お知らせ

大学公開講座「健康を考える」2023

 東京医科歯科大学の公開講座は今年で31回目を迎え、今年度も「健康を考える」というテーマで計6回の講義を企画いたしました。今年度も多くの方々にご参加いただけるよう、受講料も無料で、定員も設けずに準備しておりますので、奮ってご参加ください。

 今回の公開講座では、本学で行われている最先端のトータル・ヘルスケアに関する研究成果や最新医療についてわかりやすく解説してまいります。 東京医科歯科大学病院の先生方も講師として参加しております。

お申し込み・詳細ページ

https://www.tmd.ac.jp/for-general/open-lecture/daigaku2023/

開講日時 講 師 演 題
1月 17日(水)
18:30~20:00
金澤 学 先生
(口腔デジタルプロセス学分野)
最先端の歯の治療で人生100年時代を元気に!
1月 24日(水)
18:30~20:00
笹野 哲郎 先生
(循環制御内科学分野)
藤田 知之 先生
(心臓血管外科学分野)
内科と外科で 現代人の心臓を守る! 
『ハートチーム』の凄さ
1月 31日(水)
18:30~20:00
梶 弘和 先生
(生体材料工学研究所 診断治療システム医工学分野)
マイクロ・ナノ技術で進化を遂げる医療
2月 7日(水)
18:30~20:00
野口 麻衣子 先生
(在宅・緩和ケア看護学分野)
みんなで創る地域包括ケア
~元気なうちから介護・看取りまで~
2月 14日(水)
18:30~20:00
宮﨑 泰成 先生
(統合呼吸器病学分野)
転ばぬ先の杖、長寿健康人生推進センター
(人間ドック)活用法
2月 21日(水)
18:30~20:00
七田 崇 先生
(難治疾患研究所 神経炎症修復学分野)
脳卒中・認知症をはじめとする
脳の病気と脳細胞による修復力

第1回 1月17日(水)
最先端の歯の治療で人生100年時代を元気に!

金澤 学 先生(大学院医歯学総合研究科 口腔デジタルプロセス学分野)

 日本の世界で最も高齢化率が高い(29%)超高齢社会を迎えました。平均寿命も延伸している中、口腔の状態と全身の健康との関連性が明らかになりつつあります。例えば、口腔機能の低下が要介護リスクや死亡率に影響することが明らかになるなど、口の機能を維持することの重要性が増してきています。 歯科においてはデジタルデンティストリー(デジタル歯科)の発展が目覚ましく、日常臨床においても様々なデジタル機器(口腔内スキャナ、CADソフト、3Dプリンタ、ミリングマシン)が使用されるようになりました。本講演では、オーラルフレイルという加齢による口の機能の低下の解説をしながら、東京医科歯科大学病院で行われている、最先端のデジタル機器を用いた治療による口腔機能の回復についてお話しします。

第2回 1月24日(水)
内科と外科で 現代人の心臓を守る!『ハートチーム』の凄さ

笹野 哲郎 先生(大学院医歯学総合研究科 循環制御内科学分野)
藤田 知之 先生(大学院医歯学総合研究科 心臓血管外科学分野)

【笹野先生】病気の治療において、手術をするのが外科、薬の治療をするのが内科、に分かれていると思われる方が多いと思います。しかし、そのような枠を超えて、心血管疾患の患者さんに負担が少なく最適な治療を提供するのがハートチームです。ハートチームによる治療がどこまで進んでいるか、弁膜症や不整脈の治療を中心にお話しいたします。

【藤田先生】「心臓の病気」と聞くと、ドキッとしますよね。でも安心してください。東京医科歯科大学では内科医と外科医が力を合わせて患者さんの治療にあたります。それぞれのエキスパートが最新の知識と技術を合体させ、新たな「ハートチーム治療」を展開しています。本日はその一端をお話しします。

第3回  1月31日(水)
マイクロ・ナノ技術で進化を遂げる医療

梶 弘和 先生(生体材料工学研究所 診断治療システム医工学分野)

