東京医科歯科大学小児科

東京医科歯科大学小児科は、日常的な小児医療から難病の治療まで、
患者様の立場に立った優しい医療を行っています。

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専攻医研修プログラム 入局案内

小児科専攻医プログラム

1.東京医科歯科大学小児科専攻医プログラムの説明
2016年度以降に初期研修を修了し、2017年度以降専門研修を始められる方は、新たな新専門医制度に則した研修プログラムに沿った形での研修が必要です。本ページは東京医科歯科大学小児科専攻医研修プログラムの説明要約です。詳細は以下からプログラムをdownloadしてください。また、公表されている専門研修プログラムは学会による一次審査を通過したものであり、機構による二次審査の結果、修正・変更がありうることをご承知おきください。
(医科歯科大学小児科専攻医研修プログラム_2024.pdf)
なおご不明な点は以下までお問い合わせください
東京医科歯科大学小児科医局秘書宛メールアドレス:sec.ped@tmd.ac.jp
2.東京医科歯科大学小児科研修プログラムの概要 (はじめに)
小児科は生涯における「最初の大切な十数年」を担当し、成人領域につなぐ診療科です。こどもの健全な成長と発達を念頭におきながら、成長、発達の過程にある小児のみならず、場合によっては胎児期から、若年成人まで、幅広い年齢を対象とし、さらにはすべての領域を幅広く診療するという意味ではgeneral physicianとして高い能力が求められます。一方、現在の日本では、それぞれの専門分野(subspecialty)に対してはより高度な医療を提供することが求められ、それらに対する高い臨床技術を併せ持つことも重要です。さらに優れた小児科医であるためには、小児特有の成長、発達に関する幅広い知識はもちろんのこと、医師以外の医療スタッフとの協調性、社会的な多くの事象を含む問題対応能力、安全管理能力、患者やその家族との良好なコミュニケーションを確立する技術など、幅広い視野と経験に基づいた高い診療技術が要求されます。
東京医科歯科大学小児科専攻医後期研修プログラムは、「最高レベルの一般診療と最先端の専門医療の提供」をモットーに、小児医療の水準向上・進歩発展を図り、小児の健康増進および福祉の充実に寄与する優れた小児科専門医を育成することを目的とします。また「小児科医は子どもの総合医である」という基本的姿勢に基づいて「子どもの総合診療医」「育児・健康支援者」「子どもの代弁者」「学識・研究者」 「医療のプロフェッショナル」の5つの資質を備えた小児科専門医となるべく、一定の専門領域に偏ることのない幅広い研修を提供し、上記の社会的要望に応えられるような優れた小児科医の育成を目指します。
一方、これから小児科医になられる若手の先生方とっては、後期研修が修了した後、どのような小児科医になるか、あるいはどのようなキャリアを積まれるか、ということも大変大きな問題であり、それぞれのライフプランに応じて選択する研修コースや内容も異なってくることと思います。東京医科歯科大学小児科専攻医後期研修プログラムは、後期研修が果たすべき役割を踏まえながら、より多くの先生方の幅広い御要望に応えられるよう、複数のコースを提供します。これらのうちいくつかは女性の先生方や、ご家庭の事情にも配慮できるものです。無論、いずれのコースでも大学を含む地域基幹施設クラスでの豊富な症例と指導医に基づいた研修が受けられる一方、それぞれ臓器別の高い専門性をもつ症例についても、優れた指導医のもとで研修を受けることができます。
さらに我々は、research mindを持つ先生方のご希望にも添えるようにしたいと思っております。我々小児科医に課せられた課題は、基本に立ち返り、疾患の根本原因と発症機序を探索することだと考えています。原因が解明されれば対応策に辿り着きます。根治的治療法の開発から、こどもを成人領域にひきつぎ、思い通りの社会生活を送ってもらうことは重要な目標です。 また私たちは多様性を大切にします。多くの様々な考え方を持った先生方に我々のプログラムの研修を受けていただくことで、小児医療の多様性を維持するとともに、それらが最善の医療を提供し、よりよい医療の開発を目指しています。このような目標に少しでも近づけるよう、皆様と一緒に仕事をすることができることを楽しみにしております。
3.小児科専門研修方法について

