お知らせ

腎臓内科 助教の安藤史顕先生が「第1回日本医学会総会奨励賞」最優秀奨励賞を受賞しました。

腎臓内科 助教
安藤史顕先生

 当院 腎臓内科 助教の安藤史顕先生が、医学上、優れた業績を上げた若手研究者を表彰する「第1回日本医学会総会奨励賞」最優秀奨励賞を受賞し、2019年5月に開催された第30回日本医学会総会で授賞式が行われました。受賞した研究内容や今後の展望についてもまとめました。

受賞した研究

 尿量の調節は腎臓で行われており、抗利尿ホルモンであるバゾプ レシンが水の通り道である AQP2水チャネルを活性化すると、尿量が減少し体内へ水分が保持されます。この調節機構が破綻する疾患として先天性腎性尿崩症が知られております。バ ゾプレシン受容体の機能が失われていることから、昼夜を問わない多尿を認め、脱水を防ぐために頻回の水分摂取が必要になります。最近では、加齢・薬剤などによる後天性の尿濃縮障害も、脱水・熱中症を引き起こすため解決すべき問題となっております。

 私共は、AKAPs-PKA結合阻害やカルシニューリン活性化などの新規AQP2制御法を明らかにし、従来には無い尿濃縮薬の開発を行っております。

受賞の感想

 この度、日本医学会総会奨励賞 生理系・病理系 最優秀奨励賞を賜りましたことを大変光栄に存じます。内田信一教授をはじめ、研究室や共同研究者の皆様から数多くの支援を頂戴し、今回の成果に繋げることができました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

受賞した研究中に苦労したところ

 今回の研究は、別の研究を行った際に偶然発見できた成果が発端になっております。失敗続きの中で、予想外のAQP2制御方法を発見できたのは幸運でした。私共が治療標的としているAKAPs-PKA結合阻害は、今までAQP2をむしろ抑制するのではないかと予測されていましたが、全く逆のAQP2活性化作用が得られたのは意外でした。実際に検証してみないとわからない真実は数多く残されているのだと思います。

受賞した研究成果の活用法と今後の展望

 現在、私共はさらに尿濃縮作用が高い化合物の作成に取り組んでおります。夜間頻尿や多尿など、尿濃縮力障害でお困りの患者様のお役に立てるような薬剤の開発を目指してまいります。AQP2は、1993年に当腎臓内科学教室で発見された水チャネルですが、今後もAQP2の病態生理機能や制御法の開発に努めます。

その他、メッセージ

 現在、開発中の化合物は今までにない尿濃縮作用を持っております。この賞を励みに、より一層の研究開発に邁進する所存です。

写真中央が腎臓内科助教の安藤史顕先生