんが入院しました
12月30日
新型コロナウイルス感染症の経口治療薬モルヌピラビル(ラゲブリオ)の処方を開始しました

2022年

1月1日
重症病床を3床から4床に拡大しました(重症4床/中等症24床体制)
1月7日
重症病棟におよそ40日ぶりに重症患者さんが入院しました
1月24日
中等症病床を24床から49床へ拡大しました(重症6床/中等症49床体制)
2月10日
コロナ陽性入院患者数が過去最高の48人(重症5人/中等症43人)を記録しました
2月14日
重症病床を6床から12床に拡大しました(重症12床/中等症49床体制)
3月22日
重症病床を6床、中等症病床を24床へ縮小しました。

2023年

3月10日
入院前スクリーニングPCR検査が終了しました。
3月14日
コロナ肺炎外来センターが終了しました。

最新データ

COVID-19関連入院患者数 (2022年6月30日時点)
累計 3,677人(重症 237人/中等症 724人/疑い 3,108人)

東京医科歯科大学病院コロナ重症・中等症・疑い患者の入院受け入れ数(2020年4月~)

  2020年 2021年 2022年  
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 累計
コロナ重症 220 23 22 211 215 212 29 211 213 212 211 210 211 216 23 25 218 29 21 20 20 27 22 10 2 1 3 221
コロナ中等症 36 10 8 39 23 13 12 15 24 35 9 13 35 40 12 39 60 30 4 1 2 59 90 40 43 19 13 609
コロナ陽性入院合計 56 13 10 50 38 25 21 26 37 47 20 23 46 56 15 44 78 39 5 1 2 66 112 50 45 20 16 830
コロナ疑い 67 130 97 111 99 129 130 146 137 157 129 170 136 128 142 138 100 108 132 142 148 97 74 76 49 75 61 2847
コロナ関連入院総数 123 143 107 161 137 154 151 172 174 204 149 193 182 184 157 182 178 147 137 143 150 163 186 126 94 95 77 3328

コロナ病床数の推移(2021年8月~2022年6月)

  2021年 2022年
~8月29日 8月30日~ 10月4日~ 10月12日~ 11月15日~ 1月1日~ 1月24日~ 2月14日~ 3月22日~ 3月28日~ 4月13日~ 6月16日~
コロナ重症病床 12床 12床 8床 6床 3床 4床 6床 12床 6床 6床 6床 2床
コロナ中等症病床 25床 49床 24床 24床 24床 24床 49床 49床 24床 24床 24床 10床
コロナ疑い病床 15床 15床 15床 15床 15床 15床 15床 15床 15床 15床 15床 6床
コロナ関連病床合計 52床 76床 47床 45床 42床 43床 70床 76床 45床 45床 45床 18床
PCR検査実施件数 (2020年4月7日~2022年7月18日)
入院患者 累計 8,333件/外来患者 累計 7,878件/術前・入院前スクリーニング 累計 36,239件/退室・退院判定 累計 1,732件/接触者スクリーニング 累計 600件/職員スクリーニング 累計 16,803件/全ての累計 77,579件
COVID-19陽性患者の放射線検査数 2022年7月18日時点
●院内 
一般撮影 累計 4,310件 
ポータブル撮影 累計 10,538件
CT 累計 7,249件 

●コロナ外来診療センター
一般撮影 累計 720件
CT 累計 1,002件
COVID-19陽性患者の外来診療状況 2022年7月18日時点
●外来4階外来陰圧室 累計 799件
●外来2階入院前PCR室 累計 31,494件
●コロナ外来診療センター
肺炎外来診療 累計 2,307件
濃厚接触者診療 累計 4,741件
ワンストップ入院PCR 累計 267件
COVID-19陽性患者への
リハビリテーション介入数
2022年7月18日時点
累計 4,712件
(内訳:重症直接介入 773件/中等症直接介入 3,673件/リモートリハ 122件/ST嚥下評価 144件)
精神科メンタルヘルスケアチームによる面談等 2022年4月1日時点
累計 3,309回
●職員面談・レクチャー 累計2,703回(看護師 441回/医師 599回/コメディカル 65回/事務・クラーク 216回/職員面談 532回/フォローアップ面談850回)
●COVID-19患者・家族対応 累計 587回
●メンタルレクチャー 38回
医療機器の在庫状況 2022年7月18日時点
成人用人工呼吸器 88台
ECMO 7台
NO吸入療法機器 8台
血液浄化装置 11台
COVID-19患者関連病床数 2022年7月18日時点
合計 24床(陽性重症 2床 陽性中等症 10床 疑い 12床)
バックヤードチーム (2020年4月19日~6月11日時点)
(医師、歯科医師等による清掃・電話対応・患者搬送作業等)
合計約200人が活動に参加

