A群レンサ球菌
連鎖球菌とは
レンサ球菌とは、レンサ球菌属(Streptococcus属)に属するグラム陽性球菌であり、臨床上重要な化膿レンサ球菌(A群レンサ球菌、S. pyogenes)、肺炎球菌(S. pneumoniae)、ミュータンス菌 (S. mutans)、豚に感染する豚レンサ球菌(S. suis)、さらにはヨーグルトの製造に利用されている乳酸菌(S. thermophiles)など、身近で重要な細菌種が多数含まれる。
本研究室では、レンサ球菌種の分類学上の基準種であり、咽頭炎から劇症型感染症の起因菌でもあるS. pyogenes(A群レンサ球菌)、虫歯の原因菌のひとつであるS. mutans、近年では豚だけでなくヒトにも感染することが報告されているS. suisなど、病原性レンサ球菌について研究を行っており、新規感染症予防法や制御法の確立を目指している。
S. pyogenes(Group A streptococcus, A群レンサ球菌)
健康なヒトの咽頭や消化管、表皮にも生息する常在細菌の一種ですが、GAS感染症(溶レン菌感染症)と呼ばれる各種の化膿性疾患や、産生する毒素による全身性疾患、あるいは感染後に一種の合併症として起きる免疫性疾患など、多様な疾患の原因となります。ごくありふれた病原菌・常在菌の一種であるものの、場合によっては劇症型レンサ球菌感染症(壊死性筋膜炎など)と呼ばれる、進行の早い致死性疾患の原因となることがあり、俗に人食いバクテリアと称されることがある。我々は、このA群レンサ球菌をモデルとして、常在している病原性細菌がどのようにヒトと共進化してきたのか?また、常在から劇症化するメカニズムについて研究を行っている。
現在、国立感染症研究所や神戸衛生研究所と共同で、数100株の臨床分離株の全ゲノム情報解析を行っている。また、病原因子の機能解析、哺乳類培養細胞を用いた宿主免疫システムとの相互作用解析、マウスを用いたin vivoの感染メカニズム解析などを行なっている。