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「がん教育外部講師派遣」レポート

東京医科歯科大学病院では「世界最高水準のトータル・ヘルスケアを提供し、人々の幸福に貢献する」という理念の下で取り組んでいるSDGs活動についてご紹介します。

当院では毎年、質の高い医学教育をより多くの人々にお届けするための取り組みとして、「がん教育外部講師派遣」を行っております。

2022年7月には、4つの高校中学校向けに授業を行いました。新型コロナウイルス感染症が再拡大しているため、対面授業の予定がオンラインになってしまった学校もありました。

講師として授業を担当した東京医科歯科大学病院乳腺外科診療科長の中川剛士先生に伺いました。

授業のタイトル・目的は?

中川剛士先生:私は、3校を担当しました。写真①は7月15日に大泉特別支援学校の中学2年生2名に授業をした様子です。「がんの正しい知識」というタイトルで、中学生向けにがんの現状や、種類とその特徴、原因と予防、治療法などについて正しく理解できるようにお話ししました。がんを抱える人を支え合える社会の構築に向けて、具体的な課題解決策についても考えてもらえるような内容にしました。写真②は、東村山西高校でオンライン授業を行っている様子です。こちらは高校1年生約200名が対象でした。残念ながら生徒さんに直接お話しすることができませんでしたが、先生方が熱心に聴講してくださいました。また、白衣で講師を務めるのもあざとい感じがして嫌だったので、Tシャツまたはポロシャツで授業を行うことを前もってお許し頂きました。

  • 写真①
    乳腺外科中川剛士先生が7月15日に大泉特別支援学校の中学2年生2名に授業をした様子

  • 写真②
    東村山西高校でオンライン授業を行っている様子(聴講しているのは高校教諭の皆さん)

印象に残ったことは?

中川剛士先生:東村山西高校のアンケートでは、「がんへの理解が深まった」と答えてくれた方が90%超でした。将来の進路を、医療職と考えている方が、その意志をさらに強くもってくれたようでした。大泉特別支援学校の授業は、対象者2名でしたので、ディカッションの時間を多くとりました。2名とも自身の意見をはっきり述べてくれました。
佃中学校の講義(中学2年生約100名を対象)の導入部で、「がん」にまつわる勝ち抜きクイズ大会を行い、8名にTMDUシャープペンシルを賞品として渡してきました。その第1問目は「男性と女性、どちらががんになりやすいか」という問題でしたが、自分と逆の性別を答えた子が多く、半分以上脱落してしまいました。これには驚きました。

今後の「がん教育外部講師派遣」の予定は?

中川剛士先生:各学期末に授業を依頼されることが多いので、1学期分は終了しました。10月に周産女性診療科の大島乃里子先生が都内高校で授業を行う予定です。2学期分の依頼はこれから舞い込んでくると思われます。医科歯科の宣伝にもなりますので、積極的に引き受けていくつもりです。

小、中、高校生など、若い世代に対するがん教育は重要なことは何ですか?

中川剛士先生:私たちが行う講義は通常30分ほどです。医師相手の講演とは違い、内容を詰め込みすぎてしまうと、理解してもらえません。さらには、対象者の年齢に合わせて重点を置くところが変わってきます。中高になれば、身近にがんを患った方がいることが多くなり、講義内容と自身の経験が結びついてくると思います。一方、小学生が対象であれば、怖がらせるだけの講義は避けなくてはなりません。また、禁煙や節酒(禁酒?)などはがん予防として普遍的なものですが、大島先生は上野高校で、ご自身の専門領域であるHPVとワクチンの話を詳しくされ、予想以上の反応があったそうです。私自身の試みとしては、授業の最後に「がんに関連する様々な医療職」の話を入れています。医師看護師のみならず、多職種が関わってがん患者を支えていることを説明し、それらの職種に興味を持ってもらい、進路選択の一助になれば良いなと思っています。

ありがとうございました。