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大腸・肛門外科外来担当表はこちら

科長のご紹介

大腸がんに対するロボット手術を始め
患者さんそれぞれに適した大腸がん治療を実践しています

科長 絹笠 祐介 -Yusuke Kinugasa-
専門医
  • 日本外科学会 専門医、指導医
  • 日本大腸肛門学会 評議員、専門医、指導医
  • 日本消化器外科学会 専門医、指導医、評議員、消化器がん外科治療認定医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、暫定教育医
  • 日本内視鏡外科学会 評議員、技術認定医、ロボット支援手術検討委員会大腸領域委員
  • 日本ロボット外科学会 理事、評議員、Robo-Doc Pilot国内A級
専門分野 大腸がんの手術治療
大腸がんに対するロボット手術
再発がんや骨盤腫瘍に対する手術治療
大腸がんに対する腹腔鏡手術
研究領域 大腸がんの診断と治療。直腸がんの機能温存手術再発大腸がんに対する集学的治療戦略。大腸がんの個別化治療、予後予測因子。大腸がんに対する低侵襲手術、ロボット手術。
専門外来 ストーマ外来
電話番号 03-5803-5254
専用ホームページ https://www.tmdsurgery.com/

当科では、大腸がんに対して、積極的に低侵襲手術(ロボット手術や腹腔鏡手術)を取り入れており、一方で、切除困難な進行がんや再発がんに対しての拡大手術も積極的に行っています。直腸がんにおいては肛門温存手術や機能温存手術を始め、ロボット手術を施行しており、多くの治療実績に基づき、国内外の大学やセンター病院をはじめ、多くの病院に対して指導を行っております。
進行した大腸がんに対しても、臨床腫瘍科や放射線科と協力して、専門スタッフがそれぞれの患者さんに応じて、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療を組み合わせて、治療効果が高く、また、負担が少ない治療法を選んで行っています。大腸がんと診断されても、安心して当科を受診してください。

診療科の概要

大腸がんを中心に、大腸ポリープや炎症性腸疾患、痔核・痔ろうなどの大腸・肛門疾患の外科治療を行っています。また、痛みが軽く、回復の早い腹腔鏡手術も積極的に行い、大腸がんに対するロボット手術を豊富な手術実績を持つ指導医を中心に行っています。
2018年4月に直腸がん、2022年4月に結腸がんに対するロボット支援下手術が保険収載され、当科では2022年4月以降大腸がんは全て健康保険でロボット手術を行っています。進行した大腸がんに対しても、臨床腫瘍科や放射線科と協力して、専門のスタッフががんの進行度やそれぞれの患者さんの病状に応じて、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療を組み合わせた先進的な治療を行っています。

取り扱うおもな疾患

  • 大腸がん(結腸がん、直腸がん)
  • 大腸ポリープ
  • 再発大腸がん、大腸がんの肝転移、肺転移(手術、抗がん剤治療)
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
  • 家族性大腸腺腫症
  • 肛門疾患(痔核、痔ろうなど)

おもな診断・治療法

診断法:
大腸内視鏡検査、注腸造影検査、CTコロノグラフィー、CT、MRI、PET 検査など
治療法:
開腹手術、腹腔鏡手術、内視鏡治療、大腸がんに対するロボット手術、再発大腸がんに対する手術(直腸がん局所再発の手術、大腸がん肝転移の切除手術など)、直腸がんに対する自律神経温存リンパ節郭清手術、化学療法(抗がん剤治療)など

(当科では、全手術症例をNCD(National Clinical Database)に登録しています。詳細はこちら(NCDホームページ 一般のみなさまへ)をご覧ください。)

