お知らせ

ICUで救える命が増え新たな課題となっている集中治療後症候群(PICS)の認知を広げ予防を促すマンガパンフレット/動画を公開

PICSをご存じですか

 クラウドファンディング「集中治療後症候群ーPICSの認知を広げICU退院後の生活を守りたい」でご支援を募り作成に取り組んだ、集中治療後症候群(PICS)の認知を広め、予防につなげるマンガパンフレットと動画を一般公開します

 東京医科歯科大学病院(病院長:藤井靖久)集中治療部(教授・部長:若林健二)は、2023年9月に集中治療後症候群(PICS)の認知を広め、予防につなげるマンガパンフレットと動画を一般公開します。
 集中治療医学の進歩に伴い、近年ではより多くの重症患者さんをICUで救命することができるようになりました。しかし、晴れてICUを退室した患者さんの多くが、筋力低下や持続する痛みなどのカラダの症状や、不眠や不安などのココロの症状を患い、元の生活に戻れていないことがこの10~20年で分かってきました。加えて、ICUに入室した患者さんのご家族にも、うつやPTSD(心的外傷後ストレス症候群)といったココロの症状が多く認められることも分かってきました。このように、ICUに入室した患者さんがICUで治療を受けている間のみならず退院したあとに生じるカラダの症状やココロの症状を「集中治療後症候群(PICS)」、さらには患者さんの家族のココロの状態にも影響を及ぼすものを「家族の集中治療後症候群(PICS-F)」と呼びます。しかし、このPICSやPICS-Fの症状や病気の知名度は低く、特に一般の方々には知られていません。つらい症状を抱えたままの生活を余儀なくされている方が多くいらっしゃると考えられています。一方で、PICS/PICS-Fに、現状特異的な治療法は存在しません。だからこそ「予防」が肝心です。その予防には、患者さんや患者さんのご家族がまずはPICS/PICS-Fというものの存在を理解していただき、様々な予防の取り組みについて理解してもらう、ということが重要だと言われています。

 そこで東京医科歯科大学病院集中治療部は、ICUに入室する患者さんやそのご家族に対して、よりわかりやすく、興味をもってPICS/PICS-Fのことを知ってもらうおうと、プロのマンガ家によるマンガでPICS/PICS-Fを理解できるパンフレットの作成をすることを目的に2022年6月よりクラウドファンディングを実施し、140名の支援者から約170万円の支援をいただきました。この度、そのマンガパンフレットならびにPICS紹介動画が完成しましたので公開いたします。

 患者さんやそのご家族に手軽に見ていただき、また各ご施設で印刷して配布できる量になるように、内容を3ページの漫画にまとめました。そして、2019年に発表された本邦の診療現場におけるPICS予防の実態調査をもとに、どこの施設でもご使用いただけるような一般化された内容で汎用性を目指してパンフレットを作成いたしました。さらに、治療法が明確ではないPICSに関する情報を提供するに際し新たな不安や精神症状を惹起しないように言葉を慎重に選択することに注力し絵柄のタッチも工夫いたしました。また、動画については、漫画をもとに声優に声をつけてもらい作成しました。待合室や家族控え室などでストリーミングして活用いただけるよう無音でもご利用いただけます。

 このマンガパンフレットと動画は、クラウドファンディング「集中治療後症候群ーPICSの認知を広げICU退院後の生活を守りたい」の成果物として、このホームページ上でどなたにでもご使用いただけるように公開いたします。また、日本集中治療医学会PICS委員会の承認を受け、同学会ホームページ(https://www.jsicm.org/provider/pics.html)で紹介されます。

動画

マンガパンフレット

漫画制作会社

株式会社 JOBコミ
HP: https://jobcomi.com/

問い合わせ先

成果物に関すること

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
生体集中管理学分野 講師 野坂 宜之(のさか・のぶゆき)
E-mail:nnosaka.ccm@tmd.ac.jp

クラウドファンディングに関すること

東京医科歯科大学 戦略企画部戦略企画課企画第二係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
E-mail:houki.adm@tmd.ac.jp

報道に関すること

東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
TEL:03-5803-5833  FAX:03-5803-0272
E-mail:kouhou.adm@tmd.ac.jp