「応用技術ユニット」では、再生医療に使用する細胞加工物の微生物安全性を確保するため混入する可能性のある微生物をリストアップし、それらの微生物を網羅的・迅速に検査可能な検査系の研究開発を実施しています。再生医療は、患者自身あるいはドナーから採取した組織・細胞を原材料とし、培養操作により調製した細胞加工物を患者に投与して治療するのが一般的ですが、ヒトには多くの持続感染微生物が存在するため原材料の段階で微生物混入の可能性を排除することは不可能です。したがって、細胞加工物を患者に投与する前に微生物混入の有無を検査して治療の安全性を担保することが求められます。本ユニットでは、投与前の細胞加工物への微生物混入の有無や量を迅速に検査するための検査系の開発を行っており、関連ウイルス9種類(HIV-1, -2 ,HTLV,1, 2, HBV, HCV,B19, EBV, CMV)やマイコプラズマ142種類の網羅的検査系の開発に成功し、技術移転を行った企業から試薬キットが販売されています。現在は、迅速無菌試験(細菌・真菌検査)法の開発及び臨床検査への応用を目指した研究開発を行っています。
統合研究機構
再生医療研究センター
准教授 清水 則夫
「応用技術ユニット」では、PCR関連試薬すべてを安定に固相化する技術を開発し、その技術を応用した Ready-to-Use 試薬を作成して簡便・迅速・網羅的な微生物検査を実現しました。開発した検査試薬は8連のPCRチューブにプライマー・プローブ・酵素を固相化したもので、再生医療のウイルス安全性検査(9種類)、眼感染症検査(24種類)、肝炎ウイルス検査(10種類)、呼吸器感染症検査(20種類)などの網羅的検査試薬を開発しています。また、産学連携研究センターの援助を得て取得した技術・知見を積極的に知財化しており、すでに5件の特許出願を完了しています。さらに、企業への特許ライセンスや技術移転による実用化を進めており、再生医療用細胞加工物の品質管理に必要なウイルス検査試薬(タカラバイオ)、再生医療・バイオ医薬品に必須のマイコプラズマ検査試薬(日水製薬、タカラバイオ)、日和見ウイルス感染症検査試薬(島津製作所)がすでに上市されています。