東京科学大学病院看護師2名がミャンマー大地震の国際支援チームメンバーとして被災地で活動

2025年3月28日に ミャンマー連邦共和国中部で発生した地震被害に対し、 当院の看護師が「国際緊急援助隊(JDR)医療チーム」として派遣され、現地での医療支援活動を行っています。
4月2日、外務省の派遣命令によりJICAが派遣する国際緊急援助隊(JDR)医療チームの1次隊メンバーとして、東京科学大学病院看護部で手術部担当の山﨑 範子看護師が現地へ出発しました。
さらに、4月12日には、国際緊急援助隊(JDR)医療チーム2次隊として、東京科学大学病院看護部の髙村 ゆ希副看護師長が、2次隊メンバーとして4月26日までの予定で現地に派遣されました。
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東京科学大学病院 看護部
山﨑範子 看護師2025年3月28日、ミャンマー中部を震源とするマグニチュード7.7の大地震が発生しました。死者3,591人、負傷者4,814人、行方不明者148人に上る甚大な被害により、同国政府は国際社会に支援を要請。これを受けて、日本政府は外務大臣の命により、JICAの国際緊急援助隊(JDR)医療チームを派遣しました。
その一次隊の一員として、東京科学大学病院手術部に勤務する山﨑範子看護師が、2025年4月2日、羽田空港から被災地ミャンマーへ向けて出発しました。山﨑看護師にとって、これは6度目の国際派遣。過去にはトルコ、ネパール、インドネシア、ニュージーランドなどの被災地でも活動経験があります。
炎天下のテント診療と初動支援の現実
今回の派遣では、平均気温40度を超える猛暑と高湿度、加えて突発的なスコールという厳しい環境下で、マンダレー市内にテント診療所を設営し、約1,200人の診療に対応しました。診療所には常に熱中症の「危険」レベルを示す警報が鳴り響いていたといいます。
テント設営から始まる一次隊の任務は、医療支援の初動体制を整えること。山﨑看護師は、「ゼロからの立ち上げは大変でしたが、必要な物資は揃っており、滅菌機なども活用でき、質の高い外来診療が提供できました」と振り返ります。
被災者の中には、骨折などの外傷を負っても十分な治療を受けられない人、テント暮らしで持病が悪化した人が多く、山﨑看護師たちは、限られた時間と資源の中で最善を尽くしました。
「好きな国がまたひとつ増えました」
6回目の派遣であっても、山﨑看護師の気持ちは常に新鮮です。「どこの国でも、支援の中で出会った人々や文化に触れるうちに、自然とその国が好きになります。今回もまた、好きな国が一つ増えました」と語ります。
現地では、肌を守るために伝統的な「タナカ」と呼ばれる樹皮を顔に塗る文化にも親しみ、日焼け対策としても活用。「日焼け止めとタナカのおかげで、肌は元気です」と、笑顔で話してくれました。
経験を力に、そして誇りに
緊急援助隊での活動は、過酷さと同時に大きな達成感をもたらします。「医療支援を続ける理由は、困難な状況でも力になれる誇らしさです。日常業務では得られない達成感が、私をまた次の支援へと向かわせます」と話す山﨑看護師。
被災地であるミャンマーに出発する直前の4月11日、東京科学大学病院看護部の 髙村 ゆ希副看護師長 にお話を聞きました。

東京科学大学病院 看護部
髙村 ゆ希 副看護師長
- 1. ミャンマーの被災地では、どんな活動を行うのでしょうか?
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髙村副看護師長:現地では、世界保健機関(WHO)が定める緊急医療支援チーム(EMT)タイプ1(診療所レベル)の活動を行い、外来診療を中心に被災者の方々に寄り添った医療支援を提供しています。
- 2. 具体的にはどんなイメージですか?
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髙村副看護師長:1次隊が設置した「エアテント」の仮設診療所で、外来診療リーダーの看護師として活動します。 現地では、同じ看護部の山﨑範子看護師や、1次隊からの引き継ぎを受け、被災者の方々に必要な医療を提供していく予定です。
- 3. 現地の様子や今回の被害の特徴は?
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髙村副看護師長:1次隊からの情報などから、発災から約2週間過ぎても、まだ医療の提供を受けていない被災者が多数いることが想定されるのは、他の災害とは異なる状況で、今回のミャンマー地震被害の大きな特徴だと思います。このような医療を必要とする多数の被災者に寄り添いながら活動していこうと考えています。
- 4. 藤井靖久病院長からのメッセージはありましたか?
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髙村副看護師長:はい、ありました。藤井靖久病院長からは、「 国際的な医療支援活動に参加することは、社会貢献を使命とする当院として誇りに思います。安全には留意して、現地での活動を通じて、被災地の方々に寄り添い、支援を頑張ってきてください」と激励の言葉をもらいました。
山﨑看護師と二次隊として活動した髙村ゆ希看護師のような専門知識と使命感を持った医療者の存在が、世界各地の被災地で命をつなぐ支えとなっています。
2人は、5月15日に、東京科学大学田中雄二郎学長に、ミャンマーでの医療活動について報告しました。詳細はこちらをご覧ください。