東京科学大学小児科

東京科学大学小児科は、日常的な小児医療から難病の治療まで、
患者様の立場に立った優しい医療を行っています。

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高度先端医療

高度先端医療

血液・腫瘍・免疫

白血病、リンパ腫、固形腫瘍、原発性免疫不全症、自己免疫疾患、再生不良性貧血、各種溶血性貧血、難治性感染症(慢性活動性EBウイルス感染症など)、止血・凝固異常症などを対象としています。原発性免疫不全症の患者様は50名以上フォローしており、毛細血管拡張性小脳失調症(免疫不全症に分類されています)に関しては、日本における診断センターとして認定されています。

先端的治療としては骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血幹細胞移植など造血幹細胞移植を積極的に行っており、分子標的療法も組み合わせ、難治性疾患の克服に取り組んでいます。その中でも原発性免疫不全症及び関連疾患に対する移植症例は40例を超え、同疾患に対しては国内でも有数の施設となっています。さらに、移植に関連する合併症に対応するために細胞治療センターと協力して新しい養子免疫療法を行っています。

また、当大学難治疾患研究所・分子細胞遺伝(稲澤穣治教授)と協力し、小児がん遺伝子検査を行ったり、ウイルス感染学分野(清水則夫助教授)と協力し、高感度網羅的迅速ウイルス検査を行ったりしており、その成果は臨床に還元されています。
造血幹細胞移植の症例数はこちらをご覧ください