3年間の小児科専門研修では、日本小児科学会が定めた「小児科医の到達目標」の臨床能力の獲得をめざして研修を行います。

  1. 1) 到達目標
    臨床現場での学習:外来、病棟、健診などで、臨床経験を積むことが基本となります。経験した症例は指導医からフィードバック・アドバイスを受けながら、臨床能力を定着させてゆきます。
  2. 2) 年間スケジュール
    本プログラムの年間スケジュールは以下の通りです。
    年に3回、開催される合同勉強会(1回は1泊2日の宿泊学習)では、当プログラムに参加するすべての専攻医が一同に会し、勉強会を行います。ここでは積極的に発表を行っていただくとともに、基本的な事のみならず、最新の知識、あるいは明日から使える臨床の知識をupdateしていきます。さらには多施設にいる専攻医と指導医の交流を図る場でもあります。
    下記の表以外では、年1回の小児科地方会での発表を原則義務としています。また小児科専攻医受験に必須となった論文の執筆に関しては、大学各専門グループ、および連携施設指導医の指導のもと、テーマを2年次5-6月に決定し、2年次3月までに投稿することを目安とします。
    なお詳細については、プログラムをご覧ください。
    1年次 2年次 3年次 修了者 内容
    4 終了ガイダンス
    研修管理委員会による研修手帳チェック
    研修管理委員会による研修手帳・症例レポートの確認および判定
    5 専門医認定審査書類準備
    6 東京医科歯科大学小児科専攻・医後期研修プログラム合同セミナー(開催は5-6月の週末)
    9 臨床能力評価(Mini-CEX)
    研修手帳の記載、および指導医とのふりかえり
    10 研修管理委員会(必要に応じて開催、もしくはメールでの討議)
    ・研修進捗状況の確認
    ・次年度採用予定者の審査
    ・次年度採用予定者の決定 
    11 東京医科歯科大学小児科専攻医後期研修プログラム合同セミナー(1泊2日名称アトムの会)
    小児科専門医取得のためのインテンシブコース
    3 臨床能力評価(Mini-CEX)
    研修手帳の記載、および指導医とのふりかえり
      360度評価
    2 東京医科歯科大学小児科専攻医後期研修プログラム合同セミナー(開催は1-2月の週末)
    3~4 研修管理委員会
    ・研修修了予定者の修了判定
    ・研修進捗状況の把握
    ・次年度研修プログラム、採用計画などの策定
  3. 3) 週間スケジュール (各種カンファランスなどによる知識・技能の習得等)
    基幹施設である大学研修での週間予定は以下の表の通りです。特徴としてまず挙げられるのは、毎朝病棟で開催されるモーニングカンファランスです。月曜日は、病棟全症例の経過報告を、それ以外の日は、曜日毎に担当グループが決まっており、それぞれのグループの症例を検討します。重点症例(診断や治療の判断に迷う症例、難しい症例、重症例など)は必要に応じて詳細に報告し、臨床上、重要と思われる判断を科の総意として行います。プレゼンテーションはパワーポイントで作成されるので、作製する研修医や若手医師にとっては若干の負担ですが、これを続けるうちに自然とプレゼンテーション能力があがります。また多くの症例がしっかりとした形でまとめられているので、聞いているだけでも大変勉強になります。一般病院ではなかなか経験できない充実した研修ができるはずです。こうした症例を適切にまとめ、良いプレゼンテーションをできるようにすることも、大学の研修の大きな目標の一つになります。

    毎週月曜日夕方に開催されるマンデーセミナーでは、さらに重点的に検討を重ねたい症例や、学術的に興味深い症例などの検討を行います。このセミナーでは臨床や基礎研究に関わる最新のtopicを学ぶための外部講師講演、あるいは最新の臨床情報を得る目的での抄読会なども行います。抄読会では発表は主には後期研修医が担当します。後期研修医は、指導医のもとで担当症例のまとめを作製するとともに、その背景は再先端の情報をon lineで検索しながら、学習し、その成果を発表します。またこのセミナーは茨城県地域医療連携の構想のもと、土浦協同病小児科とビデオカンファの形式をとっており、症例検討などでは他施設からのより多くの意見を聞くことができます。

