研究成果(医療者向け)

免疫逃避型(E484K 変異)系統株と英国型(N501Y 変異)系統株の市中感染共存事例を確認

2021.04.22

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科ウイルス制御学分野の武内寛明(たけうち ひろあき)准教授・医学部附属病院病院長補佐、難治疾患研究所ゲノム解析室の谷本幸介(たにもと こうすけ)助教、リサーチコアセンターの田中ゆきえ(たなか ゆきえ)助教らによる本学入院患者由来SARS-CoV-2 ゲノム解析プロジェクトチームは、木村彰方(きむら あきのり)理事・副学長・特任教授および貫井陽子(ぬくい ようこ)医学部附属病院感染制御部・部長との共同解析により、2021 年3 月中旬から4 月上旬までの期間において、本学病院への入院または通院歴のあるCOVID-19 患者から、免疫逃避型変異(E484K)を有する国内系統株(R.1)の継続的な感染事例だけでなく、感染伝播性の増加が懸念される変異(N501Y)を有する英国型系統株(B.1.1.7)の新たな市中感染事例も確認しました。

【ポイント】

  • 2021年3月中旬から4月上旬までにおいて、東京医科歯科大学医学部附属病院に入院または通院歴がある複数のCOVID-19 患者から、E484K 変異を有する系統株(R.1)およびN501Y 変異を有する英国系統株(B.1.1.7)の市中感染事例を確認しました。
  • 2021年3月末以降、英国系統株(B.1.1.7)の感染事例を複数確認したことから、市中流行株がB.1.1.7 系統株に遷移しつつあることが考えられます。

田中雄二郎学長メッセージ

新型コロナウイルス感染に正面から取り組む
―大学基金へのご協力のお願い―

全世界が新型コロナウイルス感染という危機に直面しています。これは世界の4 人に1 人が感染し、5000 万人が死亡したスペイン風邪以来の大規模パンデミックとも言われており、大きく世の中を変えることになると思います。
大学自体も、卒業式、入学式が相次いで中止となり、教育はe-ラーニング、研究もコロナウイルス感染関連以外は最低限となり危機的状況です。
もともと、本学は「知と癒しの匠みを創造し人々の幸福に貢献する」という理念を掲げています。
この理念に基づき、東京に位置する医系国立大学としてこの危機に正面から取り組むのは使命だと考えて行動を開始しました。

新型コロナウイルス感染克服を最優先に

新型コロナウイルス感染克服への取り組みを最優先課題としました。
大学病院は高度先進医療を優先すべきだという議論もあります。しかし感染爆発の状況に至れば、そのような姿勢は社会的に許容されないだろうと考え、3月初旬から準備を開始しました。
診療面では、医学部附属病院がこの前面に立ち、集中治療室全体を陰圧化するなどの改装や、病院前に検体採取用テントを設置するなどのハード面の改修を行いました。また、新たに20台の人工呼吸器を購入し、ECMO(人工肺)5台、人工呼吸器82台の体制を敷いて多くの重症患者様の治療に当たっています。
ソフト面では、多くの研究者たちの応援のもと院内感染ゼロを維持するため入院患者様およびコロナウイルス対応職員の院内PCR検査体制を実施しています。また、コロナウイルス感染拡大防止の観点から医学部および歯学部附属病院の通常診療も大幅縮小し、患者様にはご迷惑をおかけしつつ、そのスタッフたちがコロナウイルス対応スタッフの応援に回っています。

このような本学の取り組みの結果、全国でも有数の新型コロナウイルス感染者の治療に当たることができ、その社会貢献を評価して頂き、防護服の寄附や弁当の差し入れなどを頂戴することが出来ました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

しかしながら、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるために、皆様のご支援を重ねてお願い申し上げる次第です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いることが出来ますよう使途も明らかとして、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。
宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。

東京医科歯科大学 学長 田中雄二郎

新型コロナウイルス対策基金にご協力ください

東京医科歯科大学は、新型コロナウイルス感染症に正面から立ち向かっています。そのため、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるためには、皆様のご支援が必要です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いるよう、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。