ロールモデルインタビュー

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出産が「ワーク・ライフ・バランス」を考えるきっかけに

お名前:松崎 京子(まつざき きょうこ)氏
家族構成:夫・子2人(5歳・7カ月)
所属・職位:東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 病態代謝解析学分野 助教
研究内容:加齢性筋萎縮の新規治療薬の開発
支援員:北村 雅美 さん

インタビュー:2017年12月25日

松崎 京子(まつざき きょうこ)氏

左:北村氏  右:松崎氏

研究者になろうと思ったきっかけを教えてください。

松崎)子どもの頃から、疑問に思ったことに対し自分なりの答えを見つける作業が好きだったので、自然と研究者の道へと進んだように思います。大学で分子生物学を学んだ際、分子レベルで生命現象を解析する点に大変魅力を感じ、分子生物学、細胞生物学の分野で研究していくことを決めました。

現在は、加齢性筋萎縮の新規治療薬の開発を目指して研究を行っています。

松崎 京子(まつざき きょうこ)氏

ワーク・ライフ・バランスを保つために、気をつけていることはありますか。

松崎)もともと研究が好きなので、プライベートとの境目が曖昧になることに抵抗がないんです。とくに出産前までは、休日でも早朝や深夜の空いた時間にラボに来て作業を進めるタイプでした。ただ出産後は、そういった生活ができなくなり、時間の使い方は変わりました。いまは夜や休日は子どもと過ごしていますし、そういう意味では、「ライフ」の時間はかなり充実したと思います。

子育てとの両立はどうしていますか?

松崎)夫も協力的ですが、いまは下の子が授乳中なので私しかお迎えができず、試行錯誤しているところです。ラボにいると実験で動き回ることも多いので、論文の執筆などを集中して進めるのが難しいため、子どもが寝た後に作業することもあります。

また、延長保育や土曜日の急な預かりにも対応していただけ、駅前でアクセスしやすい認証保育園に下の子を預けているので、そういった点も両立のポイントと言えるかもしれません。

DDユニットの「研究支援員配備」の支援を受けたきっかけを教えてください。

松崎)子育てをしながらの研究生活は時間にかなりの制約があり、実験計画が予定どおり進まないというフラストレーションを抱えていました。

また、現在私のチームには5名の大学院生がおり、学生さんたち一人ひとりとのディスカッションや実験指導にあてる時間も多いため、自分の実験をサポートしてくれる支援員がいたら大変助かる、と思い応募しました。

今現在、支援をお願いしている内容をお聞かせください。

松崎)週3回、細胞培養や細胞染色実験、またたんぱく質を扱った実験などをお願いしています。支援員の北村さんは、以前いた研究室で研究補助員としてお仕事をされていた方で、支援員配備の支援が決まったときに、まっさきに北村さんを思い浮かべました。ちょうど北村さんも職場を探されているところで、タイミングよく決まりよかったです。

研究経験がおありで基本的な分子生物学の実験手法をすでに習得されていらっしゃったので、とてもスムーズにお願いすることができました。毎日の出勤ではないので、はじめに実験の全体の流れをお話しし、私がほかの作業などでできない分の実験を担当していただいています。子どもや自分自身の体調不良などで急に欠席、早退するような場合には、メールで急遽追加の作業をお願いすることもありますが、本当に臨機応変に対応、支援していただき助かっています。

DDユニットの支援を受けて、どのような効果がありましたか。

松崎)時間の制約の中で実験をするストレスから解放され、精神的にとても助けられています。

子どもの急な体調不良で、急遽ラボを空けなくてはならなくなった時にも、北村さんに細胞の管理などをお願いできるので、安心して帰宅できます。研究面では、実験が中断して降り出しに戻るようなことがなくなり、コンスタントにデータが出せるようになりました。特に、マウスの管理は離乳、交配など、厳密に日程を調整する必要がありますので、これらが予定どおりに行えることは成果を出す上で大変大きいです。

また、下の子がまだ赤ちゃんなので、17時には絶対に帰らなければならないので、段取りがよくなったと思います。

1人目のときは、以前勤めていた大学で同じ立場で大学院生を指導していましたが、支援員配備の制度はなかったので、今回、この制度に非常に助けられています。

支援ではないのですが、女性研究者向けのセミナーが頻繁に開催されていて、キャリアを積まれた大先輩の話を聞く機会が増えたのも、私にとって大きなヒントとなっています。

支援員の北村さんにお伺いします。研究支援のお仕事のおもしろさや意義などについて、どのようにお感じになられていますか。

北村)このような支援員として働くことは、お子さんの具合が悪い等の理由で先生がお休みされる際などに、代わって実験を進めることができ、より先生のお役に立てる喜びがあります。

仕事を進める上では、なるべく心配をかけないように連絡は最低限にするよう心がけています。

また、松崎先生は実験についてバックグラウンドもていねいに説明してくださるので、とても勉強になっています。

北村 雅美さん

支援員の北村さんはワーク・ライフ・バランスについては、意識されていますか。

北村)松崎先生と同じように、私も学生の頃から実験が好きで、ワークとライフの境目がなく、ラボに入り浸っているようなタイプでした。

いまは週3日、10時~17時という勤務ですが、実は前の職場に勤務している時に、体調を崩してしまい、退職をしたという経緯がありました。少し休んで体調もよくなってきたタイミングで偶然にも松崎先生にお声をかけていただき、フルタイムで働くにはまだ体力的にも不安があったので、週3日という働き方はいまの自分にとってちょうどよいなと思っています。

研究者としての夢や目標、また、後輩へのメッセージがありましたらお聞かせください。

松崎)海外に比べて日本では、まだまだ女性研究者の数が少なく、私も学生時代には子育てをしながら研究を続ける女性研究者は周りにほとんどいらっしゃいませんでした。そのため、その生活がどのようなものか、全く想像できませんでした。

ですので、私のグループの学生さんたちは偶然にも全員女性ですが、私が育児と研究を試行錯誤しながら両立している様子を近くで見てもらうことで、自分にもできそうだなと具体的に将来をイメージする一助になれればうれしいと思っています。自分自身は、今後二人の子どもたちの成長にともなって、生活リズムも変化すると思いますが、その時々に自分ができるベストな方法で、いろいろな制度に今後も助けていただきながら、細くでも長く研究を続けていきたいと思っています。

北村)学生さんたちから見ても、研究もできて、子育ても両立されている松崎先生は憧れだと思います。時間の制約があるなか大変そうだなとはやはり思いますが、とてもよい刺激になっているのではないでしょうか。

1日のタイムスケジュール

6:30 起床
7:00 子ども起床、朝食、準備
7:45 家を出る
8:00〜8:10 保育園に送る
9:00〜17:00 ラボで仕事
17:00〜18:00 保育園にお迎え
22:00 子ども就寝、家事、デスクワーク
25:00 就寝(深夜、授乳2〜3回)

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