所長のあいさつRESEARCH INSTITUTE INFORMATION

難治疾患研究所長の佐々木雄彦です。1973年に東京医科歯科大学に設置された本研究所は、東京工業大学との大学統合によって誕生した東京科学大学での新たな門出を迎えています。この大きな節目に、皆様にご挨拶申し上げます。
本研究所は、"難治疾患”の語を冠する唯一の国立大学法人附置研究所です。「病因・病態が明らかにされていないために未だ有効な診断法、治療法、予防法が確立されていない疾患」である難治疾患を、その学理と応用の研究により克服し、人々の健康と社会の福祉に貢献することを理念としています。教授が主宰する21研究分野に加えて若手研究者育成推進室、難病基盤・応用研究プロジェクト室、高深度研究技術開発クラスター、大学院教育研究支援実験施設、事務部からなる、国内でも有数の規模を誇る研究所です。全国共同利用・共同研究拠点「難治疾患共同研究拠点」に継続的に認定され、現在三期目の拠点活動が進行中です。さらに昨年から「学際領域展開ハブ形成プログラム」の主幹機関として、また、「高深度オミクス医学研究拠点整備事業」の連携機関として共同研究事業のネットワークを拡充しており、全国の研究者コミュニティーの要請に応える活動に注力しています。
「世界トップクラスの科学系総合大学」に歩み始めた本学で難治疾患研究所が果たす役割は、医学・生命科学の多彩な学問領域を背景に持つ研究者が互いの考えや感覚に触発を得て思索を深める場となり、独創的な科学研究成果で社会に貢献することであると考えます。その過程で、若手研究者や学生に研究の楽しみと成功体験を提供し、世界を牽引する研究者への成長を促し、社会に送り出すことも重要な役割と考えます。このような研究所であるために、有望な人材のリクルート、学内外組織との連携強化をはじめ、研究資源の充実に引き続き取り組んでまいります。
前所長の仁科博史先生をはじめ諸先輩方が築いてこられた本研究所の理念と実践を大切に継承しつつ、社会の要請に応える「大学ならではの研究と教育」が花開く場として、難治疾患研究所がこれからも発展していくよう尽力いたします。皆様の厚いご支援とご指導を宜しく御願い申し上げます。
令和6年(2024年)10月
佐々木 雄彦