    そのほか月に1回、各専門グループの抄読会勉強会があり、最新の専門に関する知識を吸収するとともに、大学で担当した症例については研修医の先生に発表していただきます。 また大学全体では、年に数回、全職員を対象とした医療倫理、医療安全、院内感染対策などについての講習会があります。これらの受講は学内で義務づけられています。 所属するグループは臓器別に分かれており、毎月担当となるグループが変わります。主には病棟患者の診療が中心ですが、必要に応じて外来や外来での処置なども担当します。また月に数回の当直業務があり、救急外来などの診療も行います。

    【大学での研修の週間予定】
    土・日
    7:30~8:00 受け持ち患者情報の把握等  
    8:00~8:30 モーニングカンファランス(含む患者申し送り) 週末日直もしくは宿直月2回程度
    8:30~9:00 チーム回診
    午前 病棟・一般外来・外来処置(診療チームによって異なる)
    午後 病棟・一般外来・外来処置(診療チームによって異なる) 合同勉強会年3回
    17:00~ 16:30~17:30
    教授回診
      17:00~18:00
    周産期カンファ
    振り返り
    月1回
    マンデーセミナー(18:00~19:00) 診療グループ毎の抄読会、および症例報告、
    研究報告会(各グループ月1回)
    当直 週1回程度
4.研修施設群による研修プログラム
  1. 1) 研修施設群と研修コース
    東京医科歯科大学小児科専攻医後期研修プログラム連携施設図
    上図のように、本プログラムは10の連携施設から成る病院群で研修を行います。
    連携施設の小児科は地域の中核を担う総合病院の小児科として、いずれも規模が大きく、小児科医が最低常勤8名以上勤務し、時間外小児救急(原則24時間365日)を行っています。多くの施設が年間入院数1000人以上、外来患者数30000人以上の患者数です。これら、症例が豊富な施設群で各地域に根ざした小児救急を含めた医療の研修を行うことができます。
    また各連携施設には、医科歯科プログラム専用の常勤指導医が配置されており、それらの指導医から継続的な指導を受けていただけます。

    本プログラムにおける 研修施設群と、年次毎の研修モデルコースは下表のとおりです。
    研修医 コース 6~18ヶ月 6~18ヶ月 6~18ヶ月
    1 小児総合診療コース 大学 ネットワーク施設
    病院群
    ネットワーク施設
    病院群
    2
    3
    4
    5 ネットワーク施設
    病院群
    大学 ネットワーク施設
    病院群
    6
    7
    8
    9 ネットワーク施設
    病院群
    ネットワーク施設
    病院群
    大学
    10
    11 小児先進専門
    医療コース
    ネットワーク施設
    病院群
    ネットワーク施設
    病院群
    大学(病棟医)
    12
    13 大学院進学
    コース
    ネットワーク施設
    病院群
    大学(病棟医) 大学院
    (大学における臨床研究に従事)
    14
    • 小児総合診療コース
      3年間で連携施設を回ることにより、小児のprimaryな診療技術をバランスよく研修します。大規模な小児科であっても、その病院のもつ医療資源や、地域性などで診療への考え方は大きくことなります。東京都外の施設もあり、それぞれの地域を担った医療を行っています。また病棟での診療業務はもちろん、外来でcommonな疾患はもとより、予防接種や乳児健診などの小児一般診療に必須な技術についても多く研修ができます。
    • 小児先進専門医療コース
      研修の最後の年を大学で研修します。大学での研修全ての時間が希望するsubspecialtyのグループで行える訳ではありませんが、早い段階でsubspecialtyの研修を行いたい方にとっては、大学において専門に特化した診療に触れる事ができるため、良い選択肢であると考えています。
    • 大学院進学コース
      なるべく早く研究を始めたい、という方向けです。3年目は大学で臨床に携わりながら、大学院生としての研究生活を始めて頂きます。原則subspecialtyを決めた上で大学院進学になるため、研修の早期にsubspecialtyを決めていく必要があります。このコースを選択した場合、卒後8年目で学位の取得が可能となります。どのコースになるかは、本プログラムでの研修がマッチした後、先生方のご希望をお訊きしながら、相談して進めて行くことになります。
    • 関連施設での研修について
      本プログラムでは基幹施設である東京医科歯科大学病院や連携施設での研修を行うことで、小児科専門医取得をするための研修は十分であると考えています。しかし専攻医の方によっては、より専門性の高い、あるいはある特定の分野についてより深めて研修をされたい、というご希望が生じることもあるかと思います。我々はそうした希望にそえるように、以下の施設を関連施設とし、必要に応じて研修をしていただくことを考えております。

