「スポーツ×医学×歯学」プロから愛好家までサポート
東京科学大学病院では、全てのスポーツを愛する人々が健康で安全に生涯を通じて楽しめるように、医学と歯学の両面からサポートしています。
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2022.7.25
2022.3.1
2022.3.1
突発性難聴に対する高気圧酸素治療に関して、東京科学大学スポーツ医学診療センター長の柳下和慶教授と、耳鼻咽喉科の堤剛教授にインタビューしました。
柳下和慶先生 突発性難聴の原因が循環不全とも考えられており、高気圧酸素治療は循環不全全般に広く適応になっていることから、突発性難聴に適応されています。
突発性難聴に対する高気圧酸素治療の歴史は新しいものではなく、1900年代後半には始まっていました。
柳下和慶先生 高気圧酸素治療は、突発性難聴の発症早期から適応になります。ただステロイドなど他の治療で十分な効果を得られなかった患者さんも多く来られます。発症から1か月以上経過してから高気圧酸素治療を行っても、効果を得られる可能性は低いと考えられています。
柳下和慶先生 耳鼻科の先生のご意見も伺いたいところですが、聴力をほぼ失った状態からの回復は、比較的稀と考えます。
今回、発症1週間後から高気圧酸素治療を開始しましたが、比較的早期から高気圧酸素治療を開始したことが、良好な結果につながった一つの要因かもしれません
一般には突発性難聴は治癒が1/3、部分回復が1/3とされており、発症時の難聴が高度であるほど治癒率も悪いことから、この聴力からの完全回復は珍しいと言ってよいと思います。
治療については早期のステロイドがゴールドスタンダードですが、それでもエビデンスは確立されていません。他の治療法が確立していない現状を踏まえて推奨グレードはC1とされています。高気圧酸素療法についても、エビデンスは確立されておらずoptionとしての選択になり、推奨グレードはC1とされています。
治癒に導いた要因としては、早期のステロイドと高気圧酸素治療、それになんといっても患者さんの「若さ」と「健康さ」があるのではないかと思います。
柳下和慶先生 打撲、肉離れ、靱帯損傷など、軟部組織損傷に対して多く行われています。