高度な先進医療

  • 大腸がんに対するロボット手術
    2019年1月より日本で先陣を切って結腸がんに対するロボット手術をはじめ、良好な成績を収めています。
    大腸がんに対する究極の肛門温存手術(括約筋間直腸切除術 ISR)。
  • 直腸がんに対する自律神経を温存した側方郭清手術。
  • 大腸がんに対するリンパ節郭清を伴う腹腔鏡手術。精緻な手術手技を可能とする大腸がんに対する3D立体腹腔鏡下手術。
  • 化学療法(抗がん剤治療)を先行して行ってから手術を行う集学的治療戦略: 手術後の再発を抑制したり(Neoadjuvant 療法)、手術ができない大腸がんを化学療法にて手術ができるようにする(Conversion 療法)治療。
  • 再発直腸がんに対する重粒子線治療(QST病院(旧放射線医学総合研究所)と連携)。
  • 大腸がん局所再発に対する拡大他臓器合併切除術。

ロボット手術について

 

da Vinci Xi サージカルシステム(左画像)/da Vinci Xi専用手術台(右画像) 

ロボット手術では、ダ・ヴィンチという先進的な手術支援ロボットを用いることで、腹腔鏡下手術より精度の高い手術が可能と考えられています。術者はコンソールの中で、腹腔鏡で拡大された鮮明な3次元画像を見ながらコントロールハンドルで鉗子操作を行います。

ロボット手術の対象となる疾患は主に直腸がんであり、特に下部直腸がん(肛門に近い直腸がん)ではその利点を最大限に発揮します。東京医科歯科大学には新しいモデルであるda Vinci Xiが導入され、診療科長の絹笠は、前任地の静岡県立静岡がんセンターにて、数多くの直腸癌に対するロボット手術を施行し、その治療成績は国内外から高い評価を頂いております。

腹腔鏡下手術とロボット手術の違い

腹腔鏡下手術の場合、手術に使用する鉗子は実際の手の動きとは反対方向に動き、さらに直腸のような骨盤の深いところでは実際の手の動きより大きく動きます。また直線的な鉗子を用いるため、狭い骨盤内では操作の制限があり、腹腔鏡下手術の技術と工夫が必要となります。

ロボット支援で行う手術操作は、①実際の手の動きが鉗子に反映される直感的な操作、②人間の手の動きを模倣した多関節を持った鉗子であり、人間の手以上の自由な動き、③実際の手の動きを最大5:1まで縮尺して鉗子を動かすことによる繊細な動作が可能になります。このようなロボットの特性により、直腸がんの場合、術者は狭くて深い骨盤の中でも、容易に正確で繊細な手術が可能となります。

ロボット手術の実績

絹笠科長は、ロボット直腸癌手術指導医認定を米国のインチューティブ・サージカル社から国内で最初に認定されており、多数の実績と共に、多くの国内/外の外科医や大学病院・センター病院に対して、ロボット手術の指導を行っています。

当科では、日本一の実績をもつ医師が中心となり、多くロボット手術を行っており、2021年は年間95例のロボット手術を施行しています。2022年4月から直腸がんだけでなく結腸がんも健康保険でロボット手術を行っています。

診療科における研究テーマ

  • 低侵襲手術(ロボット手術や腹腔鏡手術など)や機能温存手術(肛門温存手術や自律神経温存手術など)による、がんの根治性と機能温存、術後QOL の両立。
  • 化学療法(抗がん剤)と手術の組み合わせによる切除率や根治性の向上。
  • Evidence based medicine と、臨床試験の基盤構築や実施・運営。
  • がんの遺伝子検査による抗がん剤感受性の予測、治療の個別化(オーダーメイド治療)。

その他

当科では、大腸がん治療に関する多くの全国規模の臨床試験を主導し、また、参加しています。臨床試験は新しい治療法や標準治療法を安全かつ確実に行う方法を開発する研究です。患者さんにご同意いただければ積極的に臨床試験へのご参加をお勧めしております。日本の大腸がん治療を世界に発信する講演を海外より招聘され多数行い、根治性の高いリンパ節郭清手技を、海外でのデモンストレーション手術などを通じて指導しています。