キャリアアップ教員名称付与授与式
【祝辞】田中 雄二郎 学長

田中雄二郎学長イメージ

この度は、上位職の名称が付与された女性教員12名の皆さんに心よりお祝い申し上げます。
また、12名の女性教員を支援してくださった本日列席されている各分野の教授にも心から御礼申し上げます。

我が国に比べ女性の上位職の登用が進んでいる米国でさえ、「Glass Ceiling,ガラスの天井」という言葉があります。
上に登ろうとすると、そこには透明なガラスの天井があるということです。ここにいる皆さんはその存在を感じたことがあるでしょうか?
あるとすれば、このガラスの天井を破るのは誰でしょうか?

禅の言葉に「啐啄同時」というのがあります。「啐」はひなが卵の殻を破って出ようとして鳴く声、「啄」は母鳥が殻をつつき割る音。
ひなの声に応じて母鳥が殻をやぶることで、ひなは卵からかえることができる。という意味です。

今回の女性教員の上位職名称付与は3年間、2年間までの延長も可能ですが、その間、若干の手当と研究要員の支援などにより、皆さんはそれぞれ上位職の社会的信用を活用しつつ努力を重ね、期限が来た時に「啐」の声が上げられるようにすれば、この言葉でいう「啄」すなわち母鳥である本学が殻を破って皆さんを上位職に正式に登用できると思います。

今回選ばれた皆さんは、本学として初めて取り組んだ「女性教員の新たな登用制度」の1期生に当たります。その選考は、部局の1次審査、選考委員による2次審査、そして人事委員会を経て決定した12名の優れた人材であると確信しています。

しかしいくら優れた人材といっても、教育・研究・診療の三分野全てで卓越した業績を達成することは、現代社会で女性を取り巻く環境を考えると難しい場合と思います。

その場合には、先程の領域教授名称付与に立ち会っていただいたのでお解りのように、皆様も力点を置く領域を決めて精進して頂ければ幸いです。

最後となりますが、今年度の大学の目標は「分野を超えた協調、コラボレーション」により、探し求めていた幸福の「青い鳥」を身近に見出そうというものです。
皆さんは「女性教員の新たな登用制度」の一期生ですので、是非同期としてネットワーク(メーリングリストでもSNSでも良いですが)を作り協調していただき、互の「青い鳥」にもなり、後輩の「青い鳥」にもなっていただきたいのです。
今後益々活躍されることをお祈りし、お祝いの言葉とさせていただきます。本当におめでとうございます。

2021年4月22日
国立大学法人東京医科歯科大学長
田中雄二郎