    施設名

    都立小児総合医療センター、あおぞら診療所、茨城県立こども病院、榊原記念病院、成育医療研究センターこころの診療部、東京都立神経病院神経小児科

5.専門研修の評価
専門研修を有益なものとし、到達目標達成を促すために、当プログラムでは指導医が専攻医に対して様々な評価(アドバイス、フィードバック)を行います。研修医自身も常に自己評価を行うことが重要であり求められます。
6.修了判定
  1. 1) 修了判定の流れ
    小児科医として必須の知識および問題解決能力、(2) 小児科専門医としての適切なコミュニケーション能力および態度について、随時、指導医・同僚研修医・看護師等の評価を行い、それらに基づき、研修管理委員会で修了判定を行います。
  2. 2) 研修計画通り、研修を履修できなかった専攻医の判定などについて
    「妊娠・出産、産前後に伴う研修期間の休止」、「疾病での休止」、「短時間雇用形態での研修」、「専門研修プログラムを移動する場合」、「その他一時的にプログラムを中断する場合」に相当する場合は、その都度諸事情および研修期間等を考慮して判定を行います。
7.より効果的な研修のために(就労環境について)
より効果的な研修を行っていただくには、専攻医の先生方が心身ともに健康であることがまずは求められます。そのためにも、本プログラムの統括責任者と研修施設の管理者は、専攻医の勤務環境と健康に対する責任を負い、専攻医のために適切な労働環境の整備を行います。専攻医の心身の健康を考慮し、過重な勤務にならないよう、配慮します。
8.専攻医の採用と修了
受け入れ専攻医数:本プログラムでの毎年の専攻医募集人数は、専攻医が3年間の十分な専 門研修を行えるように配慮されています。本プログラムでは過去3年間の小児 科専門医の育成実績(過去3年間で30名)から14名を受け入れ人数とします。
採用試験は毎年9-10月に行います。原則面接のみですが、詳細については、以下にお問い合わせください。また本プログラムへご興味のある方は一度見学に来られることを強くお勧め致します。いずれもお問い合わせは以下より行ってください。
sec.ped@tmd.ac.jp
(東京医科歯科大学小児科医局秘書宛メールアドレス)
9.最後に(さらなる未来へ)
後期研修終了後、さらにはSubspecialtyを決めた後、医科歯科大学の小児科は先生方のさらなる将来に向けてのサポートを行います。Subspecialtyを活かした臨床研修や専門施設での研修、また大学院に入っての研究や、海外留学なども考えることができます。これらについては決まったコースはなく、各個人が医局や、所属専門グループ長のスタッフと相談しながら、決めて行く形になります。
キャリアを決めるのは先生方ご自身です。我々スタッフは若手の先生方の希望に応えられるよう、努力しています。大学という組織は社会的にも大変広いつながりを持っています。ちょっと変わったキャリアや、こんなのどうなんだろう?と思っている人にとってこそ、大学という組織は最も力になれる所だと思います。是非一人でも多くの先生方に小児科医として大きく羽ばたいていただき、日本の小児医療の未来へ貢献できるようにしていきたいと考えています。
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