炎症性腸疾患センター(IBD外来)
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クローン病とは

大腸に炎症をおこす病気には原因がはっきりしているものとそうでないものがあります。原因が明らかな腸炎については、たとえば食中毒では特定の細菌が原因となることが多く、また抗生剤などの薬剤によって腸内細菌のバランスが乱れて腸炎をおこすこともあります。

クローン病ではその原因が明らかではなく、非特異性腸炎の一種として分類されています。最近になり、その原因も少しずつ明らかになってきており、免疫(体に何らかの刺激が加わると排除しようとすること)反応が過剰に働いてしまい、腸の壁に障害(炎症)を与えてしまうことが考えられています。現在皆さんが使用している薬剤の多くは、この過剰な免疫を正常に戻す作用や炎症を抑えることにより症状が改善されます。

潰瘍性大腸炎と異なり大腸だけではなく、小腸にも炎症をおこすのが特徴です。炎症をおこす範囲によって小腸型、小腸大腸型、大腸型と分けられています。また食道や胃にも病変を形成することもあります。

1)どのような症状をおこすのですか?

特徴的なものとしては腹痛特に病気の好発部位である回腸末端・盲腸部に一致した右下腹部の痛みを訴えることが多いです。そのため虫垂炎と判断され手術をしたらクローン病だったということもあります。その他の症状として下痢、全身倦怠感、食欲不振、体重減少などの症状も認めます。潰瘍性大腸炎に特徴的な粘血便については、肛門から近い直腸やS状結腸に炎症がある場合には血便を認めることも多いですが、全くない方もいます。さらに肛門に病変を形成することが多く、痔瘻、肛門周囲膿瘍などがクローン病病変の特徴です。お尻が痛い、肛門の周囲から膿がでているなどの症状はクローン病による肛門病変合併の可能性が高いと考えられます。

またクローン病では腸管に狭窄(狭くなること)を認めることもあり、腸閉塞症状(おなかが張る、吐気、嘔吐、激しい痛み)を認める場合もあります。さらにお腹の中に膿瘍(膿のかたまり)や瘻孔(腸と腸がくっついて交通ができること)を形成すると腹痛、発熱を認め、入院を必要とする場合もあります。

2)原因は何ですか?

潰瘍性大腸炎と同様に複数の原因が関与していると考えられていますが、現時点では不明な点が多いです。何らかの遺伝的要素に食事や腸内細菌などの環境因子が加わり、上で述べた免疫の過剰により炎症をおこすと考えられています。以前はウイルスや結核菌などの感染症が関与しているという説もありましたが、現在では否定的です。また最近海外でNOD2という遺伝子の配列の違い(遺伝子多型)がクローン病の発症と関係があることが報告されましたが、クローン病全体の中で20%程度の患者さんのみであること、また日本人を含めたアジア人では遺伝子多型がないことがわかってきており、遺伝的以外の要因も病気の原因に関与しているものと考えられます。

    潰瘍性大腸炎・クローン病センター     東京医科歯科大学 難病治療センター  

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