お知らせ

核酸・ペプチド創薬治療研究センター開設記念シンポジウム
-中分子創薬コンソーシアム設立に向けて-

 東京医科歯科大学核酸・ペプチド創薬治療研究(TIDE:タイド)センターは、基礎医学、構造生物学、臨床医学、データサイエンス、核酸化学、ペプチド化学、高分子工学、薬理学、薬物動態学、毒性学、製材学などの異分野の専門家が結集した、コンバージェンス・サイエンスを推進する新しい研究センターです。
 このTIDEセンターの創設を記念して、2023年7月26日に「核酸・ペプチド創薬治療研究センター開設記念シンポジウム-中分子創薬コンソーシアム設立に向けて-」が開催されました。その様子を写真でご紹介します。
 シンポジウムには、共に研究を推進する東京工業大学関係者、文部科学省、日本医療研究開発機構(AMED)、製薬企業、そして患者さんやそのご家族が集い、センターの開設を祝いました。

開催日時

日時:2023年7月26日(水) 12:30~14:45
会場:東京医科歯科大学M&Dタワー2階 鈴木章夫記念講堂

シンポジウム内容

●第一部

1 開会挨拶

東京医科歯科大学 田中 雄二郎学長

2 来賓挨拶

文部科学省振興企画課長 坂下 鈴鹿様

3 来賓挨拶

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)理事長 三島 良直様

4 患者さん・ご家族からのメッセージ

●家族性筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:家族性ALS)の治療薬「トフェルセン」を用いた治療の開始を待つ家族性ALS患者さんである青木 渉(あおきしょう)さん
青木渉さんホームページ 青木渉サポーターの会
●中分子医薬(核酸医薬)で実際に症状が改善している希少疾患患者さんとご両親の声
~加藤 結唯ちゃん(7歳)、加藤 敦史さん(お父様)、加藤 優子さん(お母様)~

*加藤結唯ちゃんは、生後間もなく、脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)を発症され、余命2年と宣告されましたが、核酸医薬「ヌシネルセン」の治療を開始して、劇的に改善し、7歳となった今もできることがどんどん増えて、生き生きと生活しています。

読売新聞の記事
●希少疾患の患者会代表の一人として、新しい治療薬を待つ思いについて
~毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia Telangiectasia、AT)患者会「ふたつの虹」代表 小山内 美和子さん

*小山内美和子さんは、青森県青森市にお住まいで、次男の小山内龍弥くん16歳が、小学1年のときにATであることがわかり、現在も闘病を続けています。

ふたつの虹(毛細血管拡張性運動失調症プロジェクト) 東京新聞の記事 朝日新聞の記事

5 核酸・ペプチド創薬治療研究センター(TIDEセンター)のご紹介

核酸・ペプチド創薬治療研究センター長 横田 隆徳教授
(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 認知行動医学講座 脳神経病態学 教授)
東京医科歯科大学高等研究院 藤吉 好則特別栄誉教授
東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 創薬科学研究部門 生命機能医学分野 位髙 啓史教授

6 東京工業大学 中分子IT創薬研究推進体(MIDL)のご紹介

東京工業大学中分子IT創薬研究推進体研究代表者/東京工業大学情報理工学院 秋山 泰教授

7 中分子創薬コンソーシアム設立に向けて

東京医科歯科大学 古川 哲史理事・副学長
東京工業大学 渡辺 治理事・副学長

8 祝辞 ビデオメッセージ

英国MRC分子生物学研究所 2017年ノーベル化学賞受賞者
Richard Henderson (リチャード・ヘンダーソン)博士

9 祝辞 ビデオメッセージ

武田薬品工業株式会社 T-CiRA(ティーサイラ)ディスカバリーヘッド 梶井 靖様

●第二部

10 招待講演1 

東京大学大学院理学系研究科化学専攻 菅 裕明教授

11 招待講演2

Alnylam Pharmaseuticals Senior Vice President Muthiah Manoharan
(アルナイラム・ファーマシューティカルズの創薬担当上級副社長、科学諮問委員会委員、特別研究員ムティア・マノハラン博士)

12 閉会挨拶

東京工業大学 益 一哉学長

シンポジウムを終えて

 東京医科歯科大学では、ヘテロ核酸医薬を含む核酸医薬創薬、mRNA医薬やペプチド医薬などの中分子医薬創薬、特殊デリバリー技術やクライオ電顕による構造デザイン技術など、高い独創性と汎用性を持つ創薬基盤技術を長年培ってきました。2022年、これらの基盤技術を集約した、中分子創薬に特化したアカデミア初の創薬治療研究センターを立ち上げました。通称名であるTIDEセンターは、核酸のnucleotideとペプチドのpeptideに共通なTIDEから命名しました。
 TIDEセンターでは、医学系研究から発見された治療対象としての標的遺伝子・標的分子に、工学系研究から生まれた高い物性を有する化合物や構造分子の要素技術を融合し、次世代の分子標的創薬に積極的に取り組みます。具体的な疾患としては、新型コロナウイルスを含む感染症に対する創薬研究、アルツハイマー病やがん、変形性膝関節症などのコモンディジーズに対する創薬研究、希少疾患や難病の患者さんに個別化医療を提供する“N of 1”創薬研究の3つの研究軸を設定しています。
 この創薬研究では、既存の創薬技術や要素技術の物性としての改良や単なる臨床応用だけに留まらず、確かな生物学的・病態生理学的な分子機構に基づいた、非天然の人工機能分子の創生を目指します。さらに、医薬品製造や薬事研究などを内在化させた医薬品製造部門を新設し、アカデミア発の中分子創薬を推進します。
 私たちの最終的な目標は、中分子創薬の革新的な医薬基盤技術を創り出し、多様な患者ニーズに応える新規医薬品をアカデミアから提供することです。医療系に特化した唯一の指定国立大学法人として、私たちの創薬技術力を医薬品開発に直結させ、患者アンメットニーズの高い医薬品開発を推進し、すべての人に対する「トータル・ヘルスケア」の実現を目指します。

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