消化器創生ユニット

消化器創生ユニット

「全身」から消化器を考え、「消化器」から全身を創生する

メッセージ

大学院医歯学総合研究科
消化器病態学
教授 岡本 隆一

統合研究機構
再生医療研究センター
准教授 油井 史郎

 腸や肝臓から成る「消化器」は単に栄養の消化・吸収・代謝を司るだけではなく、全身のさまざまな働きを調節する司令塔の役割も担っています。例えば「腸」には多くの神経の細胞や免疫を司る細胞、ホルモンを作る細胞などが存在し、全身の神経の働き・免疫反応・ホルモンの調節がうまくバランスを取り健康を保つためのカギとなる働きを担っています(このため「第二の脳」と呼ばれることがあります)。また、私達の腸の中に存在している「腸内細菌叢」が健康を保つ上で欠かせない役割を持っていることは、これまで多くの研究で示されています。
 このため「消化器」の不調は単に栄養を消化する働きの不調に留まりません。「消化器」本来の働きができなくなることで、全身の免疫の働きの異常につながったり、肥満・糖尿病・生活習慣病などの全身の病気と深く関わったりすることが分かってきています。実際、「腸」の働きを調節する新しい薬などが作られ、脂質異常症や糖尿病の治療に役立っています。
 私たちのユニットはこのような働きを担う「消化器」を「全身を司る重要な臓器群」と捉え、全身の健康を保つための「消化器創生」とは何かを常に問いかけながら研究開発を行っていきます。

研究プロジェクト紹介

消化器創生ユニットでは主に炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎またはクローン病)を対象とした「消化管創生医療」の開発に取り組んでいます。患者さん自身から内視鏡を使って少量の組織を採取し、そこに含まれる幹細胞を体の外で「腸上皮オルガノイド」として増やした後で、これを再び内視鏡を使って治りにくい潰瘍に移植することで治療に役立てることができないか、研究開発を進めています。これまで、移植に安全に用いることができる「腸上皮オルガノイド」を効率よく増やす方法や、「腸上皮オルガノイド」が安全であることを検査する方法、内視鏡を使って安全に目的の場所に移植する方法の開発を進めてきました。今後はこれまで開発してきた方法をもとに、実際に患者さんに移植を行って安全性などを確かめる臨床試験を行うことを計画しています。また、より安全で効率のよい培養方法や簡便で多くの施設で手軽にできる移植の方法がないか、引き続き研究と開発を進めていきます。

主要論文

支援事業(競争的資金)一覧

AMED 再生医療実現拠点ネットワークプログラム(トランスレーショナル・リサーチ1)

関連リンク・補足情報