茨城県小児・周産期地域医療学講座
【寄附講座案内】
本講座は、①東京科学大学における小児・周産期医療の教育、研究、臨床を充実させ、高い技術を有する人間性豊かな医師を育成すること、②IT技術を駆使して本学と茨城県南地域最大の総合病院である土浦協同病院との連携を強化すること、③土浦協同病院を始めとする茨城県南地域の医療施設と共同して充実した卒後研修システムを構築すること、を目的に設置された官学連携(現在は産学連携)寄附講座です。茨城県は広大な可住面積の中に300万人の人口が拡散しており、二次医療圏が9つに分散しているため、広域医療行政上様々な課題を抱えています。また人口10万人あたりの医師数が全国で46位と大変低く、特に小児科・産科医師不足は深刻です。これら慢性的な医師不足、それに続く医療の疲弊を打開していく事は社会的急務でした。そのため本講座は、特に周産期医療に重点をおき、2010年4月から厚生労働省地域医療再生計画をもとに4年間の計画で開設されました。2014年度以降は、これらの実績が評価され、茨城県とJA茨城県厚生連の共同出資により、新たに「茨城県小児・周産期地域医療学講座」として活動を継続することになりました。
本講座は小児部門と周産期部門の二つから成っておりますが、小児部門は、今井耕輔准教授[血液・腫瘍・免疫]・細川奨助教・渡邉友博助教が、周産期部門および発生発達病態学講座(小児科学講座)と共同して、臨床、研究、教育を行っております。また筑波大学と共同で、文部科学省の事業として課題解決型高度人材養成プログラム「ITを活用とした小児周産期高度医療人養成」に採択され、双方向ビデオカンファレンスシステムにより、毎週月曜夕方のマンデーセミナーを行い、茨城こども病院、筑波大学、JAとりで総合医療センターなどとの診療上の相談・カンファレンスなどに活用している。
茨城県小児・周産期地域医療学で行われている研究の概要
原発性免疫不全症に対する新生児スクリーニング法の開発(今井)原発性免疫不全症の病態と遺伝子異常の解析・治療法の開発および最適化(基礎研究· 臨床研究)(今井)
特発性肺動脈性肺高血圧発症のメカニズム解明と治療法開発(細川)
冠動脈瘤をともなう川崎病患者のレジストリ研究(細川)
小児肺動脈性肺高血圧症についてのレジストリ研究 (多施設共同研究) (細川)
茨城県小児・周産期地域医療学で行われている臨床の概要
東京科学大学医学部附属病院小児科として診療を行っています。特に、PIDJネットワークの中心施設として原発性免疫不全症の診療を行い、診断・解析のみならず、皮下注免疫グロブリン療法・造血幹細胞移植も含めた治療も、国内最多の経験をもっています。循環器疾患は先天心疾患のみならず、肺高血圧診療の国内中心施設として多くの患者さまの診療にあたっています。