生命科学研究室における基礎研究からトランスレーショナルリサーチを展開し、臨床の現場に反映させるような研究を行っていきます。
循環器
対象疾患は各種先天性・後天性心疾患(川崎病、心筋症など)、不整脈の診断および治療、そのほかの各種重症小児疾患における心機能の評価とそれに基づく呼吸循環管理、肺高血圧・酸素化障害患者に対する吸入一酸化窒素吸入療法や学校心臓検診にも取り組んでいます。
2006年の心臓カテーテル検査症例は年間53例(左右短絡疾患18、川崎病13、根治手術後12、チアノーゼ性心疾患4、カテーテルインターベンション2、そのほか5)でした。心臓手術は、現在3名の医局教室員を派遣している榊原記念病院で13例、京都府立医科大学で1例施行しています。
臨床研究としては、先天性肺血流増多心疾患の術後肺高血圧の肺血管圧-流量関係による術前予後評価、致死性不整脈症例(VT、PSVT、QT延長症候群やBrugada症候群など)に対する体表面電位図、TWAによる再分極のばらつきの評価や加算平均心電図における微小電位測定などを用いた危険因子の解析、心臓カテーテルによる電気生理学的検査による予後評価とカテーテル焼灼術による治療法の開発を行っています。
基礎研究としては、肺循環、電気生理と心発生に関する研究を、学内生命研、生体材料工学研究所難治疾患研究所および防衛医科大学校において実施しています。
肺循環は肺高血圧の機序解明に関するラットin vivo実験と、先天性心疾患患者血漿中の内因性NOS阻害物質と肺高血圧に関する臨床研究、電気生理は心室負荷と不整脈に関するマウスのin vivo実験と、致死性不整脈疾患の予後に関する臨床研究、心発生は発生段階における心室拡張機能の変化とCa2+ transientの関連に関するマウスin vivo実験を行い、実績を重ねています。
来年度はロンドンのDepartment of Anaesthetics, Pain Medicine and Intensive Care, Imperial College Londonへの教室員派遣により、留学先施設との共同研究を計画しています。
神経
臨床面では、様々な原因による発達障害やてんかん性疾患、神経・筋疾患、神経変性疾患などの初期診断・治療から慢性期の全身管理、急性疾患である髄膜炎・急性脳炎・脳症などの急性期治療、重症心身障害児医療など、大学病院・関連病院や神経専門病院の第一線で診療に従事しています。また血液・腫瘍・免疫グループと連携して、毛細血管拡張性小脳失調症患者を積極的に診療する体制が整いつつあります。
研究面では、従来からの研究テーマである発達神経学的側面からみた睡眠機構の解析と色素性乾皮症の病態解析を引き続き行っています。色素性乾皮症に関しては、当施設が関東近郊の色素性乾皮症患者の集約施設であるため、臨床症状の解析とともに神経生理学的・神経病理学的側面から病態解明・治療法開発を進めています。これまでの臨床経過・検査結果(神経生理学的検査、神経放射線画像など)の解析と、関連研究施設の協力のもとでおこなった剖検脳を対象とした神経病理学的解析から、大脳基底核病変における酸化的障害と興奮性アミノ酸毒性の関与や、大脳基底核・脳幹でのカテコルアミン系神経の選択的障害などを明らかにし、抗酸化物質やカテコルアミン作動性薬物による治療の可能性を指摘してきました。さらには、患者各年代で尿・血液・脳脊髄液での酸化的障害関連物質の定量を試み、前記の臨床神経病理学的検討の解析結果との相関を明らかにし、治療法の開発につなげたいと考えています。また、睡眠研究に関しては、発達神経学的側面からの睡眠機構の解析、睡眠障害の発達に及ぼす影響などについて、これまでの蓄積データを分析し解明に取り組んでいます。
内分泌
先天性副腎過形成症、成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、汎下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症・亢進症、1型・2型糖尿病、副甲状腺機能低下症、思春期早発症、性腺機能低下症などを対象とした診療を行っています。
先天性副腎過形成症の新生児マススクリーニングのセンター施設として診断法・治療法の確立を行うとともに、臨床症状と遺伝子異常の相関についても検討しています(東京都予防医学協会などとの共同研究。中国でのスクリーニング導入にも関与しています)。
研究面では、難治疾患研究所分子薬理学研究室において種々のノックアウトマウスを用いてリン代謝の研究中です。また先天性副腎過形成症症例から得た知見を元に、酵素活性解析を行い、臨床での疑問に根ざした基礎解析を行っています。
アレルギー
グループ員により大学付属病院、関連病院において気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの小児アレルギー疾患の専門外来、コンサルテーションを行っています。Common diseaseともいえる気管支喘息に関してガイドラインに沿った治療の普及に努める一方、より進んだ薬物療法の選択に関しての臨床研究を行っています。特にロイコトリエン受容体拮抗薬などによる小児喘息初期介入の効果を検討しています。また、関連病院を中心として、食物アレルギー患者を集め、診断、除去食療法、薬物療法を行い、診断治療法に役立てるデータを集めています。これらにより、より実際的な食物アレルギーのガイドライン、食物負荷試験のプロトコールの確立に力を注いでいます。
研究面では、成育医療センターのレジデントとして国内留学しているグループ員を通じて、教育研究の交流を図っています。厚生省アレルギー研究班の疫学調査の研究協力者となっており、アレルギー性疾患発症の機序についての疫学的データと免疫学的要素の関係について分担研究を行っています。また企業委託によりロイコトリエン拮抗薬の臨床および基礎的研究を実施しています。さらに、免疫学、栄養学的アプローチにより食物アレルギーの発症および寛解の機序に関する研究を継続しています。牛乳や卵白アレルゲンにより誘導されるTh2タイプ反応に抑制的に働く調節性T細胞の機能を中心に解析が行われています。
新生児
臨床では、川口市立医療センターおよび土浦協同病院周産期センターが主な活動拠点となっています。川口市立医療センターNICU(新生児集中治療施設)部門は、保険上届出病床数9床、growing care unitを含めて合計30床が稼働しております。スタッフは6名で常勤医4名(部長、副部長、医長)、特別研修医2名、日勤帯の応援医師1名であり、いずれも東京医科歯科大学と筑波大学から派遣されています。2006年のNICU入院患者数は221名で、このうち超低出生体重児・極低出生体重児は、それぞれ21名と62名でした。フォロー外来では、新生児集中治療施設を退院した子どもの学齢期までの支援、在宅医療児の医学的管理のほかSIDS(乳児突然死症候群)外来と母乳育児支援外来も行っています。
土浦協同病院周産期センターは茨城県内では最も古くから活動しており2005年8月には茨城県指定の総合周産期母子医療センターとなりました。新生児科は保険上の届出病床数9床、growing care unitを含めて合計34床が稼働しています。スタッフは6名で常勤医2名(部長、医長)、その他のローテーターはすべて東京医科歯科大学からとなっています。茨城県の南東部を中心に年間約300名が入院しており、極低出生体重児は70名に達します。
2005年から2006年にかけて、奥、山南、西田、森丘、滝が米国ハワイでの米国小児科学会のNRP(neonatal resuscitation program)のプロバイダーコース、インストラクターコースを受講し、インストラクターライセンスを取得しました。
研究面では、臨床的研究が主体となっています。川口市立医療センター新生児集中治療科は厚生労働省児童家庭局研究「アウトカムを指標としベンチマーク手法を用いた質の高いケアを提供する"周産期母子医療センターネットワーク"の構築に関する研究」分担研究「小児科医・一般産科医・助産師・看護師向けの新生児心肺蘇生法の研修プログラムの作成と研修システムの構築とその効果に関する研究」(分担研究者:田村正徳埼玉医大総合医療センター教授)に参加し、新生児蘇生プログラム(NRP)の普及に関する研究を行っています。
腎臓

武蔵野赤十字病院、都立墨東病院などと連携し、急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎(遺伝性腎炎も含む)、ネフローゼ症候群、尿細管疾患、先天性腎尿路奇形などの診療にあたっています。糸球体疾患や尿細管疾患に対する腎生検、腎尿路奇形に対する各種画像検査が可能です。学校検尿の三次検診、その後の精密検査も担当しています。また当院眼科と併診で、TINU症候群などの眼疾患と合併する腎炎の診療にも積極的に取り組んでいます。

国立成育医療研究センター腎臓科へ国内留学し小児腎疾患診療の研修もしており、さらに診療の幅を広げていく方向にあります。

研究面では、先天性免疫不全症であるWiskott-Aldrich症候群に合併するIgA腎症の発症機序に関する研究を進めており、日本小児腎臓病臨床研究グループ(JSKDC)の多施設共同臨床試験である「頻回再発型小児ネフローゼ症候群を対象としたタクロリムス治療とシクロスポリン治療の多施設共同非盲検ランダム化比較試験(JSKDC06)」にも参加しています。また、順天堂大学腎臓内科 富野康日己教授、淺沼克彦助教の研究室およびUniversity of Miami, Miller School of Medicine, Division of Nephrology and Hypertension, Peter Mundel Laboratoryのご指導のもとで、腎臓糸球体上皮細胞(ポドサイト)の機能解明についての研究も行っています。

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