 現在、新薬の開発には10年以上もの長い期間と約2,000億円もの莫大な費用が必要とされていて、そのうち総開発費の3分の2が臨床試験で費やされています。創薬コストを抑制するためには、効果のない薬剤候補を早期に除外して前臨床試験のヒトへの外挿性を向上させることが求められます。そこで、これまでの動物実験の代わりに、3次元的に細胞を培養してヒトの組織・臓器の構造や機能を再構築した生体模倣システム(MPS)が注目されています。本講座では、MPS技術の基礎と最新の開発動向を紹介します。  また、治療効果の高い新薬の開発により、従来治療が困難であった疾患の治療が可能になりつつあります。薬物治療が困難な疾患に対しても、細胞移植による根本的治療が期待されています。しかし、どちらも実用化への大きな課題の一つとして、薬物あるいは細胞の患部への送達法が挙げられます。本講座では、生体に侵襲性の低いマイクロ・ナノ技術を利用した薬物・細胞送達システムも紹介します。

第4回 2月7日(水)
みんなで創る地域包括ケア~元気なうちから介護・看取りまで~

野口 麻衣子 先生(大学院保健衛生学研究科 在宅・緩和ケア看護学分野)

 誰もがいつの日か身体・認知機能が徐々に低下し、最期の日を迎えます。しかし、最期を迎えるまでに、ある程度機能を保つ方、途中で機能が著しく低下する方等、その軌跡が類型化されることがわかっています。また、最近では要介護状態になる前の「フレイル」そしてフレイルの前の状態である「プレ・フレイル」という状態も注目されています。このように「プレ・フレイル」「フレイル」「要介護状態」「看取り」の過程を、住み慣れた地域で過ごせるように、地域毎に地域包括ケアを展開しています。この地域包括ケアについては、様々な研究や知見などから、医療・介護の専門職だけでなく、住民・市民の方々も一緒に地域包括ケアシステムを作ることが重要視されています。皆さんと、地域包括ケアをどのように発展させていくか一緒に考えていきたいと思います。

第5回 2月14日(水)
転ばぬ先の杖、長寿健康人生推進センター(人間ドック)活用法

宮﨑 泰成 先生(大学院医歯学総合研究科 統合呼吸器病学分野)

 東京医科歯科大学病院の16階北側に、長寿・健康人生推進センターという健診センターがあります。生活習慣や遺伝子要因を基礎にして、食生活、心と身体の健康、歯の健康などの一次予防を含めた予防医学を実践・推進するセンターです。2015年1月に作られました。健康寿命をのばすには人生(皆様の生活全般)にわたってケアをする必要があります。人生100年時代に向けて皆様の健康を守るために、当センターで行っている健診プログラム、予防医療、個別化先制医療についてお話しいたします。

第6回 2月21日(水)
脳卒中・認知症をはじめとする脳の病気と脳細胞による修復力

七田 崇 先生(難治疾患研究所 神経炎症修復学分野)

 脳卒中と認知症は、私達の社会で要介護になられる方の原因の第1位と第2位を占めています。つまり、元気に日常生活を送ることが難しくなったり、寝たきりになったりする主な原因であると考えられているわけです。脳卒中と認知症はどちらも脳が壊れてしまう病気ですが、脳卒中は脳の血管が原因となり、認知症は脳の細胞に問題が生じることが原因となるため、脳の病気になる原因が異なっています。脳卒中と認知症は互いの病状を悪化させ合うことも知られており、日本社会の高齢化に伴って、脳卒中と認知症の病態の両方が脳に見られる方もいらっしゃいます。このように、脳が病気で壊れてしまうとどのような症状が出るのでしょうか。また身体の臓器と同じように、脳が壊れた場合には自然に治ろうとする力は脳に備わっていないのでしょうか。本講座では以上のように、脳が壊れること、を中心にお話させて頂きます。