感染の拡大、入院生活、隔離といった状況で生じやすい反応とこころの健康維持
一般の皆様、医療関係者にも役立つ、新型コロナウイルス感染症に負けないマメ知識を、
東京医科歯科大学の専門家に聞きました。
◆協力
東京医科歯科大学病院 医科(医系診療部門)精神科 髙橋 英彦 教授
東京医科歯科大学病院 医科(医系診療部門) 緩和ケア科 三宅 智 教授
東京医科歯科大学病院 医科(医系診療部門) 精神科 髙木 俊輔 病院掛主任(医局長)
新型コロナウイルス感染症患者さんのこころへの影響について当院精神科の先生方がまとめました。
(当院の新型コロナウイルス感染症の患者さん向けに行っているメンタルヘルスケアについての案内ですが、他の病院に入院中の方、隔離生活を過ごされている方にも役立ちますので、ぜひお読みください。)
新型コロナウイルス感染症に関するこころの健康について
~入院された患者様へ~
入院生活を送られている患者さんにとっては、身体的な苦痛に加え、行動の自由が制限されることで 、心身ともに多大な苦痛をお持ちのこととお察しいたします。
- 強い怒りや興奮
- 強い不安や恐怖を感じる
- 周囲の状況が他人事のように感じられる
- 自分がいじめられ疎外されているような気持ちになる
- 眠れなくなる
- 喜怒哀楽の感情が失われる
これらの反応は決して特別なものではなく誰にでも起こりうる自然な心理反応です。通常は入院生活や隔離が解除されれば改善されます。ただ、長期化すると、こころや身体に不調をきたす可能性があります。
上記症状が長く続いたり、ご自身では耐えがたいと感じるとき、当院では、メンタルヘルスケアチームが対応いたします。
ご相談したいと思われた場合には、病棟スタッフまでお声がけください。
ご家族も、患者様が入院されて心配されていたり、ご家族自身も隔離されるなど、多くの不安を抱えていることと思います。Web 上に、ご家族向けにも心の健康維持のために必要なエッセンスもご紹介しています。
入院中におけるこころの健康維持のためにできること
- 大切な人とのコミュニケーションをとりましょう
- 自分自身をいたわりましょう
- 入院中でもできる自分の好きなことをしましょう
- メディアからの情報は制限しましょう
- 簡単なストレッチを行いましょう
- 規則正しい生活を意識しましょう
ストレスに気づきましょう~あなたの気持ちのつらさは?~
今回のような危機に対する反応は、人によってさまざまです。
たとえば、危機に対するストレス反応としては次のようなものがあります。
- 身体症状(頭痛や疲労感、痛み、震え、動悸など)
- 不安で仕方ない・悪い方にばかり考えてしまう・混乱する
- 気分が落ち込む・涙がでてくる・悲しい気持ちになる
- 考えがまとまらない・ぼんやりする・簡単なことも決められない
- 寝付きが悪い・熟睡できない・食欲がない・食べ過ぎてしまう
- 罪悪感を感じる・恥ずかしい・ちょっとしたことでイライラする
- 喧嘩になる・反応がなくなる・ぼんやりする
- 時間や場所が分からなくなる
このような症状が軽い人もいれば、日常生活に支障をきたしてしまう人もいます。
気持ちには波があり、大丈夫な時とそうではないと感じてしまう時があるかもしれません。 日々のご自身の気持ちの状態(つらさなど)を継続的に自己観察してみることも、こころの健康を保つ秘訣です。
今の気持ちのつらさを数字で表してみましょう