肝がん撲滅外来の開設について
わが国では年間約3万人以上が肝がんで亡くなっており、先進国ではワースト1位です。これら肝がんの約80%はB型・C型のウイルス性肝炎が原因で、肝炎ウイルスの感染者は約300万人と推定されています。しかし、これまで治療を受けた人はごくわずかで、約200万人は専門医療機関を受診すらしたことがないと言われています。一方、ウイルス性肝炎に対する治療の進歩は日進月歩で、特にC型肝炎では新薬の登場により、専門施設で治療を受ければほぼ100%近い患者さんが副作用も軽いままウイルスを排除できる様になって来ました。
当院ではこれまでも肝炎・肝がんの専門診療を行って来ましたが、今後もより多くの患者の皆さまに専門診療を受けていただくために、この程「肝炎・肝がん撲滅外来」を設置させていただきました。
ウイルス性肝炎を放置すると高率に肝硬変や肝がんへ進行してしまいます。肝がんにならないために、ウイルス性肝炎と診断された方、特にこれまで肝炎の治療を受けたことがない方をはじめ、これまで治療を受けたが治らなかった方や、副作用で苦しんだ方も、是非かかりつけの先生とご相談のうえ、当院の「肝炎・肝がん撲滅外来」を受診していただければと思います。
また、肝炎ウイルスに感染していなくても最近では糖尿病や脂肪肝などの生活習慣病を原因とする肝がんも増えています。肝がんに対しても当院ではラジオ波焼灼術をはじめ、肝胆膵外科や放射線科などとも連携し、総力を結集して専門診療を行っておりますので、主治医の先生とよくご相談なさって当院を受診なさってください。
各医療機関の先生方におかれましては、何卒、当院消化器内科の「肝炎・肝がん撲滅外来」へのご紹介をお願い申し上げます。
ごあいさつ
「肝炎・肝がん撲滅外来」開設から約半年が経過しました。これまで多数の患者さんに当外来を受診していただき、新患患者数は着実に増加しております。それに伴ってC型肝炎の抗ウイルス療法をお受けになる患者さんの数も増加し、昨年の同時期に比べて約3倍の患者さんが当院で最新治療をお受けになっておられます。治療成績は大変良好で95％の治癒率です。私たちはこれからも専門診療を通して、患者さんおひとりおひとりに最適の治療を受けていただける様に努力を続けて参ります。肝臓病をお抱えの患者の皆さまにおかれましては、かかりつけ医の先生とご相談のうえ紹介状をお持ちになり、是非当科を受診していただければ幸いです。最後に、日ごろから当院にご紹介してくださっている医療機関の先生方には、心から御礼申し上げます。
平成２８年５月１日
東京医科歯科大学 消化器内科
肝臓病態制御学教授
朝比奈 靖浩
半年間の実績
