肺は肺胞という小さな風船状の袋がたくさん集まってできており、私たちはこの肺胞の壁を通じて酸素を取り込んでいます。間質性肺炎とは、この肺胞の壁に炎症や損傷が起こる病気の総称です。このような炎症や損傷は徐々に肺胞の壁を厚く硬くすると考えられています。病状が進行すると肺胞の壁が厚くなり酸素を取り込みづらくなります。また肺が硬くなることにより深呼吸がしづらくなります。肺胞の壁が硬くなることを線維化と呼び、一度線維化した部分は元の軟らかい肺に戻ることはありません。
間質性肺炎は原因によって以下のように分類されています。原因によって治療が異なることがあるため、問診、身体診察、血液検査、胸部CT、内視鏡検査や組織検査などの検査を行って原因の検討をします。肺の組織検査が正確な診断に必要なことが多いですが、組織検査には危険も伴うため、施行の是非は慎重に相談します。
間質性肺炎の進行のスピードは患者さんによって大きく異なります。進行するIPFの患者さんには肺胞壁が固くなるのを和らげる薬(抗線維化薬と呼びます)の服用をおすすめしています。進行するIPFの患者さんは5年後の生存率が30%程度とされ、癌と同程度に低いという報告もあり、間質性肺炎の疑いがあると指摘を受けた場合には呼吸器内科の専門施設への受診を一度はお勧めします。抗線維化薬は病気の進行を緩やかにできる場合がありますが、効果には個人差があります。現在使用できる抗線維化薬にはピレスパⓇ、オフェブⓇがあります。
IPF以外の間質性肺炎では、多くの場合ステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)や免疫抑制剤が用いられます。
風邪などをきっかけに急激に病状が悪化することがあります。これを急性増悪(ぞうあく)と言います。急性増悪が起きると致死率が50%を超えるとも言われています。急性増悪を確実に防ぐ方法はありませんが、日常の手洗い、うがいを徹底するとともに、肺炎や季節性インフルエンザのワクチンを受けておくことが推奨されます。