難治疾患研究所長
教授 北嶋繁孝
新たに平成24年度がスタートしました。東日本大震災で被災された方々や関係者の方の心の痛みやご苦労はまだ生々しく残っていることと思いますし、復旧、復興に向けた動きも十分ではないとの心配があります。私どもは、「科学の力」を信じて研究、教育を行っていますが、社会への想いなくしては真の貢献はできるはずもありません。広い視野に立ち、仲間や社会との接点を探りながら、疾患研究を進めるのが私ども研究所の使命であります。次代を担う若い世代を育成し、良き心の人材の輩出と大きな成果の発信に力を注いでいます。
研究所の概要
難治疾患研究所は、「難治疾患の学理と応用」を目的とした“難治疾患”を標榜するわが国唯一の国立大学法人附置研究所です。昭和48年、医学部付属の農村厚生医学、難聴、総合法医学、硬組織生理、遺伝病、心臓血管、内分泌の7つの研究施設の再編によって設置され、平成16年より、先端分子医学、難治病態、ゲノム応用医学の3部門21分野、フロンテア・プロジェクト研究室、2連携研究部門に改組しております。平成22年度より、文部科学大臣に認定された全国共同利用・共同研究拠点「難治疾患共同研究拠点」活動をスタートさせ、この共同拠点活動を強く牽引するために、研究環境の整備、データベースやリソースの充実、ホームページの刷新などを進めています。平成24年度には3部門22分野の体制になりました。
わが国をリードする研究活動
本研究所では、難治疾患を「病因・病態が明らかにされていないために未だ有効な診断法、治療法や予防法が確立されていない病気」と定めて、生命誕生の時から老齢期にわたる様々な難治疾患の研究を行っています。特に、悪性腫瘍、循環器、運動器、免疫、代謝、神経、再生、希少遺伝疾患の研究では、各領域を牽引する成果をあげ、がんCGH解析、心筋症、先天異常症などの難治疾患バイオリソース、オミックスデータベースを産み出しています。また、難治疾患研究を生命科学の最先端研究の視点から見据えて、マウス、アフリカツメガエル、ショウジョウバエ、線虫、メダカなど様々な病気のモデル動物や細胞を疾患バイオリソースとして蓄積しています。
充実した大学院教育研究支援施設
現在所内に、ゲノム解析室、プロテオーム解析室、遺伝子組換えマウス施設、形態機能解析室、バイオリソース支援室、幹細胞支援室、構造解析室の7つの研究支援施設を整備しています。加えてケミカルバイオロジースクリーニングセンターが全学施設になりました。これらは、「難治疾患共同研究拠点」の活動支援とともに、本学大学院生の教育、研究支援に大きく貢献しており今後も充実させていきます。
学部、大学院生の教育および若手研究者の育成
私どもは、大学院医歯学総合研究科、医学部、歯学部の教育、研究を通じて、生命科学分野の人材育成に深く関わっています。特に、平成24年度より、本学の大学院が改組され博士課程に「生命理工学系」が新しく加わりましたので、新しい視点での取り組みをスタートさせています。また、若手研究者育成のためにメディカルトップトラック(MTT)に続く全学テニュアトラック制度のもとで人材育成を推進するとともに、女性研究者育成にも力を注いでおります。
社会発信
東京都内の4大学連合シンポジウムや駿河台/拠点シンポジウム、各種セミナーを通じて、研究成果の社会発信を行っておりますが、昨年度より文京区の協力を得て市民講座をスタートさせました。より広く多くの方に難治疾患とそれに関わる基礎生物学情報をわかりやすく発信していきます。
(平成24年4月1日)