東京医科歯科大学小児科

東京医科歯科大学小児科は、日常的な小児医療から難病の治療まで、
患者様の立場に立った優しい医療を行っています。

TMDU HOME
  • 代表電話番号
  • mail
  • サイト内検索
english

診療グループの紹介

はじめに

東京医科歯科大学小児科学教室は小児難治疾患の病態解明、責任遺伝子の検査、治療法の開発を共通の目標とし、日々臨床を行っています。それぞれの専門性を高めるために、現在、8つの診療グループが連携を保ちながら診療を行っています。
大学にはアレルギーグループを除く7つのグループの常勤医師(指導医)が在籍し、先進的医療を目指すとともに、後進の指導にあたっています。いずれのグループも10の御茶ノ水子ども医療総合ネットワークを始めとするさまざまな施設と連携しながら、人材の育成、および症例の蓄積を計っており、それぞれの分野別の専門医をとることができるようになっています。
2019年度の大学病棟の入院のべ患者数は1001名(複数回入院を含)でした。

血液・腫瘍・免疫グループ

臨床

主に小児期の血液悪性腫瘍、非悪性血液疾患、悪性固形腫瘍およびIEIの診断および治療を行っています。聖路加国際病院、順天堂大学、東京大学、防衛医科大学との5施設による合同カンファレンスを定期的に開催しています。
2021年の主な新規入院患者は下記のとおりです。
急性リンパ性白血病:4、再発急性リンパ性白血病1(内CAR-T:1)、再発急性骨髄性白血病:2、骨髄異形成症候群:2、一過性骨髄異常増殖症:1、Bloom症候群・びまん性大細胞リンパ腫:1、Denys-Drash症候群・Wilms腫瘍:1、X連鎖リンパ増殖症候群2型(XIAP欠損症):3、分類不能型免疫不全症:3、Wiskott-Aldrich症候群:1、X連鎖無ガンマグロブリン血症:1、NFKB1異常症:1、NFKB2欠損症:1、血友病A:2、免疫性血小板減少性紫斑病:2、菊池病:1、自己免疫性好中球減少症:3

希少疾患に対する病態解析および診療体制の構築

先天性免疫異常症(IEI):

原発性免疫不全症・自己炎症性疾患・早期発症型炎症性腸疾患の遺伝子解析と患者レジストリの構築(PIDJ ver.2)として症例相談や難病プラットフォームを利用したデータベース構築に向けた研究体制を構築しています(https://www.jsiad.org/pidj/)。診断のための細胞生物学的解析、生化学的解析、および、かずさDNA研究所との共同研究による遺伝子解析を行っています。

毛細血管拡張性小脳失調症(A-T):

ホームページ(http://www.tmd.ac.jp/med/ped/atcp/)を利用した情報発信を行っている他、A-T診断解析センター施設として、全国の患者の実態調査を行い、新たな診断管理治療体制の構築を目指しています。

造血細胞移植

難治性血液悪性腫瘍、進行性悪性固形腫瘍やIEI患者に対して行っています。2021年度は、11例の造血細胞移植を行いました。そのうちIEIに対する移植は8例 (XIAP:3、APDS2:1、FHL3:1、LAD:1、WAS:1、LIG4:1)でした。造血細胞移植経験は今まで200例以上で、特にIEIに対する移植例は100例を越え、日本で屈指の経験と治療成績を誇っています。

