膵臓の手術

 膵臓の切除法は主に3種類あります。膵臓の右側(膵頭部)に腫瘍があるときは膵頭十二指腸切除術、左側(膵体部、膵尾部)にあるときは膵体尾部切除術を行います。また膵全体に広がっている場合は膵全摘術を行います。

(参考図:日本消化器外科学会ホームページ(2015年4月)より引用)

膵頭十二指腸切除術(PD)

膵頭十二指腸切除術

 膵頭部はお腹の中でも血管・消化管・胆管が複雑に立体交差している部分で、解剖学的に十二指腸や胆管と連続しているため、膵臓だけを切除することはできません。膵頭部を切除するということは、すなわち十二指腸も胆管も切除することになります。加えて、病気の広がり具合によっては,胃の一部分を一緒に切除する場合もあります。がんは一般的にリンパ節や神経に転移することがあるため,膵頭部周囲のリンパ節や神経も一緒に切除します。

 膵臓からは膵液が、胆管からは肝臓でつくられた胆汁が消化液として分泌されています。膵頭部を切除した後には,それらが再び腸の中を流れるように,通り道を作り直す(再建する)必要があります。具体的には小腸をもってきて,膵臓(膵管)と小腸を,胆管と小腸を,胃と小腸をつなぎます。

 また、膵臓の裏には門脈という肝臓へ流れる太い血管が接して走っています。がんがこの血管まで広がっているときは,一緒に切除してつなぎ直す(門脈合併切除・再建),という操作が必要になります。

膵体尾部切除術(DP)

 膵体部、膵尾部と脾臓を切除します。脾臓も一緒にとる理由は、膵尾部と脾臓はくっついていて分けてとることが困難であることと、脾動脈・脾静脈(脾臓にいっている動脈と静脈)は膵体尾部の背側に埋まるような形で走っていて、がんを切除する場合は膵臓周囲の組織も一緒にとらなければならないので、その意味で脾臓を栄養する血管も含めて脾臓を切除しなければなりません。

 このほか,膵体尾部は胃,大腸,左腎臓などと近く,がんが周囲の臓器に広がっているときは、それらの臓器を合併切除しなければならないことがあります。

肝区域切除
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