研究成果(医療者向け)

「インド型SARS-CoV-2 系統株(B.1.617 系統)の新たな市中感染事例を確認」~医科歯科大 新型コロナウイルス全ゲノム解析プロジェクト 第6報~

2021.05.14

【ポイント】

  • 2021 年 4 月上旬から 4 月下旬までにおいて、東京医科歯科大学医学部附属病院に入院または通院歴がある複数の COVID-19 患者から、E484K 変異を有する系統株(R.1 系統)および N501Y 変異を有する英国型系統株(B.1.1.7 系統)へのさらなる市中感染事例を確認しました。
  • 2021 年 5 月初旬に入院歴がある COVID-19 患者から、インド型 SARS-CoV-2 系統株(B.1.617.2系統)の市中感染事例を確認しました。
  • B.1.617.2 系統株への感染割合はインドや英国において増加傾向にあり、インド型系統株(B.1.617.2 系統)は、少なくとも英国型系統株(B.1.1.7 系統)と同程度の感染伝播性が示唆されています。

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科ウイルス制御学分野の武内寛明(たけうち ひろあき)准教 授・医学部附属病院病院長補佐、難治疾患研究所ゲノム解析室の谷本幸介(たにもと こうすけ)助教、 リサーチコアセンターの田中ゆきえ(たなか ゆきえ)助教らによる本学入院患者由来 SARS-CoV-2 ゲ ノム解析プロジェクトチームは、木村彰方(きむら あきのり)理事・副学長・特任教授および貫井陽 子(ぬくい ようこ)医学附属病院感染制御部・部長との共同解析により、2021 年 4 月上旬から 5 月上 旬までの期間において、本学病院への入院または通院歴のある COVID-19 患者から、免疫逃避型変異 (E484K)を有する国内系統株(R.1 系統)および感染伝播性の増大に関わる変異(N501Y)を有する英 国型系統株(B.1.1.7 系統)への継続的な市中感染事例だけでなく、感染伝播性の増加が懸念される変 異(L452R)を有するインド型系統株(B.1.617.2 系統)の新たな市中感染事例も確認しました。