多施設共同臨床研究

日本小児がん研究グループ(JCCG)などの全国多施設共同研究グループに属して小児がんに対する標準的治療法の確立に貢献しています。
循環器グループ
小児循環器疾患の全般を対象とした診療を行っています。2021年度は延べ76名の入院があり、心臓カテーテル検査数は54件、心臓外科手術数は24件(心室中隔欠損、心房中隔欠損、両大血管右室起始症など)でした。先天性心疾患以外の入院は、肺動脈性肺高血圧症13例、川崎病性冠動脈瘤5例、発作性上室頻拍(治療)2例などでした。中でも小児肺高血圧症に関しては、国内でも有数の専門的な診療を行っています。重症肺高血圧症例に対しては、初期から複数の経口標的治療薬を併用(upfront combination therapy)し、治療効果が不十分な症例にはepoprostenol持続静注療法を早期に導入しています。近年開発が進んでいる肺高血圧の新規標的治療薬も積極的に併用することで良好な治療成績をあげています。不整脈のカテーテル治療や成人先天性心疾患診療については、当院循環器内科と密に連携をとりながら診療にあたっています。
神経グループ
幅広い小児神経疾患を診療していますが、中でも難治てんかんの診断と治療に力を入れており、West症候群、Lennox-Gastaut症候群、結節性硬化症、徐波睡眠時に持続性棘徐波を示すてんかん(CSWS)、ミオクロニー失立てんかんなどの患者さんの診断、内科的治療を行っています。本学脳外科のてんかん外科との連携で、焦点切除術、脳梁離断術、迷走神経刺激療法などの治療も行っています。希少神経疾患の診断、治療も積極的に行っており、昨年度は毛細血管拡張性運動失調症、脊髄性筋萎縮症、ミトコンドリア病、Rasmussen脳炎、重症筋無力症、SSADH欠損症などの患者さんを診療しました。血液グループや他大学との共同研究ベースで疾患原因遺伝子の検索も行っています。
腎臓グループ
新生児~成人までの小児の腎臓疾患の診断・診療を行います。対象となる疾患はネフローゼ症候群、急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎、尿細管間質性腎炎、高血圧、電解質異常、夜尿症です。
特にネフローゼ症候群、腎炎の治療には力を入れており、2020年度入院患者はのべ人数でネフローゼ症候群15名、腎炎12名、ループス腎炎5名でした。病理診断のための腎生検は20例でした。条件が合えば1歳未満から経皮的針腎生検を行います。その他ファブリー病患者への酵素補充療法やアルポート症候群患者の診断・診療も行っております。
外来診療ではまた、夜尿症や昼間の遺尿(尿漏れ)、学校健診異常に対する精密検査にも積極的に携わっております。全身性エリテマトーデス等の膠原病に伴う腎炎や、新生児期から乳児期の腎障害や化学療法後の腎障害に関する診療も可能です。本学腎臓内科の協力を得て遺伝子検査も行います。
国立成育医療研究センター腎臓リウマチ膠原病科との合同カンファレンスも定期的に開催し、適切な診療と時代の最先端医療の導入を目指しております。
膠原病 リウマチ グループ
小児リウマチ性疾患全般(若年性特発性関節炎、全身性エリテマトーデス、若年性皮膚筋炎、 混合性結合組織病、ベーチェット病など)および自己炎症性疾患(クリオピリン関連周期性発熱症候群、 家族性地中海熱、TNF受容体関連周期性症候群、周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎(PFAPA) 症候群など)の診療を行っています。小児整形外科、皮膚科、眼科等、他科の小児専門医とチームを形成し、さらには成人リウマチ膠原病科とも連携し、生涯医療を意識した移行期医療を推進しています。詳細な免疫学的検査、関節超音波検査やキャピラロスコープを用いた専門的な検査を実施するとともに、難治な患者さんには生物学的製剤を用いた先進医療も実施しています。また必要に応じて自己炎症性疾患の患者様に対しては遺伝子検査も実施しています。
内分泌グループ
対象疾患は小児内分泌疾患全般ですが、中でも性分化疾患(DSD)、および先天性副腎過形成(CAH)に重点を置いています。
CAHに関しては現在東京都の新生児マススクリーニング(内分泌疾患)専門医療機関として、東京都予防医学協会のスクリーニングの指導に携わっています。21水酸化酵素欠損症をはじめとするCAHの患者数は全国随一で、臨床データを元にした論文発表や学会発表を行っています。
性分化疾患(DSD)は一般に考えられているほど稀な疾患ではない一方、その初期対応には極めて専門的な知識と技量が要され、包括的に診療できる体制を整備しており、日本小児内分泌学会による性分化疾患診療の中核施設になっています。
患者サポートとして、1型糖尿病患者会である「東京わかまつ会」の活動に指導医として協力しており、毎年8月上旬には小児糖尿病サマーキャンプを開催しています。
2020年度の内分泌疾患患者の入院患者は主には低身長、甲状腺、副腎疾患、悪性疾患治療後の方で、総数で64名でした。
新生児グループ
東京都地域周産期母子医療センターとして、在胎週数27週以上、出生体重800g以上から受け入れており、院内出生の重症児は全例収容し治療を行っています。新生児搬送については、東京都周産期搬送コーディネーターから紹介される病的新生児を受入れるとともに、各専門グループとの連携により、関連病院で出生した先天性心疾患、先天性内分泌疾患、血液疾患を有する重症の病的成熟新生児を積極的に受け入れています。
NICU退院児のフォローアップ外来、乳児健診外来に加え、2013年より、子育ての不安やこどもの成長・発達についての相談を受ける場としてすくすく外来(育児支援外来)を開設しています。
関連病院である土浦協同病院(総合周産期母子医療センター)、武蔵野赤十字病院・川口市立医療センター(ともに地域周産期母子医療センター)は地域の新生児医療の中核を担っており、連携をとり人材交流をはかりながら、若手の育成に努めています。
アレルギーグループ
小児気管支喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などの小児の各種アレルギー疾患の専門診療に当たっています。各疾患に対しアレルギー疾患診療ガイドラインに基づくスタンダードな診断、治療を実践、指導するとともに、コントロール不良な重症気管支喘息、重症アトピー性皮膚炎は入院治療を含む患者背景にあわせた重点的治療を行っています。食物アレルギー診療に特に重点をおき、アナフィラキシーなどの強い誘発症状を伴う食物アレルギー、多抗原が関与する重症かつ複雑な食物アレルギー、食物依存性運動誘発アナフィラキシーなどの特殊な症例の診断、治療をおこなうとともに、関連病院を中心に食物アレルギーの診断や除去食解除の判定のための経口負荷試験を多数実施しています。
pagetop