血管内治療科についてAbout Us

大学院・研究

脳・脊髄血管障害(脳動脈瘤など)に対する病態解明のため、また、より安全で効果的なカテーテル治療が行えるように、下記のようなテーマで研究に取り組んでいます。

1.くも膜下出血に対する血管内カテーテル治療前に、抗血小板薬を事前投与することの有効性を検証する研究(A-stop study)

破裂脳動脈瘤(くも膜下出血を発症)に対するカテーテル治療では、しばしば起こる合併症として血栓性合併症(脳梗塞を発症)が知られ、予後に影響を与える病態として知られています。この血栓性合併症を防ぐために、脳動脈瘤に対するカテーテル治療を行う前に抗血小板薬を事前投与した方がよい可能性がこれまでに示唆されています。しかしこのカテーテル治療前の抗血小板薬の投与が本当に良い治療法なのかどうか明らかになっていません。そこで、破裂脳動脈瘤のカテーテル治療前にアスピリン200mgを投与し、治療中の血栓性合併症、術後MRIやCTでの脳梗塞、脳出血所見などを評価するランダム化比較試験(RCT)を取り組んでいます。

クラウドファンディングのご協力ありがとうございました。

ASTOP研究高額寄付者様一覧

  • Akira Komiyama
  • Koumo Yoshihiko
  • Kozo Ishibashi
  • OKINAWA-FUKUSHI
  • SeijiFujimoto
  • STRINS
  • Tabata Hitoshi
  • takasugihiroshi
  • tsukuni
  • TYamaguchi
  • Yuhei.W
  • Yuko Waseda
  • ほうじ茶
  • 衣原公美子
  • 医療法人社団田澤クリニック
    新都心たざわクリニック
    理事長 田澤 俊明
  • 榎本稔
  • 株式会社エージェント・プロフェッショナル
  • 神谷 達司
  • 鳥山英之
  • 東京北医療センター

(50音順。敬称略。)

他、計300名を超える方々からのご寄付をいただきました。本研究へ多大なるご支援をいただき誠にありがとうございました。

2.脳動脈瘤に対する血管内治療後の再発を予測するAI解析の研究

脳動脈瘤に対する血管内カテーテル治療は低侵襲であり、その技術の向上から近年、治療適応が広がっています。一方で、カテーテル治療後の脳動脈瘤の再発の可能性を予測する因子については十分に解明されていません。
当科ではカテーテル治療前後のMRI画像を用いてAI解析を行い、カテーテル治療後の脳動脈瘤の再発予測スコアを開発する研究を実施しています。

AI解析

3.血管内カテーテル治療前後でのwell-beingを評価する研究

近年多くの分野で注目されている、“well-being”を取り入れた研究を行っています。
※well-being
肉体的、精神的、そして社会的にも全て良好な状態が「持続」し、現代社会での到達すべき新しい“健康”状態として提唱されています。
予防的(症状が発症する前の段階で行う治療:未破裂脳動脈瘤のカテーテル治療など)あるいは症状改善を目指した治療(繰り返す脳梗塞に対するカテーテル治療など)を行うことで得られる精神面でのwell-beingについて、心理検査や画像検査を用いて評価します。血管内カテーテル治療について、発症予防や症状の改善効果という物理的側面の治療効果だけでなく、精神的側面である“well-being”を含めた二方向からの真の治療効果を探求したいと考えています。

4.脳梗塞の血栓病理に関する研究

近年、脳梗塞に対するカテーテル治療(血栓回収療法)が盛んに行われるようになってきました。そこで、カテーテル治療で回収できた脳梗塞の原因物質(血栓)を組織学的に観察することで、脳梗塞の病態解明や、効果的な新しい治療法の解明する研究を行っています。

5.ホログラフィック化モデルを用いた研究

Virtual reality (VR)/ Mixed reality (MR) 機器や3Dモニターを用いて血管画像をホログラフィック化し、カテーテル治療前の手術戦略の検討に用いるなど、臨床応用にむけた開発を行っています。
また、これらの機器は、臨床への応用だけではなく、医学部学生教育にも活用できるよう開発を続けています。

6.多施設共同観察研究(TMDU-NEST)

東京医科歯科大学及び関連病院の約15施設と共に多施設共同研究グループ(Tokyo medical and dental university-Neuroendovascular Surgery Team:TMDU-NEST)を形成しています。グループ全体で毎年約1000例の血管内カテーテル治療が実施されており、これらの症例を用いて様々なテーマでの観察研究を実施しています。

これらの研究を通して、安全で治療効果が高く、現在の血管内治療のコンセプトを超えた低侵襲治療法の開発を目指しています。

教室の見学を随時受け付けております。
下記のメールアドレスにご連絡ください。

ikyoku.evs@tmd.ac.jp