中枢神経原発悪性リンパ腫PCNSL

中枢神経原発悪性リンパ腫とは

悪性リンパ腫は主に血液やリンパ組織に発生する腫瘍ですが、中枢神経原発悪性リンパ腫は脳に発生する悪性リンパ腫であり、近年増加傾向にある腫瘍です。中高年に多く発生し、全患者のうち50歳以上が80%を占めます。

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症状

中枢神経原発悪性リンパ腫では、腫瘍が出来る部位により麻痺や失語症など様々な症状を呈します。またそのほかに頭痛、嘔気、嘔吐などの頭蓋内圧亢進症状、精神症状、けいれんなどを認めます。本疾患では眼の中にも腫瘍が出来て視力障害,ぶどう膜炎を認めることもあります。

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診断

中枢神経原発悪性リンパ腫はCTやMRIなどの画像検査で脳内病変の評価を行います。病変は脳深部に存在することが多く、またしばしば複数の病変として認められることもあります。中でもMRIの特殊撮影(拡散強調画像)やブドウ糖代謝を利用したポジトロンCT(PET)検査は特異度が高いため、当院ではこれらの検査を行って他の脳腫瘍との鑑別を行っています。またPET検査は全身撮影を行い、体幹部のCT検査などと併せて腫瘍の全身への広がりを判定します。そのほかに髄液を採取して細胞診を行うなどして、総合的に診断を進めていきます。そして最終的には手術で病理診断を確定します。

造影MRI
特殊MRI(拡散強調画像)
PET検査
全身PET検査
ナビゲーションを用いた生検術
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治療

中枢神経原発悪性リンパ腫の場合、手術による摘出の程度とその後の治療効果に相関はないため、手術は組織を採取するための生検術にとどめます。当院ではMRI画像やPET画像の情報を用いた多画像統合ナビゲーションシステムを用いて生検術を行います。このシステムを用いることで効果的で確実な生検が行えるようになります。
組織診断後は早急に治療に移ります。治療の基本は抗がん剤による化学療法と放射線療法となります。化学療法はメソトレキセート(MTX)という薬剤を高容量使用することが標準治療となり、近年はこれにリツキシマブなどの薬剤も組み合わせています。また患者様の状態や年齢を考慮しながら、化学療法開始後に放射線照射を組み合わせています。

当院では脳神経外科と血液内科が綿密な連絡を取りながら検査、診断を進め、中枢神経原発悪性リンパ腫の診断が確定した後は血液内科で化学療法、放射線療法を受けていただいております。

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