室伏広治 東京科学大学 教授/副学長(スポーツサイエンス担当) の研究成果
身体への「気づき」が競技力とケガ予防を左右する
― トップレベル駅伝チーム協力による前向き研究 ―
身体への「気づき」が、トレーニング効果を高め、ケガを防ぐための重要な基盤となる可能性を示した東京科学大学 教授/副学長(スポーツサイエンス担当)室伏広治先生らの研究グループ による研究成果が、国際学術誌 Frontiers in Psychology(Sport Psychology セクション)に2025年12月17日付で掲載されました。
長距離ランナーは、アキレス腱炎や疲労骨折などのランニング障害を起こしやすいことが知られています。これまでケガ予防には筋力や柔軟性といった身体条件が重視されてきましたが、自分の身体の状態にどれだけ気づけているかという「身体意識」の役割は十分に検証されてきませんでした。
東京科学大学 教授/副学長(スポーツサイエンス担当)らの研究グループは、箱根駅伝での優勝経験を持つ大学トップレベルの駅伝チームの協力を得て、男子大学長距離ランナーを対象とした前向き研究を実施しました。選手自身が体の動きや機能を確認する「KOJI AWARENESS(KA)テスト」をシーズン前後に行い、結果に基づく「動作改善エクササイズ」(
https://sports.go.jp/movie/corrective-exercise.html)を継続。あわせて、身体への気づきの程度とケガの発生状況を6か月間追跡しました。
その結果、自分の身体の弱点や変化に強く気づけていた選手ほど、シーズン後の身体機能スコアが大きく改善していました。また、 群間に有意差は認めなかったものの、身体への気づきが最も高いと回答した選手群では、調査期間中にケガが一例も発生しませんでした。一方、気づきが十分でない群では一定数のケガが認められました。
本研究は、身体への「気づき」が、トレーニング効果を高め、ケガを防ぐための重要な基盤となる可能性を示しています。競技力向上だけでなく、スポーツ医科学やアスリート支援の新たな視点として注目される成果です。
論文詳細
Bodily awareness predicts functional improvement and injury risk in elite long-distance runners: a prospective study
Front. Psychol., 17 December 2025
Sec. Sport Psychology
Volume 16 - 2025 | https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1718718







