歯学博物館について
当院にはかねてより収集・保管されている歯や歯科学に関する貴重な資料があります。これを集めて2025年3月に「歯学博物館」と命名し、銘板を設置しました。現在のところ、一般公開は行っておりませんが、今後、準備を整えて、予約制などで少しずつご覧いただけるようにしていく予定です。「歯学博物館」について、東京科学大学歯学部長の依田哲也先生にお話を伺いました。
- 1. 歯学部博物館の銘板を作成した経緯を教えてください。
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コロナ禍が明けて、海外からの訪問が増加しました。その際に、歯学博物館を案内することが多くなりましたが、奥まったところにひっそりとあり、看板もなく目立たないことを懸念しておりました。そのタイミングで、歯科同窓会90周年記念事業の一環として、同窓会から歯学部に寄付金をいただきましたので、後にも残るような有効な使途を皆で検討した結果、その一部を看板設置に使わせてもらうことにした次第です。
- 2. 歯学部博物館について教えてください。
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1989年に東京医科歯科大学歯学部資料室が開設され、開設15周年にあたる2003年には資料室をさらに発展させ歯学に関心のある人誰もが勉強できる博物館にすることを計画、約1年をかけて収蔵、陳列ケースの増設、収蔵品の整備を行いました。2020年に15年ぶりに全面改修が行われ、歯学博物館としてリニューアル・オープンしたのが現在の博物館です(HPより)。
- 3. 歯学部長として、歯学部博物館を、将来的にはどのような場所にしたいとお考えでしょうか?一般公開の可能性もありますか?
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例えば、患者さんや見舞いの方が、気軽に見学できる様にすると、本学への関心も高まり、もしかしたら、入学したいとか、寄付をしたいなどの動機にもなるかもしれません。
一般公開も検討していますが、貴重な展示品もありますので、公開時には、受付、管理の人員が必要です。オープンキャンパスなどの特定の日には、歯学部業務推進課で担当していただいていますが、常時ですと、その人員確保の目途が立たないので困っています。
将来的には、旧東工大の百年記念館のような大学管理で管理者も設置された博物館になればいいなと思っています。 - 4. 依田先生がご推薦される歯学部博物館の所蔵物をご紹介ください。
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- 歴史的にも貴重な現存する世界唯一の江戸時代後期の木製のポストクラウン
- 江戸時代後期の木製の総義歯
- 喜多川歌麿、勝川春英などの口に関係した錦絵
- お歯黒の人工歯
- 江戸時代の解剖学の教科書
- お茶の水風景の錦絵
- 旧東京医科歯科大学の創立当時の資料
- 5. その他、一般の皆様に伝えたいメッセージがあればお書きください。
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歯学部には、博物館の他に、1号館東6階に解剖標本室もあります。ヒトや様々な動物の頭蓋骨が多数展示してあります。研究目的での申請があれば見られるようになっています。