データ

収支への影響

本学が新型コロナウイルス感染症対策に取り組むことによる支出と大幅減収に伴う収支の悪化(赤字)見込みについて

外来診療の制限や予定出術の中止、一部病棟閉鎖等による
収支の悪化(赤字)見込
医学部附属病院 9億円/月
歯学部附属病院 3億円/月

(2020年4月現在)

当初計画に対する赤字見込

上半期 下半期 2020年度合計
医学部附属病院 25.9億円 50.8億円 76.7億円
歯学部附属病院 10.9億円 14.6億円 25.5億円
両病院計 36.8億円 65.4億円 102.2億円

(2020年4月現在)

COVID-19 対応のための臨時支出 → 空調設備や陰圧装置や人工呼吸器その他医療材料や危険手当を含め、今後にわたり数億円以上の支出見込

田中雄二郎学長メッセージ

新型コロナウイルス感染に正面から取り組む
―大学基金へのご協力のお願い―

全世界が新型コロナウイルス感染という危機に直面しています。これは世界の4 人に1 人が感染し、5000 万人が死亡したスペイン風邪以来の大規模パンデミックとも言われており、大きく世の中を変えることになると思います。
大学自体も、卒業式、入学式が相次いで中止となり、教育はe-ラーニング、研究もコロナウイルス感染関連以外は最低限となり危機的状況です。
もともと、本学は「知と癒しの匠みを創造し人々の幸福に貢献する」という理念を掲げています。
この理念に基づき、東京に位置する医系国立大学としてこの危機に正面から取り組むのは使命だと考えて行動を開始しました。

新型コロナウイルス感染克服を最優先に

新型コロナウイルス感染克服への取り組みを最優先課題としました。
大学病院は高度先進医療を優先すべきだという議論もあります。しかし感染爆発の状況に至れば、そのような姿勢は社会的に許容されないだろうと考え、3月初旬から準備を開始しました。
診療面では、医学部附属病院がこの前面に立ち、集中治療室全体を陰圧化するなどの改装や、病院前に検体採取用テントを設置するなどのハード面の改修を行いました。また、新たに20台の人工呼吸器を購入し、ECMO(人工肺)5台、人工呼吸器82台の体制を敷いて多くの重症患者様の治療に当たっています。
ソフト面では、多くの研究者たちの応援のもと院内感染ゼロを維持するため入院患者様およびコロナウイルス対応職員の院内PCR検査体制を実施しています。また、コロナウイルス感染拡大防止の観点から医学部および歯学部附属病院の通常診療も大幅縮小し、患者様にはご迷惑をおかけしつつ、そのスタッフたちがコロナウイルス対応スタッフの応援に回っています。

このような本学の取り組みの結果、全国でも有数の新型コロナウイルス感染者の治療に当たることができ、その社会貢献を評価して頂き、防護服の寄附や弁当の差し入れなどを頂戴することが出来ました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

しかしながら、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるために、皆様のご支援を重ねてお願い申し上げる次第です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いることが出来ますよう使途も明らかとして、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。
宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。

東京医科歯科大学 学長 田中雄二郎

新型コロナウイルス対策基金にご協力ください

東京医科歯科大学は、新型コロナウイルス感染症に正面から立ち向かっています。そのため、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるためには、皆様のご支援が必要です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いるよう、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。