病院コラム

Topics 専門外来

Vol.7 アスリートメンタルケア外来

プロ・アマを問わずスポーツ競技やダンスなどの演技を行っている方で、メンタルや睡眠に問題を感じている方が通院しやすい外来がスタートしました。

アスリートメンタルケア外来担当の高木俊輔医師(専門:スポーツ精神医学ほか)に
お話を伺いました。

アスリートメンタルケア外来を開設した目的と想定する患者さんについて

高木医師:メンタルの問題で困っているアスリートは多いと言われていますが、アスリート診療に理解のあるメンタルクリニック等は非常に少ないです。この専門外来の開設で、通院先を提供したいと思いました。また、メンタルの問題で困っていても精神科といったところに通いにくいという気持ちのアスリートが多いと言われます。そのため、スポーツ診療部内にこのアスリートメンタルケア外来を設立しました。通常の整形外科的な診療をしているスポーツ診療部と同じブースにありますので、通院しやすいと思います。
競技や演技を行っている方で、メンタルや睡眠に問題を感じている方に来院いただければと思っています。

受診する目安となる「症状、兆候、自覚症状」など

高木医師:アスリートのメンタルの症状で多いのは不安、不眠、抑うつと言われています。これらが気になった場合は来院いただくと良いと思います。
原因不明のパフォーマンスの低下・活力の低下や、様々な病院(整形外科等)に通っても改善しない原因不明の体の不調、思い通りに巧緻運動ができなくなった、などももしかするとメンタルの問題が関係している場合があります。
また、担当医はてんかん専門医、睡眠専門医を取得していますので、てんかん発作があるが運動していいかアドバイスが欲しい方や、日中の眠気があって気になる方、パワータイプのアスリートだと睡眠時無呼吸が気になる方、内服している薬剤についてTUE申請をしたい方などもご相談いただけます。

具体的で典型的な患者さんの例

  • 例1

     大学男子陸上長距離選手。練習でパフォーマンスが上がらなくなり、朝つらくて起きられなくなった。大きな大会をプレッシャーに感じていたが、それが近づくと動悸がするようになり、大学の授業も出られなくなった。オーバートレーニング症候群を疑って治療を開始、症状は半分程度になったが、完全には良くならなかった。そのため診断をうつ病に切り替えて治療。回復し次の大会では活躍した。

  • 例2

     実業団女子バレーボール選手。日中の眠気が気になり診療を受けていたが、治療薬がドーピング禁止薬物のため、シーズン中は内服できていなかった。そのためパフォーマンスが上がらなかったが、TUEを申請することにより内服が可能となり、活躍できるようになった。

受診の条件、診察の手順など

高木医師:受診の条件は特にありません。プロアマなども特に条件は作っていません。紹介状は、もし現在通院先があるのであれば持って来ていただけると非常に助かります。
初診はオンラインで予約いただけます。

こちらからお申し込みください。お申し込みいただいたら、予約確定のご連絡を差し上げます。初診時には予約時間の45分前に来院ください。これはカルテID作成等に時間がかかるためです。診察自体は初診時は1時間程度かかることが多いです。検査等は必要に応じてで、全員に同じ検査をしているということはありません。

医科歯科大病院ならではの特色について

高木医師:医科歯科大学はJRの駅に日本で一番近い国立大学です。通いやすい場所にこれだけの大きな病院が、高い専門性を持って存在しているのは、すごいことだと卒業生ながら思っています

メッセージ

高木医師:僕自身は競技レベルからは程遠いですが、マウンテンバイクに熱中して子供と楽しんでいます。何かお困りのことがあればご相談ください。

高木俊輔医師プロフィール

経歴2004年 東京医科歯科大学医学部卒業
2006年 都立広尾病院
2009年 国立精神神経医療研究センター
2012年 ハーバード大学医学部精神科研究員
2015年 東京医科歯科大学大学院 精神科医員
2019年 東京医科歯科大学大学院精神行動科学分野助教
資格医学博士 精神保健指定医
日本精神神経学会精神科専門医・指導医
日本てんかん学会専門医
日本睡眠学会専門医
日本臨床神経生理学会専門医(脳波部門)
日本総合病院精神医学会専門医
日本医師会認定産業医
メンタルヘルス運動指導士
スポーツドクター
役職日本総合病院精神医学会(編集委員)
日本スポーツ精神医学会(理事)
専門精神医学、てんかん、睡眠医学、スポーツ医学