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梅澤佳央先生が第84回日本血液学会学術集会で優秀ポスター賞を受賞されました

助教

 この度、私どもが行ってきた移植後のBKPyV血症に関する臨床研究の報告が第84回日本血液学会で優秀ポスター賞 (演題名:Analysis of BKPyV viremia after allogeneic hematopoietic cell transplantation) を受賞させていただきましたので、御礼申し上げますとともに簡単ではございますがご報告させていただきます。

 BKPyVは尿路上皮や腎尿細管に潜伏感染するポリオーマウイルスで、同種造血細胞移植において出血性膀胱炎や 腎障害の原因となることが知られていますが、BKPyVが血液中で検出されること(BKPyV血症)と出血性膀胱炎や 腎障害、移植成績との関連はよく分かっていません。本研究では当科で2010年から2020年に初回同種造血細胞移植を 行った107例を対象とし、血液中の多項目迅速ウイルスPCR法によるウイルスモニタリングの結果をもとに、BKPyV血症 陽性群と陰性群の比較検討を行いました。
 BKPyV血症の累積発症率は26.6%で、BKPyVの最大コピー数中央値は2000 copies/μg DNA(範囲、6-80000)でした。 BKPyVによる出血性膀胱炎はBKPyV血症患者の14.3%、BKPyV陰性患者の2.5%で発症していました(P<0.05)。移植後の eGFRは高コピー数のBKPyV血症患者では陰性患者に比べ有意に低下していました(P<0.05)。また、移植成績について、 BKPyV血症陽性群の3年無増悪生存率(PFS)はBKPyV陰性群に比べ有意に低く(35%対60%,P<0.05)、また、BKPyV 血症陽性群では、有意差はないものの全生存率が低く、累積再発率・非再発死亡率が高い傾向が見られました。
本研究ではBKPyV血症陽性群の約15%が出血性膀胱炎を発症し,BKPyV血症は腎機能低下とPFSの低下に関連しうることが 示された結果となりました。今後,BKPyV血症のリスク因子を解明するために,更なる症例の検討と解析を進めていこうと 考えています。

 また、本研究における造血細胞移植多項目迅速ウイルスPCRを施行していただいた当院細胞治療センター、検査部のご協力に 深く感謝いたします。

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