東京医科歯科大学小児科

東京医科歯科大学小児科は、日常的な小児医療から難病の治療まで、
患者様の立場に立った優しい医療を行っています。

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教授からのメッセージ

教授からのメッセージ

森尾 友宏教授 イメージ

 社会生活を営み、共感をベースに発展してきた人類も、地球規模での環境破壊や資源枯渇、領域保存意識、連携の拡大に伴う感染症の伝播、デジタル空間における過剰な繋がりによる攪乱などで、今後の方向性や、与えられた時間の使い方、について深く考える時期に来ているように思われます。
 医療は、共感や他者への貢献を基盤に成り立った専門領域ですが、知識の増加と共有から、その姿が大きく変わってきています。医療を受ける側では、患者及び関係者が収集できる情報量の増加と、その反面、情報の質のばらつきが、明らかになってきました。医療を提供する側では、医療の妥当性、適切性が問われるようになり、また医療経済学的視点や、先進的医療の倫理的・社会的・法的課題(ELSI)が問われるようになっています。
 我が国において子どもに対する目線は決して優しくありません。高齢者が暮らしやすい街作りという話や、子育てをしやすい街作りという話は聞きますが、子どもが楽しく過ごせ、子どもがその能力を伸ばせる街作りという話はめったに聞きません。子どもの貧困やヤングケアラーの増加は、成人の課題以上に深刻な問題に思われます。医療の変革時期にあって、小児科医が抱える課題が数多く残っています。

・東京医科歯科大学小児科の使命
 東京医科歯科大学小児科は首都圏の中心にある小児科として、果たすべき役割を明確にし進んでいきたいと考えています。大学では、世界トップレベルを目指した研究を行い、難治疾患、希少疾患を中心として最先端の診療を提供します。大学はまた教育の場であり、学生や大学院生、研修医に高品質の教育を提供します。2021年度は教室の研究成果をNature Immunology, Science Immunologyなど高インパクト雑誌に発表することができました。これからも病態解明や治療開発に向けたより良い研究成果を発信していきたいと思います。一方、私たちが誇る連携病院は、都立病院、市立病院、日赤・厚生連などの半公的病院などを中心として、地域に根ざし、地域の課題に対峙する医療機関として活動しています。これからの医療は、病院から地域へ、地域から家・個人へと展開していきます。いまこそ地域医療が大切な時代です。良質なデータの集積という点でも、高度医療の地域展開という点でも、大学との連携が重要と考えています。
・小児医療の課題
 これからの小児医療における課題は何でしょうか?1つには小児期のデータの成人への接続があげられると思います。成人疾患の芽を小児期に発見して摘むことは、大切な課題と思います。良質なデータが医療の基盤を築きます。医科歯科大学小児科では、大学のデータサイエンスグループと協働し、データ解析技術を駆使する人材、臨床研究を立案実施できる人材を育成します。また感染症、集中治療、膠原病リウマチなど様々な領域で、成人疾患の知識ももった小児科医を育てたいと願っています。
 またゲノム、タンパク、代謝、免疫などをキーワードに、臓器別専門領域を越えて臨床、研究に当たれる人材を育てることも大切と思っています。
 このような先端医療の基本にあるのは、小児科医としての基礎的素養です。私たち小児科の一般診療能力は高い。これも普段から診療グループを越えて、また診療科を越えて、連携を行ってきた成果だと思っています。
 こどもの療育環境は改善していく必要があります。こどもは病気と闘いつつも、成長し、学習し、社会活動を営むことが大切だからです。そのために私たちは、昨年クラウドファンディングで、東京芸術大学とのコラボレーションによるプロジェクションマッピングを設置しました。またNPO法人キープ・ママ・スマイリングさんの多大な支援を得て、付き添いの方々への支援にも心を砕いています。厚生労働省との人事交流で、新しい医療政策を考える仲間もいます。
・お声かけください
 このような活動をしていますが、まだまだ行うことはたくさんあります。入局に興味がある方、大学院に興味がある方、共同研究に興味がある方、など是非声をかけてください。繋がりすぎの問題点が指摘される現代ですが、連携は何よりも大切だと考えています。
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