教授あいさつ

伴大輔

東京科学大学
肝胆膵外科学分野
教授 伴大輔

このたび、2024年10月より肝胆膵外科の教授を拝命いたしました。
腹腔鏡・ロボットによる低侵襲手術から、進行がんに対する血管合併切除を伴う拡大手術まで、幅広い症例の治療に日々取り組んでおります。
ここでは、私たちが診療において大切にしている3つの理念についてご紹介いたします。

1. 結果を出す手術

がんに対する外科治療において最も重要なのは、「がんを確実に切除し、根治へ導くこと」です。昨今、腹腔鏡やロボット手術といった低侵襲手術が注目されていますが、当科ではまず「根治性」を最優先に治療方針を決定します。

必要とあらば開腹手術や血管合併切除などの拡大手術も積極的に行い、最も効果的な方法で確実な切除を目指します。

また、合併症を可能な限り減らし、安全な手術を提供することも非常に重要と考えています。肝胆膵外科の手術は難易度が高く、一定の頻度で合併症が発生しますが、私たちはそれを「仕方がない」と諦めることなく、発生率を少しでも下げるべく、手術手技の改良や術前・術後管理の質の向上に日々努めています。

2. 患者さんに寄り添う治療

低侵襲手術が適応となる疾患では、腹腔鏡やロボット手術を積極的に活用し、患者さんの身体への負担を可能な限り軽減できるよう努めています。当院は全国でもいち早く低侵襲手術を導入し、現在もこの分野のリーディングホスピタルとしての役割を果たしていると自負しております。

肝切除においては、定型的な手術はほぼ全例で腹腔鏡下またはロボット支援下で行っており、高難度とされる膵頭十二指腸切除でも積極的にロボット手術を導入しています。

低侵襲手術は、かつては「傷が小さく痛みが少ない」「整容性が高い」といった利点が強調されていましたが、現在では開腹手術以上に質の高い手術が可能になってきています。たとえば、肝切除では出血量が少なく合併症も明らかに減少し、膵切除でも合併症が少なく、回復も早いことが分かっています。さらに、がん治療の長期成績においても、低侵襲手術の有用性を示す報告が増えています。体への負担が大きくなりがちな肝胆膵外科領域だからこそ、低侵襲手術の恩恵は非常に大きいと考えています。

また、私たちの診療対象は悪性腫瘍に限りません。IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)、胆のう炎、胆管結石症、肝嚢胞性疾患、膵胆管合流異常症、弓状靱帯症候群など、手術適応の慎重な判断が求められる疾患も多数あります。その際には、画像や検査所見だけでなく、患者さんの価値観や全身状態、ご家庭の事情など、様々な背景も踏まえた上で総合的に判断しています。

一人ひとりの価値観やご希望は異なります。長期的な生命予後を最優先される方もいれば、限られた時間の中でも自分らしく過ごすことを大切にされる方もいらっしゃいます。まずはしっかりとお話を伺い、「その方にとって最も納得できる治療とは何か」を一緒に考え、丁寧に方針を決めてまいります。

3. 諦めない治療

当科のもう一つの強みは、外科治療だけでなく、抗がん剤治療、放射線治療、ゲノム診療など先進的な医療を含め、幅広い選択肢を一貫して提供できることです。たとえ外科手術が難しい状況でも、様々な治療法を組み合わせることで可能性を広げ、最善の治療を追求しています。

特に当科では、内科や放射線科など多職種の専門医が連携し、ワンチームで診療にあたる体制を整えています。手術が難しい=治療の終わり、とは考えず、最後まで諦めない医療を提供することが私たちの責任です。

大学病院ならではの最先端の医療を積極的に取り入れつつ、「大学病院らしからぬ親身な医療」も大切にし、安心して治療を受けていただけるよう心がけています。

また、ご高齢の方や心疾患・腎疾患などの合併症をお持ちの方も多くいらっしゃいますが、私たちは決して治療を諦めず、「今できる最善の選択は何か」を常に考え続けています。


私たちは、
「結果を出す手術」
「患者さんに寄り添う治療」
「諦めない治療」

この3つの理念のもと、肝胆膵外科スタッフ一同が一丸となって、高度で質の高い医療を患者さんに届けられるよう日々努めてまいります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

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