マメ知識

ビタミンDたっぷり ホットプレートで簡単パエリア

一般の皆様、医療関係者にも役立つ、マメ知識を、
東京医科歯科大学の専門家に聞きました。

◆協力
東京医科歯科大学病院 医科(医系診療部門) 臨床栄養部

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新型コロナウイルス(COVID-19)感染が全世界で拡大しており、人々を不安に陥れています。画期的な治療薬や予防薬は未だ開発されておらず、今後第2波、第3波が来ることも懸念されています。栄養学的な治療や予防に関しても未だ明らかになってはいませんが、幾つかの知見が報告されていますのでご紹介いたします。

食事は、普段から主食となるご飯、パン、麺類などの炭水化物、主菜となる肉、魚介類、大豆・大豆製品、卵、乳・乳製品などのたんぱく質、副菜の野菜、きのこ、海藻類などから摂取できるビタミン・ミネラルなどをバランスよく組み合わせることが理想とされています。しかしながら、独り暮らしや高齢者では、買い物に行けない、食事量が減少する、食事が偏るなどさまざまな理由で、栄養バランスが崩れ、必要な栄養素を充足できないことがあります。こうした状態が続くことによって、たんぱく質や微量栄養素(ビタミン、微量元素)の欠乏が生じます。

ビタミンの中でもビタミンD が不足すると、骨が弱くなったり、筋肉が衰えたり、風邪を引きやすくなったりと様々な体の不調がおこります。その他にも転倒のリスクが高まることも報告されています。

このように、ビタミンD は健康な体を維持するためになくてはならないものであり、免疫の機能を調整することから、COVID-19 の発症や増悪因子に関与しているのではないかとの報告があります1)2)(ビタミンD を多く含む食品下記参照)。その他、レバーや鰻うなぎ、緑黄色野菜などに含まれるビタミンA 、牡蠣かきやチーズなどに含まれる亜鉛も欠乏しないよう注意しましょう。

ビタミンDと新型コロナウイルス感染症に関する知見

米国ノースウエスタン大学、英国アングリア・ラスキン大学などの研究で、中国、フランス、ドイツ、イタリア、イラン、韓国、スペイン、スイス、イギリス(UK)、米国の医療機関のデータを統計分析した結果、イタリア、スペイン、イギリスなどCOVID-19の死亡率が高い国の患者は、深刻な影響を受けていない国の患者と比較して、ビタミンDのレベルが低いことが判明しました。この結果について論文を発表した研究者たちは、 ビタミンD欠乏症が死亡率に影響を与える可能性があると知ることは重要ではあるが、ビタミンDを過度に摂取する必要はないとして、サプリメントの買い占めなどの行動を起こさないように警告しています。

【出典】
Petre Cristian Ilie, Simina Stefanescu, Lee Smith. The role of vitamin D in the prevention of coronavirus disease 2019 infection and mortality. Aging Clinical and Experimental Research, 2020; DOI: 10.1007/s40520-020-01570-8

Ali Daneshkhah, Vasundhara Agrawal, Adam Eshein, Hariharan Subramanian, Hemant Kumar Roy, Vadim Backman. The Possible Role of Vitamin D in Suppressing Cytokine Storm and Associated Mortality in COVID-19 Patients. medRxiv, Posted April 30, 2020
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.08.20058578v4